日中友好環境保全センターによる『第11次5ヵ年計画』から


1.国家環境保護「十一五」計画の印刷・公布に関する国務院の通知
2.国家環境保護「十一五」計画
(1)環境情勢
(2)指導思想、基本原則と計画目標
  1、指導思想
  2、基本原則
  3、計画目標
(3)重点分野と主要任務
  1、化学的酸素要求量排出量の削減、水環境の質的改善
  2、二酸化硫黄排出量の削減、大気汚染の防止・処理
  3、固体廃棄物汚染の制御、その資源化と無害化の推進
  4、生態環境の保護、生態保全保障水準の向上
  5、農村環境の総合整備、社会主義新農村建設の促進
  6、海洋環境保護の強化、近海域の汚染と生態破壊の重点的制御
  7、厳格な監督・管理、原子力と放射による環境保全の確保
  8、管理能力向上の強化、法執行監督水準の向上
(4)重点プロジェクトと投資の重点
  1、重点プロジェクト
  2、投資の財源
(5)保障措置
  1、地域経済と環境の調和の取れた発展の促進
  2、経済構造調整の加速
  3、体制の完備、責任の着実な履行
  4、メカニズムの刷新、資金投入の増大
  5、法治の強化、厳格な監督・管理
  6、科学技術に依拠、産業の発展
  7、社会の力を動員した環境保護
  8、環境保護国際協力の積極的な展開
(6)計画の実施と査定


国家環境保護「十一五」計画の印刷・公布に関する国務院の通知


国発〔2007〕37号

各省、自治区、直轄市人民政府,国務院各部・委員会、各直属機関

 国務院は環境保護総局、発展改革委員会が制定した『国家環境保護「十一五」計画』(以下、『計画』と略称)に同意し、ここに印刷・公布するものとし、本地区、本当局の実情に即して、真摯に執行を貫徹していただきたい。 

 現在、わが国の経済社会の発展と資源環境を制約する矛盾は日増しに際立っており、環境保護は厳しい挑戦に直面しています。各地区、各当局は科学的発展観を深く掘り下げて貫徹し、経済発展方式を転換して、人民大衆の健康に害を及ぼし、また経済社会の持続可能な発展に影響を及ぼす突出した環境問題の解決に本格的に取り組んで、環境にやさしい社会の建設に努めなければなりません。『計画』で確定された主要汚染物総排出量抑制目標の実現をしっかりと把握し、汚染の防止・処理を最優先にし、構造調整を加速し、汚染の処理に力を入れ、2010年までに二酸化硫黄、化学的酸素要求量を2005年比で10%削減しなければなりません。同時に淮河、海河、遼河、太湖、?湖、?池、松花江等の重点流域での汚染処理を加速し、都市の汚水とごみ処理を加速して、大衆の飲料水水源の安全を保障しなければなりません。

 地方の各人民政府は環境保護の目標、任務、措置と重点工事プロジェクトを本地区の経済と社会発展計画に盛り込み、責任を着実に履行し、措置を着実に講じ、投資を着実に実施し、監督・管理を着実に実行しなければなりません。国務院の関係当局は各自の職能分担に基づき、『計画』の実施に対する指導と支援を確実に強化しなければなりません。法執行の監督を厳格にし、企業が環境保護の責任を履行するよう督促し、全社会を動員して共同で環境を保護しなければなりません。投資の質と効果を高度に重視し、『計画』が厳粛かつ合理的に執行されるようにしなければなりません。評価・査定メカニズムを確立し、半年ごとに1回、各地区の主要汚染物の排出状況、重点工事プロジェクトの進捗状況、重点流域と重点都市の環境の質的変化の状況を公表しなければなりません。2008年末と2010年末にそれぞれ、『計画』の執行状況について中期評価と終期査定を実施し、評価と査定の結果を、地方の各人民政府の行政業績を査定する際の重要項目に設定しなければなりません。

国務院

2007年11月22日



国家環境保護「十一五」計画


『国民経済と社会発展の「十一五」計画綱要』と『科学的発展観を定着させて環境保護を強化することに関する国務院の決定』(国発〔2005〕39号)に基づき、本計画を策定した。本計画は国の「十一五」計画体系の重要な一部であり、「十一五」期間の国の環境保護分野での目標、任務、投資の重点と政策・措置を明示し、各人民政府及び環境保護当局の責任と任務を重点的に明確にすると同時に、企業を指導し、社会を動員して共に参与させて、環境にやさしい社会の建設に努めることを旨とする。

(1)環境情勢

(1)「十五」期間に環境保護事業で収めた進展

 党中央、国務院は環境保護を高度に重視し、環境の質的改善を、科学的発展観を定着させ、社会主義の調和の取れた社会を構築する重要項目にし、環境保護をマクロ経済調整の重要な手段として、一連の重要な政策・措置を講じた。各地区、各関係当局が絶えず環境保護事業に力を入れ、一部の高消耗、高汚染の時代遅れの生産力を排除し、汚染処理と都市環境基盤施設の整備を加速し、重点地区、流域と都市の環境整備を絶えず推進したことで、生態保護と整備は強化された。気候の変動に対応する一連の対策・措置を講じ、市場化メカニズムが環境保護分野に導入され始め、全社会の環境保護への投資は「九五」期間に比べ倍増し、GDPに占める比率は初めて1%を超えた。環境管理能力はやや向上し、環境の法執行能力もやや強化された。全社会の環境への意識と人民大衆の参与度は著しく高まり、わが国の環境保護の規律性に対する認識も絶えず深まった。経済が急速に発展し、重化学工業が急成長する状況の下で、一部の主要汚染物の総排出量はやや減少し、環境汚染と生態破壊の悪化傾向は緩和され、一部の地区・都市では環境の質がやや改善され、原子力と放射の安全も保証された。

(2)依然として厳しい環境情勢

 わが国の環境保護はかなり進展したが、環境情勢は依然として厳しい。「十五」の環境保護計画指標はすべて実現されたわけではなく、二酸化硫黄排出量は2000年比で27.8%増加し、化学的酸素要求量は2.1%しか減少しておらず、10%削減の抑制目標は達成されなかった。淮河、海河、遼河、太湖、?湖、?池(以下、「三河三湖」と略称)等の重点流域と地域の整備任務は計画目標の約60%しか達成していない。主要汚染物の排出量は環境容量をはるかに上回り、環境汚染は深刻である。国家制御(国が重点的に監視・制御する)の地表水断面は全国で26%が環境V類基準より劣っており、62%がIII類基準に達していない。都市を流れる河川では90%の区間が程度の差こそあれ汚染されており、湖の70%が富栄養化している。重点都市の30%で飲料用水源地の水質はIII類基準以下である。区設置都市の46%で大気の質は二級基準に達しておらず、一部の大・中都市では黄砂日数がやや増加し、酸性雨の汚染度も軽減されていない。

 全国で水による浸食面積は161万平方キロ、砂漠化した土地は174万平方キロであり、天然草原の90%以上が退化している。多くの河川で水生態機能のバランスが著しく崩れている。生物多様性は保全されておらず、外来種の侵入による経済損失が深刻である。一部の重要な生態機能区で生態機能が退化している。農村の環境問題は際立っており、土壌の汚染が日増しに深刻になっている。有害廃棄物、自動車の排ガス、残留性有機汚染物質等による汚染が増大し続けている。気候変動への対応情勢は厳しく、任務は困難を極めている。先進国に数百年にわたる工業化の過程で段階的に生じた環境問題は、わが国にもすでに集中的に現れている。わが国はすでに汚染事故が多発する時代、矛盾が突出した時代を迎えている。

「十五」期間に極力解決すべき一部の深層的な環境問題は、突破口を開くほどには進展しなかった。産業構造が非合理的で、経済成長方式が粗放であるとの状況は根本的に改まっておらず、環境保護が経済より遅れている局面は打開されておらず、体制に円滑さが欠ける、メカニズムが活性化に欠ける、資金投入が不足している、能力が脆弱であるといった問題が依然として突出しており、法があってもそれに依拠しない、法に違反しても追及するのは難しい、法の執行が厳格でない、監視・管理能力が不足しているといった状況が比較的広く見られる。

「十一五」期間、わが国の人口は膨大な基数の上にさらに4%増加し、都市化のプロセスが加速し、経済総量は40%以上増大し、経済社会の発展と資源環境を制約する矛盾はさらに突出し、国際的な環境保護への圧力も増大し、環境保護は一段と厳しい挑戦に直面するだろう。


『小欄1 「十五」環境保護計画主要指標の達成状況』(略)

(3)新たな段階を迎えた環境保護事業

党中央、国務院は環境保護をより重要な戦略的位置に据え、科学的発展観を定着させ、社会主義の調和の取れた社会を構築することで、環境保護事業の確実な実施を根本的に保証しており、環境保護はかつてない好機に恵まれている。経済成長方式の転換と経済構造の調整の歩みが加速することは、構造的、地域的な環境汚染と生態破壊を解決する上で基礎的な役割を果たすだろう。総合国力の増強は、環境保護にとってより有力な物質・技術的な支柱となる。経済体制と行政管理体制改革が進展することで、環境保護体制とメカニズムを刷新する上で有利な条件が整う。広範な大衆の環境への意識が幅広く向上することは、環境保護にとって強大な動力となる。わが国の環境と発展の関係には今、重大な変化が生じており、環境保護は近代化建設の一つの重要な任務となり、環境容量は地域の配置で重要な拠り所となり、環境管理は構造調整の重要な手段となり、環境基準は市場参入の重要な条件となり、環境コストは価格形成メカニズムの重要な要素となっている。こした重大な変化は、わが国の環境保護事業が環境を保護することで経済成長を最適化する、という新たな段階を迎え、挑戦と好機が同時に存在し、困難と希望が併存していることを示すものである。

(2)指導思想、基本原則と計画目標

「十一五」環境保護事業を確実に行う上で鍵となるのは、歴史的転換を加速することである。第一は、経済成長重視と環境保護軽視から環境保護と経済成長を共に重視する方向へと転換し、環境保護の強化を経済構造調整、経済成長方式を転換する重要な手段として、環境を保護する中で発展を求める。第二は、環境保護が経済発展より遅れている状態を環境保護と経済発展の共同歩調の方向へと転換し、新たな負担は抱えず、過去の負担を多く返すようにし、汚染後に処理し、処理しながら破壊するといった状況を改める。第三は、主に行政手段による環境保護から法律、経済、技術と必要な行政手段を総合的に運用して環境問題を解決する方向へと転換し、自覚的に経済規律と自然規律を順守して、環境保護事業の水準を向上させる。

(1)指導思想

 ケ小平理論と「3つの代表」(党が先進的な生産力、文化、最も広範な人民の根本的な利益を代表する)という重要な思想を指導理念に、科学的発展観を全面的に定着させ、環境保護という基本国策を堅持し、持続可能な発展戦略を深く掘り下げて実施する。防止をあくまで主体にし、総合的に整備し、全面的に推進して、重点的に突破口を開くようにし、人民大衆の健康に害を及ぼす突出した環境問題の解決に取り組む。長期にわたる弛みない努力をすることで、生態環境を改善し、資源の利用効率を著しく向上させ、持続可能な発展に向けた能力を絶えず増強し、人と自然が調和の中で共存する環境にやさしい社会を建設する。

(2)基本原則

―協調性のある発展、互恵・相互利益を図る。環境保護と経済発展及び社会進歩の関係を正確に処理し、発展する中で保護を定着させ、保護する中で発展を促進し、節減された発展、安定した発展、クリーンな発展をあくまで目指して、持続可能な科学性のある発展を実現する。

―法治を強化し、総合的に整備する。あくまで法に基づいて行政を行い、環境に関する法律・法規を絶えず完備させ、環境の法執行を厳格にする。環境保護と発展に関しては、あくまで総合的な政策決定を行い、科学的に計画を立て、防止を主体にした方針を明確化にして、汚染と生態破壊を根底から防止・処理し、法律、経済、技術と必要な行政手段を総合的に運用して環境問題を解決する。

―新たな負担は抱えず、過去の負担を多く返す。汚染物総排出量を厳格に抑制する。すべての新規、拡張、改修プロジェクトは環境保護の要件に合致していなければならず、増産しても汚染を増やさないようにし、生産増大・汚染減少の実現に努める。歴史的に残された環境問題を積極的に解決する。

―科学技術に依拠し、メカニズムを刷新する。環境科学技術を大々的に発展させ、技術革新による環境問題の解決を促進する。政府、企業、社会からなる多元的な資金投入メカニズムと一部の汚染処理施設の市場化運営メカニズムを確立し、環境保護制度を完備させて、統一された、協調性のある、高効率の環境監督・管理体制を整備する。

―指導を分類化し、重点を明確にする。その土地の実情に即した措置を講じ、地域ごとに計画を立て、統一的に都市・農村部を発展させ、経済発展を制約する大衆の反応の強い環境問題を段階的に解決し、重点流域、地域、海域、都市の環境の質的改善を図る。

(3)計画目標

 2010年までに、二酸化硫黄と化学的酸素要求量を抑制し、重点地区と都市の環境の質をやや改善し、生態環境の悪化傾向をほぼ食い止め、原子力と放射の環境への保全を確保する。

『小欄2 「十一五」主要環境保護指標』(略)


(3)重点分野と主要任務


「十一五」計画で確定された主要汚染物排出抑制目標の実現については、汚染の防止・処理を最優先にし、都市・農村部の人民の飲料水の安全を主要な任務とし、全面的に推進し、重点的に突破口を開いて、人民大衆の健康に害を及ぼし、経済社会の持続可能な発展に影響を及ぼす突出した環境問題を適切に解決する。

(1)化学的酸素要求量排出量の削減、水環境の質的改善

 化学的酸素要求量の10%削減の実現を突破口にして、飲料用水の水源地を優先的に保護し、重点流域の汚染処理を加速し、水汚染の防止・処理と水資源保護事業を全面的に推進する。

1.化学的酸素要求量削減目標の実現を確保する

 都市の汚水処理と再生利用プロジェクトの実施を加速する。2010年までに、すべての都市は汚水処理施設を建設して、汚水処理率を70%以上にし、全国の都市の汚水処理能力1億トン?日を達成しなければならない。汚水処理場の建設では、集中と分散を併用するようにし、その土地の実情に即した措置を講じ、設置場所を最適化し、技術の進歩を大々的に推進して、適用技術を普及させなければならない。汚水処理施設の建設では、処理場とパイプランを並行して進め、パイプラインを優先させると共に、給水と用水、節水と汚水再生利用を統一的に考慮しなければならない。汚水処理場の汚泥処理を十分に重視し、汚泥の安定化と無害化を実現する。汚水処理場の監督・管理を強化し、すべての汚水処理場にオンラインモニターを設置して、汚水処理場の運営と排出に対するリアルタイムの観測を実現する。都市部の汚水収集能力と汚水処理施設の運営効率を絶えず向上させ、運営後の実際処理負荷を確保することで、1年以内に設計能力の60%以上、3年以内に75%以上にする。

 工業廃水の処理を強化する。水汚染物排出基準と総排出量規制制度を厳格に実行し、汚染物排出許可制度の普及を加速する。工業化学的酸素要求量が65%を占める国家制御重点企業による廃水排出量の基準達成と、総排出量の削減に重点的に取り組む。小規模な製紙、化学工業、皮革製造、捺染、醸造等の産業政策に合致しない重大な汚染企業の排除を加速する。工業節水事業をさらに強化し、水高消耗業種による廃水排出定量基準を策定して、工業用水の再生利用率を向上させる。製紙、醸造、化学工業、紡績、捺染業種を重点に、汚染処理と技術改造に力を入れる。鉄鋼、電力、化学工業、石炭等の重点業種で廃水循環利用を普及させ、廃水の少量排出あるいはゼロ排出の実現に努める。関係基準に基づき、都市部の廃水システムに排出される工業廃水の水質と水量を厳格に観測して、汚水処理場の安全運営を確保する。

2.全力を挙げて飲料水水源の安全を保障する

 飲料水の水源である一級保護区内にある汚染直接排出口を取り締まる。地表水が飲料水となる水源保護区の画定と調整作業を完了し、保護区の等級と境界を確定し、警告標識を設置して、二級保護区内の汚染直接排出口を封鎖する。飲料水水源地の環境状況について全面調査を実施して、飲料水安全保障計画と管理方法及び環境保護計画を策定する。飲料水水源保護区での水土の保持、水源涵養を強化し、特定汚染源を制御する。飲料水水源保護区上流での水汚染が深刻な化学工業、製紙、捺染等の企業の設立を厳しく規制する。地下水の汚染状況について調査を実施し、地下飲料水水源地保護計画を作成して、地下水の汚染を防止・処理する。水中の残留性有機汚染物質の研究と防止を重視する。

 飲料水水源安全予知制度を整備し、突発的な汚染事故に対する緊急対応策を制定する。飲料水水源地観測・管理システムを完備させ、毎年少なくとも1回、水源地の水質について集中的に全面的な分析と観測を行うと共に、即時に水環境の状況を公表する。

3.重点流域の水汚染の防止・処理を推進する

「三河三湖」、松花江の水汚染処理を絶えず推進するようにし、三峡ダム地区及びその上流、「南水北調」(南方の水を北方に送るプロジェクト)水源地及びその沿線、黄河小浪底ダム地区及びその上流の水汚染処理を確実に実施する。長江中・下流、珠江及び重要な境界河川の水汚染の防止・処理を強化する。流域整備目標責任制と省境断面水質検査制度を着実に実行して、生態補償メカニズムの確立を加速する。多方面から資金投入を増大し、整備プロジェクトの実施を加速する。流域の水資源開発・利用と保護を統一的に進め、生活、生産と生態用水を統一的に進めて、河川に必要な径流を確保する。軍と地元の実情を考慮する原則に基づき、重点流域と地域内にある軍隊の汚水、ごみ処理を引き続き実施して、兵営地の環境の質的改善を図る。国際協力を強化して、黒竜江や鴨緑江、イリ河等の境界河川の水質観測と処理を確実に実施する。

 河川沿いの化学工業企業を重点に、有毒・有害物質を排出する工業汚染源の全面的な排出調査を実施すると共に、水質観測定期報告制度を確立し、汚染処理施設と事故防止措置を完備するよう促すことで、汚染の潜在的リスクを根絶する。

(2)二酸化硫黄排出量の削減、大気汚染の防止・処理

 火力発電所での脱硫設備の設置を重点に、二酸化硫黄排出量10%削減の達成を確保して、酸性雨の拡大を食い止める。113の環境保護重点都市と都市郡地域での大気汚染の総合的な防止・処理を重点に、都市と地域の大気環境の質的改善に努める。

『小欄3 環境保護重点都市リスト(計113)』(略)

1.二酸化硫黄排出削減目標の実現を確保する
 石炭燃焼発電所の脱硫プロジェクトを実施する。酸性雨と二酸化硫黄による汚染防止・処理計画を実行し、高炉汚染源である二酸化硫黄と窒素酸化物の排出を重点的に抑制する。国の二酸化硫黄排出基準あるいは総排出量要求を超える石炭燃焼発電所は、排煙脱硫設備を設置しなければならない。「十一五」期間、現役火力発電ユニットの脱硫設備の設置を加速して、運転後の脱硫ユニット設備容量を2.13億キロワットにする。石炭燃焼発電所の新規建設(拡張)については、国が規定する超低硫黄炭坑道入り口にある発電所を除き、脱硫設備と共に脱硝石一時集積場所を同時に設置しなければならない。大・中都市及びその近郊では、熱電併給生産を除く石炭燃焼発電所の新規建設(拡張)を厳しく規制する。
  
2.都市大気環境の質を総合的に改善する
 
  浮遊粒子状物質とくに直径10ミクロン以下の浮遊粒子状物質を都市の大気汚染防止・処理の重点にし、都市部の工業汚染源の調整・移転を加速し、低排出汚染源を集中的かつ総合的に整備するなど、油煙による汚染の解決を重視する。建築現場及び陸上輸送による環境への管理を強化して、ほこりの飛散を有効的に抑制する。都市のクリーンエネルギー比率とエネルギー利用効率を向上させるなど、省エネ活動を大々的に展開する。その土地の実情に即して、熱電体の熱電併給生産と集中熱供給を発展させる。都市部内に高汚染燃料燃焼禁止区域を設定する。

 長江デルタ、珠江デルタ、北京・天津・山東省等の都市郡地域での地域的な大気汚染防止・処理に関する統一的な計画を作成し、条件の整った都市は窒素酸化物、有機汚染物質等の複合汚染問題及び黄砂気象の研究を展開し、オゾンとPM2.5(直径2.5ミクロン以下の浮遊粒子状物質)等の指標の観測を徐々に実施して、光化学スモッグ汚染予知システムを確立しなければならない。

3.工業排気ガス汚染の防止・処理を強化する

 工業二酸化硫黄排出量が65%以上を占める国家制御重点汚染源を重点に、大気汚染物排出基準と総排出量規制制度を厳格に実行し、汚染排出許可制度の普及を加速する。工業排気ガス汚染源による全面的、安定的な排出基準達成を促進し、増産による汚染増をなくす。工業用ボイラーでは、クリーンな燃焼技術を使用し、細浮遊粒子状物質を重点に、煙(粉)塵と二酸化硫黄の排出を厳しく規制しなければならない。新たに除塵の改善に取り組み、高効率の濾布式除塵装置の使用を普及させる。石炭、鉄鋼、非鉄、石油化学工業と建材等の業種の排気ガス汚染源の規制を引き続き徹底させて、重点工業排気ガス汚染源に対する自動観測を実施する。石炭選鉱工程の整備を大々的に推進して、石炭のクリーン燃焼技術を普及させる。窒素酸化物制御に関する研究を引き続き展開し、制御技術の開発とモデル構築を加速し、窒素酸化物を汚染源観測と統計範囲に組み入れて、総排出量抑制の実施に向けた条件を整える。

4.自動車汚染の防止・処理を強化する   
  
  大・超大都市では、自動車排ガス汚染の防止・処理を都市環境の質的改善のための重要項目に設定しなければならない。排ガスの規制水準をさらに高め、自動車を使用するための環境保護年間検査作業を適性化する。石油製品の質的改善を図り、ガソリンの利用効率を向上させる。省エネ型でクリーン燃料自動車を大々的に開発して使用することで、自動車による汚染物質排出を低減させる。
  
5.騒音汚染の抑制を強化する

 建築現場、工業生産と社会生活での騒音への監督・管理を強化して、騒音に悩む市民の問題を速やかに解決する。自動車の市区でのクラクション使用を規制し、騒音に敏感な道路区間で騒音低減措置を講じて、交通による騒音を抑制する。大・中都市に静かで落ち着いたコミュニティーを建設する。

6.温室効果ガスの排出を抑制する

 省エネと高率利用の政策指導を強化し、法に基づく省エネ管理の実施に力を入れ、省エネ技術の開発、モデルの構築と普及を加速し、市場を基礎にした新たな省エネメカニズムを十分に発揮させて、温室効果ガスの排出低減に努める。再生可能なエネルギーを大々的に発展させ、原子力発電所の建設を積極的に推進し、石炭層ガスの開発と利用を加速して、エネルギーの消費構造を最適化する。冶金や建材、化学工業等の産業政策を強化し、資源の利用率を向上させて、工業生産過程での温室効果ガスの排出を抑制する。農村のメタンガスの整備と都市のごみ埋め立てガスの回収と利用を強化して、メタン排出増の速度の抑制に努める。植樹造林、天然林資源の保護等の重点生態整備プロジェクトを引き続き実施し、森林資源カバー率を向上させることで炭素吸収を増大させると共に、気候の変動に適応できる能力を増強する。温室効果ガスの観測と統計・分析を強化する。

(3)固体廃棄物汚染の制御、その資源化と無害化の推進

 減量化、資源化、無害化を原則に、固体廃棄物による汚染の防止・処理を、人民の健康を維持し、環境の保全を保障し、循環型経済を発展させて、資源節約型の環境にやさしい社会を建設するための重点分野に据える。

1.有害廃棄物と医療廃棄物の処分プロジェクトを実施する

 有害廃棄物と医療廃棄物の処分施設建設計画の実行を加速し、有害廃棄物と集中処理費用徴収基準と方法を完備させ、有害廃棄物と医療廃棄物の収集、輸送、処分の全過程での環境監督・管理システムを確立して、安全な処分をほぼ実現する。残存するクロム残滓の無害化処分を完了する。

2.生活ごみの無害化処分プロジェクトを実施する

 都市の生活ごみの無害化処分施設建設計画を実施し、処分能力を新たに24万トン?日増強し、処分率を60%以上にする。ごみの分類を普及させ、処分施設の環境の監督・管理を強化する。ごみ浸出液の処理を高度に重視し、現有の簡易ごみ処理場の汚染を処理し、徐々に生態を復元させて、汚染の潜在的リスクを排除する。
  
3.固体廃棄物の総合利用を推進する

 石炭脈石、粉灰・石炭灰、冶金と化学工業の固形廃棄物、廃鉱等の大規模な固体廃棄物の総合利用を重点的に推進する。2010年までに、固体廃棄物の総合利用率を60%にする。建築ごみ及び穀物茎、家禽の糞便などの総合利用を推進する。生産者責任連座制度を確立し、再生資源の回収・利用システムを完備させて、廃電子機器・電気器具の規模化、無害化された総合利用を実現する。輸入廃棄物の加工・利用企業を厳格に監督・管理して、二次汚染の発生を防止し、廃棄物の違法な輸出入を厳しく取り締まる。

(4)生態環境の保護、生態保全保障水準の向上
  
  人と自然の調和の促進を目標に、生態機能区の区分を基礎に、非合理的な資源開発の規制を重点に、あくまで保護を優先にし、自然の復元を主体にして、生態環境の悪化傾向をほぼ抑制することを目指す。
  
1.全国生態機能区分を制定する

 全国の生態環境現状調査を踏まえて、生態環境の敏感性と生態機能の重要性に基づいて全国生態機能区分を制定し、地域ごとに主導する生態機能のタイプを科学的に確定し、国の生態保全にとって重要な意義のある重点生態機能保護区を確定し、生態保護事業を指導して、環境保護の分類管理の実施に向けた科学的根拠を提供すると共に、全国の主体機能区分計画との連関性と協調を図る。
  
2.重点生態機能保護区での事業を始動する

 重点生態機能保護区の範囲、主導的機能と発展方向を明確にし、開発区の規制要求に基づいて、生態機能保護区の評価指標システム、管理メカニズム、実績・効果評価メカニズムと生態補償メカニズムの確立を模索する。重点生態機能保護区の管理・保護能力を向上させる。

3.自然保護区の建設を質的に向上させる 

 自然保護区システムをさらに完備させ、タイプの充実した自然保護区ネットワークをほぼ構築し、自然生態システムの典型的なタイプ、国家重点保護野生動植物種及び重要な自然遺跡の95%以上を自然保護区の保護範囲に組み入れる。自然保護区の建設では、数重視から質重視への転換を実現して、自然保護区の管理・保護能力と建設水準を向上させる。自然保護区の適正化された建設基準を制定し、関係する計画に基づいて引き続き保護区の建設を推進する。95%以上の自然保護区に健全な管理機関を設置する。全国自然保護区観測ネットワークと総合情報ネットをほぼ構築する。

4.種の資源保護と保全管理を強化する

 種の資源調査を実施する。種の資源、種質と遺伝子データベースを構築する。種の資源のその土地、移動地と移動途上地に保護施設を建設する。種の資源の輸出入検査制度を確立し、外来種と遺伝子組み換え物質の生態への影響の観測・制御、保全のための防止・処理と緊急対応メカニズムを強化する。種の資源保護に関するキャンペーン・教育を展開して、公民の種の資源保護への意識を向上させる。

5.開発・建設による環境への監督・管理を強化する

 保護優先、秩序ある開発をあくまで原則にして、長江上流等の流域での水利開発、黄土高原でのエネルギー・鉱物の開発、東北地方の黒土開発等の重点開発計画とプロジェクトの環境への影響評価を着実に実施し、開発・建設中の水土流失を有効的に制御する。生態保護に対する法の執行に力を入れて、生態を破壊する違法活動を摘発する。

 鉱山の環境復元のための保証金制度の確立を加速する。鉱山の環境整備を推進し、新旧の鉱山及び資源が枯渇している都市の生態復元を促進する。観光開発中の環境への保護を強化し、観光地の環境汚染と生態破壊状況に対する検査に力を入れ、生態の敏感な地域での観光開発プロジェクトの環境に対する監督・管理を重点的に強化して、エコ観光の試験的なモデルを構築する。

(5)農村環境の総合整備、社会主義新農村建設の促進

「生産の発展、生活のゆとり、農村気風の文明化、清潔な農村、管理の民主化」という社会主義の新しい農村を建設するために、農村でゆとりのある環境保護行動計画を実施することで、環境を総合的に整備し、土壌汚染の防止・処理を強化し、農業の特定汚染源を制御し、エコ農業を発展させて、農業の成長方法を最適化する。

1.土壌汚染を重点的に防止・処理する

 全国で土壌汚染の現状について調査を実施し、土壌環境の質の評価・観測制度を確立し、汚染土壌の復元モデルを構築する。移転企業は従来の工場跡地の土壌復元作業を確実に行い、残留性有機汚染物質と重金属汚染が基準を超える耕地については、総合的な整備を行わなければならない。汚染が深刻で復元の難しい耕地は、法に基づいて用途を調整しなければならない。主要な穀物生産地と野菜栽培基地での汚水による灌漑を厳しく規制し、野菜栽培基地の環境管理を強化する。

2.農村環境を総合的に整備する

 農村環境総合整備計画の作成を推進する。水の改善、トイレの改修作業を行って、環境と衛生条件を改善する。生活ごみについては、指定場所での集積、統一収集、定時の清掃、集中処理を実現する。分散あるいは相対的に集中された、生物あるいは土地等による多種な処理方法を採用するなど、その土地の実情に即して生活汚水処理を推進する。旧村の開発、新村の建設に合わせて環境を美化することで、農村の姿を改善する。1万の行政村で環境総合整備を完了し、2000の郷・鎮を環境の美しい村にする。農村企業による汚染の監督・管理と処理に力を入れ、工業固体廃棄物と有害廃棄物、都市部のごみ及びその他の汚染物の農村への移動を禁止する。

3.農村の特定汚染源の発生を防止し、処理する

 小規模流域の総合整備を行って、水土の流失を制御する。農村の特定汚染源の総合整備を試験的に実施し、モデルを構築する。農薬や化学肥料の科学的使用を普及させて、その利用効率を高める。グリーン食品や有機食品基地の建設を推進し、節水型農業とエコ農業を大々的に発展させる。農業資源の節減と総合的利用を普及させて、循環型の農業経済を大々的に発展させる。メタンガスの開発を中心に、穀物茎資源を合理的に利用し、家禽飼育場の汚水や糞便の集中的な総合利用と処理を強化して、農家のメタンガス普及率を向上させる。

(6)海洋環境保護の強化、近海域の汚染と生態破壊の重点的制御

 陸上汚染物の排出削減を重点に、海域汚染の処理を突破口にして、海洋の生態保護を強化し、海洋環境被害への緊急対応能力を向上させることで、海洋生態システムのもつプラス機能を改善する。

1.陸上汚染物の海洋への流入量削減に努める

 海洋に直接排出する工業非特定汚染源に対する規制と管理を強化して、排出基準の安定した達成を確保する。沿海都市での汚水処理場とごみ処理場の建設を加速する。汚泥とごみ浸出液の処理を強化して、二次汚染の発生を防止し、引き続き沿海部での燐の禁止を徹底させる。

2.重点海域の汚染処理を加速する

「渤海の青い海」行動を徹底して展開し、渤海の水質が著しく改善するよう努める。長江河口及び隣接海域、珠江河口及びその海域の汚染処理計画の作成と実施を加速する。重点海域の汚染を処理することで、海洋環境の保護を促進する。

3.港湾と船舶による汚染を防止・処理する
  
  船舶汚染処理技術に関する政策と処理計画を策定して実施し、各種船舶に対してそれぞれ、汚水処理設備とごみ回収設備の設置に関する技術的要件と期限を提示する。2010年までに、大・中規模港湾はいずれも船舶の燃料類、化学品、ごみ、生活汚水を回収・搬出するための施設を建設しなければならない。港湾と船舶による汚水、ごみ処理施設の建設については、都市の汚水・ごみ処理施設建設計画に盛り込まなければならない。廃棄物の海洋投棄に対する監督・管理を強化する。

4.海洋生態環境を保護する

 近海域を重点に、海洋生態環境の復元と保護を強化する。海岸線、砂浜の資源を厳しく保護し、合理的に活用し、非合理的な開発を禁止することで、海岸及び海上での養殖による汚染を防止する。海岸防護林の整備を推進し、沿岸部の湿地帯、ヒルギ林、さんご礁等の典型的な海洋生態体系を復元、保護して、海洋自然保護区を建設する。重点海域で生物多様性に関する全面的調査を実施して、外来種侵入の現状を把握して、外来海洋生物種の導入を厳しく管理する。

5.海洋環境被害を防止・処理する。
  
  担当当局を越えた海上油流出観測・緊急対応システムを確立して、油流出事故に素早く対応し処理する能力を向上させる。海洋関連当局とすべての沿海都市、港湾はいずれも油流出緊急対応策を制定しなければならない。赤潮観測システムを完備させて、早期予知能力を向上させ、赤潮情報に関する管理を適正化し、被害緊急対策メカニズムを構築して、赤潮による損害をできるだけ軽減する。

(7)厳格な監督・管理、原子力と放射による環境保全の確保 

原子力施設と放射源の安全への監督・管理を重点に、放射性廃棄物の処分・処理能力を強化し、原子力と放射の安全管理を全面的に強化して、環境保全を確保する。

1.原子力施設の建設の質と運転の安全水準を向上させる

 新世代の原子力発電所の安全評価技術を開発し、安全監督・管理方法を改善して、原子力発電所の改修と運転の安全への監督・管理の有効性を向上させる。民生用原子力安全施設の管理に関する立法を整備し、安全な施設の設計や製造、設置等の管理をさらに強化して、国産化施設の質的向上を図る。

2.放射性同位元素と放射線装置の管理を完備させる

 放射性同位元素と放射線装置の生産、使用、販売と輸出入の安全許可と監督を一段と強化し、放射安全許可証の再発行を完了する。放射源に対して寿命期間中の追跡調査を実施するための全国放射源管理情報システムを構築する。廃棄放射源の安全な保管を実現する。

3.放射性汚染の処理を加速する

 原子力施設の安全閉鎖政策を制定する。低中レベル放射性廃棄物の浅地中処分場の建設を加速する。国・省クラスの放射性廃棄物データベースの整備を完了する。原子力工業が残した放射性廃棄物の処理を推進する。ウラン鉱の処理と付随する放射性鉱物による放射性汚染の現状の調査、評価を実施し、汚染の防止・処理を監督する。

 モデルプロジェクトを実施することで、高レベル放射性廃棄物の処理技術を把握して、廃棄物の固化・液化処理施設の建設を積極的に推進する。高レベル放射性廃棄物を処理するための地質調査と探査作業を積極的に展開する。高レベル放射性廃棄物処理の長期的安全に関する研究を展開し、地中処理に向けた発展戦略と総合的な安全目標を確定する。

4.電磁輻射汚染の防止・処理水準を向上させる

 電磁輻射汚染に関する法規と基準を確立、完備させて、電磁輻射の環境への影響評価を強化する。電磁場の空間的分布を最適化し、合理的に分布された電磁場源を設けることで、人口稠密地区での電磁輻射による汚染を防止する。

(8)管理能力向上の強化、法執行監督水準の向上

 目標と手段の整合性、任務と能力の適合性という要請に基づき、観測と評価、適時の予知、迅速な反応、科学的管理を目標に、自動化と情報化を方向に、先進的な環境観測・予知システムと完備された環境法執行監督システムを重点にして、環境監督・管理能力向上計画を実施し、各政府からの財政投入を積極的に目指して、環境管理能力の向上に努める。

1.先進的な環境観測・予知システムを構築する

 チームの専門化、設備の近代化という要請に基づき、各地方の環境観測ステーションの標準化整備を推進する。2010年までに、県クラスの80%の環境観測ステーションで標準化を達成する。  

科学的な配置、正確なデータ、適時の伝達という要請に基づき、大気と地表水、近海域、輻射、生態環境等の環境の質に関する全国的な観測ネットワークを構築して、科学的、全面的、適時に環境の質的状況と変化動向を反映させる。

動態観測、適時予知、正確計量という要請に基づき、重点汚染源を監督する観測・自動観測システムを構築して、リアルタイムで汚染排出状況を観測する。石炭燃焼発電所のオンライン観測システムを優先的に構築する。

2.完備された環境法執行監督システムを構築する

 環境保護の法執行整備の水準を向上させ、中西部地区での法執行能力の向上を重点的に支援する。2010年までに、省、直轄市、県クラスの執行チームの能力をほぼ標準化する。国、省と直轄市クラスの原子力安全と放射による環境への監督・管理能力の向上を強化して、安全監督水準を向上させる。

3.環境汚染事故緊急対応システムを構築する

 国家環境突発事故緊急観測ネットワーク及び指揮本部を設置し、各省・直轄市は相応の環境緊急対応指揮システムを構築しなければならない。国、省、直轄市及び流域はそれぞれ水、大気環境の突発事故に対する緊急観測車両及び機器を配備し、重点港湾と内陸河川の港湾に緊急観測船舶を配備する。

4.環境総合評価能力を向上させる

 全国規模で汚染源の全面調査、飲料水水源地の調査、地下水汚染の現状調査、土壌汚染の現状調査、残留性有機汚染物質の調査、重点施設の電磁輻射調査と付随する放射性鉱物資源の開発と利用に関する調査を実施する。

 環境の統計能力の向上を強化し、統計方法を改革し、統計季報制度を確立し、全面的かつ適時、正確に環境総合情報を提供する。環境の質と生態変化の評価及び環境経済試算を定期的に実施する。

5.「金環プロジェクト」を実施する

 国と地方の環境保護情報システムを構築する。環境保護情報基礎ネットワークを確立し、国家環境データ情報ベースと環境管理政策決定支援システムを整備し、高効率で迅速な環境汚染事故緊急対応指揮情報伝達システムを構築し、環境保護のデジタル化を実現し、情報公表制度を完備させて、環境情報の共有を促進する。

6.環境科学技術の革新と支援能力を増強する

 国家環境重点実験室、国家環境工程技術センターと環境基準実験室を建設する。国家環境基準サンプル研究開発・生産基地をほぼ完成させる。

7.チームの整備と人材育成を強化する

 環境保護を管理する幹部と技術者の育成に力を入れ、資質の高い技術人材を養成する。資格認証制度を実施し、環境技術者の業務執行資格範囲を徐々に拡大する。環境保護チームの思想・政治教育と清廉な行政を強化する。

『小欄4 環境監督・管理能力向上の重点内容』(略)


(4)重点プロジェクトと投資の重点


わが国の環境問題を解決するには、計画を基礎に、プロジェクトに依拠し、投資を保障し、計画を着実に実施し、資金を着実に確保し、プロジェクトを着実に実行して、「十一五」の環境保護目標を確実に達成しなければならない。

(1)重点プロジェクト

 国の「十五」各重点整備計画の継続プロジェクトの達成を加速し、「十一五」計画に盛り込まれたプロジェクトに速やかに着工し、新たな工事プロジェクトについては検討し、論証を行う。「十一五」期間、10項目の環境保護プロジェクトを重点的に実施する。各種の資源を動員し、多元化された投資ルートを開拓し、力と資金を集中させて、重点的に実施しなければならない。

『小欄5 「十一五」環境保護重点プロジェクト』(略)

「十一五」の環境保護目標を実現するには、全国の環境保護への投資が同期の国内総生産のおよそ1.35%を占めなければならない。

1.水汚染の処理

 化学的酸素要求量を10%削減する目標を実現するには、プロジェクトや措置を講じることで、化学的酸素要求量を400万トン削減しなければならない。そのうち、都市汚水処理能力を新たに4500万トン?日増強して、削減能力を300万トンにし、工業汚水の処理で100万トン削減しなければならない。水汚染の処理が投資の最優先である。
  
2.大気汚染の処理
  二酸化硫黄排出量を10%削減する目標を実現するには、「十一五」期間に新規建設の石炭燃焼発電所に脱硫施設をほぼ設置した上で、さらにプロジェクトや措置を講じることで、現役発電ユニットによる二酸化硫黄を490万トン削減して、ユニットが運転する脱硫発電容量を2.13億キロワットにし、鉄鋼焼成機排煙脱硫等のプロジェクトによって脱硫能力を30万トンにしなければならない。その他の工業排気ガスの処理、都市の集中熱供給、集中ガス供給等についても、大気汚染の総合整備を推進する。
  
3.固体廃棄物の処理

 有害廃棄物と医療廃棄物処分施設の建設計画を引き続き実施し、都市の生活ごみ無害化処分能力を新たに24万トン?日増強し、工業固体廃棄物、廃家電の処分と総合利用等、固体廃棄物の処理を推進する。

4.原子力の安全と放射性廃棄物の処理

 閉鎖された原子力施設と低中レベル放射性廃棄物を処分・処理し、ウラン鉱開発による汚染を防止・処理する等の施設を重点的に建設する。

5.農村の汚染処理と生態保護

 農村でゆとりのある環境保護行動計画を実施して、環境整備を起動させ、土壌汚染調査と復元作業を実施して、重点生態機能保護区と自然保護区の建設を強化する。

6.能力の向上

 先進的な環境観測・予知システム、完備された環境法執行監督システムを構築し、環境保護科学技術と産業支援能力を増強する。

(2)投資の財源

1.政府の投資

 環境基盤施設の整備、重点流域の総合整備、原子力と放射の安全、農村の汚染処理、自然保護区と重要生態機能区の建設、環境監督・管理能力の向上等は、主に地方の各人民政府の資金投入を主体にし、中央政府はそれぞれの状況に応じて支援する。

2.企業の投資

 工業汚染の処理については、「汚染した者が責任を負う」原則に基づいて、企業が責任を負う。そのうち、現在の汚染処理への投資は、企業が所有する資金あるいは銀行融資を利用して解決する。新規建設・拡張・改修プロジェクトへの環境保護投資は、建設プロジェクト投資計画に盛り込まなければならない。

 市場メカニズムを積極的に活用し、社会の投資を取り込んで、多元化された資金投入の枠組みを確立しなければならない。「十一五」期間に予想される汚染排出費用徴収の750億元については、汚染の処理に充て、補助あるいは利子補填の形で、銀行とくに政策銀行を取り込むことで、環境保護プロジェクトを積極的に支援する。


(5)保障措置


 歴史的な転換を積極的に推進し、長期にわたり環境保護の発展を制約してきた制度上の障害の克服に本格的に取り組み、改革と刷新に力を入れ、体制を完備させ、メカニズムを刷新し、法制を強化し、資金投入を増大して、環境保護事業の水準を向上させる。

(1)地域経済と環境の調和の取れた発展の促進

 地域発展総合戦略を実施し、国土を四類の主体機能区に区分し、経済構造を最適化し、地域の協調の取れた発展のための戦略的措置を促進するだけでなく、さらに生態環境を保護するための基礎的、長期的な抜本的措置も、国が環境保護の分野でのマクロ調整と分類指導を強化する上で拠り所となるものである。

1.地域分類指導を強化する

 国の地域の調和の取れた発展に関する総合戦略の枠組みの下で、西部地区は、生態保護を強化し、国の政策と計画に基づいて、生態重視のための非耕地化を安定的に実施し、各種の生態整備プロジェクトを引き続き推進し、重点生態機能保護区を建設し、砂漠化と石漠化の整備に力を入れ、資源開発による環境への監督・管理を強化し、重化学工業と資源開発の過程での汚染と生態破壊を抑制、防止し、三峡ダム地区及びその上流、黄河中・上流等の重点流域の水汚染と水土流失の防止・処理を強化しなければならない。東北地方は、黒土の水土流失と西部の砂漠化の総合整備を強化し、資源が枯渇している都市と鉱山の生態復元に力を入れ、松花江、遼河、鴨緑江等の流域と境界河川の汚染処理を推進し、生態重視の省、循環型経済の試験的な省としての建設を加速しなければならない。中部地区は、環境基盤施設の整備を加速し、重点流域の水汚染処理に力を入れ、地域の資源環境の負荷能力を有効的に維持し、汚染物の総排出量を厳しく規制しなければならない。東部地区は、率先して歴史的転換を推進し、率先して過去の負担を返し、産業構造の最適化と高度化を加速し、長江デルタ、珠江デルタ、北京・天津・山東省等の沿海都市郡地域の環境総合整備に力を入れ、主要汚染物の総排出量を大幅に削減しなければならない。

2.環境の分類管理を段階的に実行する

 全国の主体機能区分という要請に基づき、四類の主体機能区について分類管理するための環境政策・評価指標システムを構築して、段階的に分類管理を実行する。

 開発最適化地域では、環境をあくまで優先し、産業構造と配置を最適化し、ハイテクを大々的に発展させ、伝統産業の技術の高度化を加速し、厳格な建設プロジェクトの環境参入制度を実行し、率先して汚染の総排出量削減任務を達成し、増産・汚染減少を確実に実現し、突出した環境問題を解決して、環境の質的改善を図る。

 開発重点地域では、環境と経済の調和の取れた発展をあくまで目指し、環境の負荷能力を科学的かつ合理的に活用し、工業化と都市化を推進し、環境基盤施設の整備を加速し、汚染物の総排出量を厳しく規制し、増産・汚染減少を確実に実現して、環境の悪化傾向をほぼ食い止める。

 開発規制地域では、保護をあくまで主体にして、発展の方向を合理的に選択し、特色と強みのある産業を発展させ、重点生態機能保護区の建設を加速し、生態機能の復元と育成を確保して、徐々に生態バランスを復元させる。

 開発禁止地域では、あくまで強制的に保護し、法律・法規と関連計画に基づいて厳格に監督・管理し、主体機能の位置づけに合致しない開発は厳しく禁止して、人的要素による自然生態への影響と破壊を抑制する。

3.西部地区の環境保護を重点的に支援する

 西部大開発総合戦略と政策に基づき、西部地区の環境保護への支援に力を入れる。西部地区の政策指導を強化し、汚染の西部地区への移転を厳しく規制する。西部地区で優先的に生態補償メカニズムを確立し、実施する。国の主要廃棄物総排出量指標、汚染処理資金と能力向上資金を、できるだけ西部地区に傾斜配分する。自由意志・互助の原則に基づき、東・中部地区が西部地区を支援して建設と人材の養成を強化するよう提唱する。各都市の対象地区に基づくチベット援助を確実に実施する。

(2)経済構造調整の加速

 産業構造の最適化と高度化を大々的に推進し、クリーンな生産を促進し、循環型経済を発展させ、汚染を根底から減少させて、環境にやさしい社会の建設を推進する。

1.環境への参入条件を強化する

 鉄鋼や非鉄、建材、電力、軽工業等の重点業種の参入条件を確定するに当たっては、環境保護という要請を十分考慮し、新規プロジェクトについては、国が規定する参入条件と排出基準に合致していなければならない。すでに環境容量が限界に達した地域では、汚染物排出量を増加させる新規プロジェクトを禁止する。

 国の産業政策と環境保護に関する法規に基づき、汚染が深刻な遅れた技術、設備や企業の排除に取り組む。遅れたものを排除することを、環境にやさしい社会を建設するための重要な方法に据える。

2.循環型経済の推進を加速する

 循環型経済の発展という要請に基づき、関連する法規を制定して、評価指標システムを完備させる。資源の節減と循環型経済の発展に役立つ経済政策を実行する。重点業種、産業団地と省・直轄市で循環型経済を試験的に推進し、先進的な適用技術と典型的なノウハウを普及させて、循環型経済の試験モデルプロジェクトを実施する。重点業種のクリーン生産基準、評価指標システムと強制的クリーン生産審査技術指針の策定を加速して、クリーン生産を実施するための技術支援システムを構築し、推進する。企業にクリーン生産プランを積極的に実施するようさらに働きかける。汚染物排出が国と地方の基準あるいは総排出量指標を超える企業と、有毒・有害原料を使用あるいは有毒物質を排出する企業に対しては、法に基づいて、強制的なクリーン生産に関する審査を行わなければならない。

3.資源節減と総合利用を大々的に実施する

 低投入、高生産、低消耗、少排出、エネルギー循環、持続可能の原則に基づき、省エネと節水、土地節減と汚染物総排出量削減とを有機的に結びつけることで、統一計画を実施し、同時に実施し、エネルギー資源の利用効率の向上を重要な措置として、「十一五」の主要汚染物削減目標を達成する。

(3)体制の完備、責任の着実な履行

 環境保護の新たな情勢に適応して、中央と地方の業務権限を明確にし、政府と企業の職責を明確にして、統一された、協調性のある、高効率な環境監督・管理体制を整備する。

1.国の監察を強化する

 政策・措置を完備させ、全国の環境保護の評価、計画、マクロ調整と指導・監督を強化する。華北、華南等の各地区で監督・監察機関の設置を加速し、地域、流域の環境保護事業の協調と監督を強化して、突出した環境の違法問題を取り締まる。

2.地方の監督・管理を強化する

 行政区域の環境の質に対しては、あくまで地方政府がその責任を負うようにし、政府の環境責任を着実に履行する。環境保護目標責任制を確立して、評価と査定を強化する。

3.事業体に責任を着実に履行させる

 規制メカニズムと奨励メカニズムを総合的に運用し、企業とその他の組織が環境関連法規と基準を厳格に執行し、自覚的に汚染を処理して、生態を保護するよう促す。企業の環境情報公開制度を確立して、社会による監督を強化する。企業環境監督員制度を確立して、職業資格管理を実行する。

4.当局の協力を強化する

 当局の職責分担を徐々に円滑にし、環境の監督・管理での協調性、整合性を向上させる。当局間の情報共有と協調連動メカニズムを確立し、部・委員会の垣根を越えた合同会議の役割を十分に発揮させる。各関係当局は各自の職責に基づいて、関連する分野の環境保護事業を確実に実施する。環境保護当局は職責を適切に履行し、環境計画を統一化し、法執行の監督を統一化し、環境情報の公表を統一化して、総合管理を強化しなければならない。

(4)メカニズムの刷新、資金投入の増大

 政策刷新の推進に努め、政府の調整と市場メカニズムを有機的に結びつけ、法規上の規制と政策上の奨励を有機的に結びつけ、政府資金を投入することで社会の資金投入を促進し、経済政策によって市場資源を動員し、キャンペーン・教育を行って公衆が参与するよう指導するなど、政府が主導し、市場が推進し、公衆が参与する新たな環境保護メカニズムをさらに完備させる。

1.政府の資金投入を拡大する

 環境保護への資金投入を公共財政支出の重点に据えて、徐々に増大させる。国の基本建設投資では、環境保護に引き続き傾斜配分し、国家環境保護重点プロジェクトと国家環境整備計画に盛り込まれたプロジェクトについては、状況に合わせて支援しなければならない。各政府は汚染の防止・処理、生態保護と環境公共施設建設への投資を拡大し、環境保護当局の事業費をそれぞれの財政支出予算に組み入れて、環境保護機関の経費保障度を着実に高めなければならない。汚染排出費用の資金使用管理を強化し、使用効果の監督と評価を強化する。中央と地方の業務権限を合理的に区分した上で、中央政府は中西部地区の環境保護への支援を拡大する。

2.環境経済政策を完備させる

 資源税、消費税、輸出入税の改革では、環境の保護という要請を十分考慮し、環境税収制度の確立を模索し、税収の運用をてこにして資源節減型、環境にやさしい社会の建設を促進する。

 価格のてことしての作用を発揮させ、汚染処理コストを反映できる汚染排出価格と費用徴収メカニズムを確立し、条件の整った地区と事業体では、二酸化硫黄等の汚染排出権取引を実施できるようにする。環境コストの内部化を実現し、企業の汚染排出削減を促進し、環境汚染の処理効果を向上させる。再生可能エネルギーを利用した発電所、脱硫装置を設置した発電所、ごみを燃焼する発電所については、優先的な電力網への参入あるいは電力料金の引き上げ等の優遇政策を実施し、脱硫による電力価格の動態管理を実施する。

 都市の汚水、生活ごみ、有害廃棄物と医療廃棄物の処理・処分費用及び放射性廃棄物の諸経費を全面的に徴収して、処理施設と保管諸施設の正常な運営を確保する。汚染物排出費用の徴収と検査に力を入れて、費用徴収制度をさらに完備させる。地方公共事業の改革を加速し、各種企業が環境基盤施設の建設と運営に参加するよう奨励して、汚染処理の市場化を推進する。
  
  信用融資政策を完備させ、銀行とくに政策銀行が、償還能力のある環境基盤施設整備プロジェクトと企業の汚染防止・処理プロジェクトを融資面で支援するよう奨励する。環境責任保険と環境リスク投資の確立を模索する。外資ルートの利用を積極的に拡大し、引き続き国際機関や外国政府の無償援助及び優遇借款を目指す。

「開発した者が保護し、破壊した者が復元し、利益を受けた者が補償し、汚染を排出した者が費用を払う」原則に基づき、三峡ダム地区、「南水北調」の水源地、重点エネルギー開発区と国家クラス自然保護区を突破口にして、試験地区を拡大し、生態補償政策を完備させて、生態補償メカニズムを確立する。

(5)法治の強化、厳格な監督・管理

 法治の強化は、汚染を防止・処理し、生態を保護する上で鍵となるものであり、環境と発展の総合的な政策決定に参与し、経済成長方式の根本的転換を推進する上で効果ある手段でもある。有力な措置を講じることで、法規が健全化されていない、法の執行がかなり難しい、法律違反のコストが低い、法律違反が追及されない、法の執行が厳格でないといった問題の解決に取り組む。

1.法規基準システムを完備させる

 現行の法規基準を早急に改訂し、完備させて、法的な空白を埋める。重点は『中華人民国環境保護法』と『中華人民共和国水汚染防止・処理法』の改訂作業を確実に行うのに合わせて、土壌汚染、化学物質汚染、生態保護、生物の保全、遺伝資源、オゾン層の保護、原子力の安全、循環型経済、環境の観測、環境損害賠償等に関する法律・法規の草案を制定することである。各地方も条例を完備させなければならない。技術規範と環境基準システムを完備させ、基準の限界値を科学的に確定して、各地方がより厳格な汚染物排基準を制定するよう奨励する。
  
  司法当局に積極的に協力して、司法手段を通して環境の法執行の権威性と有効性を保障する。

2.法執行監督システムを完備させる

 権限と責任の明確化、行為の適正化、監督の強力化、運営の高効率化という要請に基づき、法執行の責任と手順を明確にし、法執行の効率を向上させ、法執行の監督を強化し、あくまで法があれば必ずそれに依拠し、法執行は必ず厳格にし、法律に違反すれば必ず追及するようにする。

 法律に違反した汚染物排出企業の整理、大衆の健康を保障する特別行動を徹底的に展開して、環境の違法行為と事件を厳しく取り締まる。環境保全検査を引き続き実施し、河川沿いと人口密集地での石油、化学工業、製錬等の企業による排出を重点的に調査して、環境への潜在的リスクを排除することに努める。有害化学品、有害廃棄物、放射性廃棄物の監督・管理を強化して、環境リスクを防止する。各政府と重点企業は緊急対応策を制定し、必要な緊急施設を設置して、環境への突発的事件の処理能力を向上させなければならない。
 
3.三件の環境管理制度を重点的に実行する

 汚染物総排出量規制制度を着実に実行する。主要汚染物の総排出量規制計画指標を各層に割り当て、末端層と汚染排出事業体に徹底させる。汚染物排出の観測と統計を強化する。汚染物排出の許可、汚染物排出費用の徴収、強制的排除、期限内の処理と環境への影響評価等の各種環境管理制度と手段を総合的に活用して、総排出量の規制目標を実現する。

 環境影響評価と「三同時」(建設プロジェクトは環境保護施設と同時に計画し、施工し、生産に使用する)を強化する。試験的実施を加速した上で、各種の発展・建設計画の環境影響評価を推進して、環境汚染と生態破壊を根底から防止する。建設プロジェクトの環境影響評価と「三同時」の管理を厳格にし、環境評価資格の管理を強化し、評価の質を向上させて、環境評価責任制を着実に実行する。「三同時」の検査を厳格にし、審査・認可の重視と監督・管理の軽視、事前評価の重視と事後評価の軽視、認可前の工事着工、検査前の生産開始といった状況を早急に改める。

 環境目標責任制を実行する。「十一五」の環境保護目標と任務を各政府に割り当てて、各層に徹底させる。環境管理の実績・効果査定メカニズムを確立して、環境保護を経済社会発展評価システムに組み入れる。科学的な評価指標を制定して、党・行政幹部の政治実績総合評価システムに組み入れる。環境保護の問責・賞罰制度を確立して、『環境保護の法律違反、紀律違反行為の処分に関する暫定規定』を厳格に執行する。

(6)科学技術に依拠、産業の発展

 科学技術の革新を動力に、産業発展を支柱にして、環境保護技術の水準向上に努める。

1.科学技術の革新を大々的に促進する

 環境保護を促進し、支援する科学技術力を向上させるために、国家中長期科学技術発展計画綱要にある環境重点分野及びその優先課題を中心にして、環境技術革新プロジェクトを全面的に実施する。基礎理論と技術革新を支柱にして、環境基準システム整備プロジェクトを全面的に実施する。環境管理と汚染防止・処理技術の向上を目標にして、環境技術管理システム整備プロジェクトを全面的に実施する。気候変動分野の基礎研究を強化し、研究・分析方法をさらに開発し、完備させる。

 環境科学技術体制の改革を進展させ、各方面の力を結集し、環境科学技術資源を最適・整合化し、科学技術の人材を育成し、科学技術による支援システムを整備して、環境科学技術の革新能力を向上させる。環境政策決定の科学化と民主化の向上に努める。

『小欄6 「十一五」環境技術革新の優先分野』(略)

2.環境保護産業の発展を積極的に促進する

環境保護重点プロジェクトの必要性に立ち、環境保護モデルプロジェクトに依拠し、標準化と系列化、国産化、近代化を方向に、自主的革新と導入、消化・吸収することで、環境保護設備製造業を大々的に発展させる。

 環境影響評価、環境プロジェクト・サービス、環境技術の研究開発と相談、環境リスク投資を重点に、市場化を主体にすることで、環境保護サービス業を積極的に発展させる。

 発展計画を作成し、技術進歩を推進し、業界の自律を強化し、市場行為を適正化し、公平な競争を促進することで、環境保護産業の健全な発展を推進する。

 対外開放を拡大し、導入・輸出戦略を実施し、各種所有制企業の環境保護産業への参入を支援する。自主ブランドを備え、コア技術力に強みがあり、市場シェアが高く、比較的多くの就業機会を提供できる優位性のある企業と企業グループを育成して、環境保護産業を国民経済の新興基幹産業にする。

『小欄7 「十一五」環境保護産業の優先発展分野』(略)

(7)社会の力を動員した環境保護

各種の環境キャンペーン・教育活動を展開し、環境情報を公開し、社会各界の力を動員して環境保護に参与させる。

1.全社会の生態文明への意識を高める

 各幹部と広範な大衆の環境意識と法制観念を絶えず高め、指導幹部に対しては環境教育と研修を重点的に強化する。世論の指導と監督の作用を十分に発揮させ、環境保護の方針・政策と法律・法規を大々的に宣伝して、環境の違法行為を公開して明らかにする。環境の基礎教育、専門教育、社会教育と職場研修を強化する。資源節約型の環境にやさしい社会の建設の要請に適応した生産・生活様式を全方位、多層的に推進する。

2.公衆の環境情報を知る権利を拡大する

 政務の公開を推進し、環境保護の政策・法規、プロジェクトの審査・認可、案件の処理等の政務公告・公示制度を実行する。政府の環境情報サイトを完備させ、環境の質、環境管理等の情報を公開、公表する。法に基づいて企業環境情報の公開を推進し、上場企業の実績・効果と評価、環境情報を公表する。

3.公衆の環境保護参与メカニズムを完備させる
  
  環境科学の知識を大々的に普及させ、多くの郷・村で環境保護科学知識普及行動計画を実施する。環境ラベルと環境認証を推進し、グリーン消費、グリーン事務、グリーン購入を提唱し、グリーンなコミュニティー、グリーンな学校、グリーンな家庭といった大衆的な創造活動を広範囲に展開し、労働組合や共産主義青年団、婦女連合会等の大衆組織、コミュニティー組織や各種環境保護団体及び環境保護ボランティアの役割を十分に発揮させる。投書・陳情の受理作業を強化し、12369環境保護ホットラインの役割を十分に発揮させ、大衆が通報し苦情を訴える手段を拡大し、円滑にする。環境公益訴訟の研究を展開し、行政による再検討会議を強化し、法に基づいて公民の環境権益を擁護する。公衆参与のためのルールと手続きを完備させ、公聴会や論証会、社会公示等の形式を採用して、公衆の意見を聴取し、大衆の監督を受け入れて、民主的な政策決定を行う。

(8)環境保護国際協力の積極的な展開

 環境保護をわが国の対外開放の重要な分野に据えて、引き続き対外開放を拡大し、国際的な環境問題でより積極的な役割を発揮する。

1.世界の環境保護に積極的に参与する

 あくまで「共通だが差異ある責任」を原則に、国際環境条約と世界貿易機関の環境・貿易交渉に積極的に参与し、わが国と広範な発展途上国の環境権益を擁護する。相応の国際的義務を履行し、国内での確約の履行作業を大々的に推進し、オゾン層破壊物質排除プロセスを加速して、温室効果ガス排出の抑制に努める。

『小欄8 加盟する環境に関する国際条約』(略)

2.国際環境協力を幅広く展開する

 重要な大国、大国集団、伝統的な友好国との環境協力を強固にして関係を深め、周辺国との環境協力を重点的に強化し、発展途上国との環境協力を拡大、発展させ、国連環境計画、世界銀行、世界の環境基金等の国際組織との協力を引き続き深める。協力と交流を通して、わが国の環境保護の政策と進展状況を紹介し、わが国及び発展途上国の環境権益を擁護する。

 国外の資金、技術、管理ノウハウを導入して、わが国の環境保護技術と管理水準を向上させる。わが国の環境保護設備と技術の国際市場への参入を推進する。自主革新能力を強化し、温室効果ガス排出削減のための国際協力と技術移転を積極的に推進する。

 環境と貿易の協調性を強化する。グリーン化による貿易障壁に積極的に対応し、貿易製品に対する環境基準を完備させ、環境リスク評価メカニズムと輸入製品有害物質観測システムを構築し、利用可能な再生資源と種の資源を合理的に導入するだけでなく、汚染の侵入、廃棄物の違法な輸入、有害外来種の侵入と遺伝資源の流失にも厳しく対応しなければならない。


(6)計画の実施と査定


 本計画を実施することは、全社会共通の義務であり、さらに各人民政府の重要な責任でもある。各人民政府は職責を適切に履行し、事業に取り組み、環境保護への資金投入を確保し、社会資源を導入し、主体性のある責任、ルートを通じた資金投入、保障のある任務を確実に果たし、本計画が提起した各種の任務と保障措置を逐一、着実に実施しなければならない。

「十一五」の主要汚染物総排出量抑制の目標は、国が「十一五」計画綱要で確定した拘束性のある指標であり、すでに各省、自治区、直轄市に通達した。各省、自治区、直轄市は各層に割り当て、各地区に徹底させ、重点業種と事業体に徹底させて、達成を確保しなければならない。

 本計画の指導の下で、重点となる分野、流域と地区の環境保護専門の計画を早急に作成して、組織的に実施しなければならない。環境保護計画と経済と社会の発展計画との関連性と協調性、相互促進、同時実施を確実に実現しなければならない。各地区も本地区の環境保護計画の作成作業を着実に進めて、認可を得た後に実施しなければならない。
  
  当局の協力を強化して、共同で計画の実施を推進する。発展改革当局は環境保護に役立つ産業、価格、投資政策を制定し、重点環境保護プロジェクトを経済と社会の発展計画に盛り込まなければならない。財政当局は環境保護に役立つ財政・税制政策を検討、制定し、生態補償メカニズムを確立、完備させ、環境観測予知システム、環境法執行監督システムの整備を支援しなければならない。建設当局は都市の汚水、ごみ処理、公園の緑化等の環境整備と管理を確実に実施しなければならない。国土資源、交通、水利、農業、林業、観光、海洋等の関係当局もそれぞれの職責に基づいて、環境保護を支援し、推進しなければならない。

 環境保護当局は評価・査定メカニズムを確立し、計画実行状況に対する督促と検査を強化し、半年ごとに1回、各地区の主要汚染物の排出状況、重点工事プロジェクトの進捗状況、重点流域と重点都市の環境の質的変化の状況を公表しなければならない。

 2008年末と2010年末にそれぞれ、本計画の実施状況について中期評価と終期査定を行う。


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