佐藤(1992)による〔『世界の銅鉱床・銅鉱山』(4、12p)から〕


1.はじめに
 鉱物資源の生産量や埋蔵量について、国別にどのような分布をしているかは例えば米国鉱山局(U.S. Bureau of Mines)の“Mineral Commodity Summaries”や我が国の「鉱業便覧」を見ればすぐに知ることができる。しかし鉱床タイプ別や鉱床の生成年代別に、どのタイプあるいはどの時代が重要なのかを定量的に示した統計はほとんどない。
 かつて筆者は、銅・鉛・亜鉛・鉄などについて、主要な鉱床タイプの重要度を示したことがある(第1表;佐藤、1979:略)。このとき使用した原データは、Baushau(1971)やPelissonier(1972)などが総括した鉱山地域別の総金属量(累積生産量+埋蔵量)であり、生産量と埋蔵量の区別、あるいは生成時代お別の詳しい解析はできなかった。
 銅鉱床についてはJacobsen(1975)が、1974年の生産量について鉱床タイプ別・生成年代別の解析を行なっている。参考のために彼の生成年代別の分布を第1図(略)に示す。
 最近筆者は、資源地質学会の依頼により「銅・鉛・亜鉛・金・銀資源の過去・現在・未来」と題する論文をまとめたが、その際自由経済圏の主要鉱床/鉱山の生産量と埋蔵量についてのデータを集積・整理して、鉱床タイプ別・生成年代別の量的分布を明らかにしようと試みた。上記論文ではページ制限のために充分書ききれなかった部分も多いので、ここでは特に銅鉱床に焦点をあててその資源的特徴を述べてみたいと思う。』

2.対象とした鉱床と鉱床タイプの分類
3.世界の大鉱床
4.鉱床タイプと生成時代

5.おわりに
 小論でまとめたのは自由経済圏諸国の鉱床だけであり、現時点でデータ収集が不可能な旧・現統制経済圏の鉱床は含まれていない。その意味で、小論の題はいささか羊頭狗肉である。今後さらに旧共産圏の情報公開が進み、世界の鉱物資源の全体像が明らかになることを期待したい。
 また、本解析で使用した個々の鉱床データには不完全なものが多々あり、とくに埋蔵量に関しては収集漏れが多い。読者諸氏のご批判・ご助言をお願いしたい。』



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