江良(1977)による〔『日本の鉱物資源*』(131-132p)から〕


日本における骨材資源の現況と展望

江良誠至

1 骨材とは
 一般的には、コンクリート用骨材、舗装用骨材など、セメントあるいはアスハルト乳剤と混合される不活性材料を示すが、具体的には、砂利・砂・砕石・砕砂・人工軽量骨材・スラグ(鉱炉滓バラス)および天然軽石等、また場合によって道路用盤材を含めて、土木建築用に用いられるものの総称として、「骨材」という言葉が使われている。
 骨材の本源的資源としては、岩石・鉱物に類するものであるが、河川の上流地域に存在する岩石が、同化(注:風化?)作用などにより母岩を離れ、河川の流水中を流下しながら、堅硬な大小の粒状に変化した「砂利資源」需要地より一定の経済圏内に賦存する岩塊を移行(注:稼行?)対象とする「岩石(砕石)資源」に大別され、また、石灰岩を移行対象とする砕石、鉱石より有効成分を採取したあとの鉱滓の砕石等が「鉱物(砕石)資源」に属することになるといえよう。
 しかし、骨材供給の95%程度が、砂利・砕石(岩石)によってまかなわれている実態から、これを指して、通常は「骨材資源」と呼ばれていると考えても良い。
 骨材資源が骨材となるためには、もちろん充足すべき品質規格があるが、大略は、次のように整理されている。

○砂利資源の分類と規格
(1)生産地による分類(呼称)
   河川砂利・砂   河川、湖沼、ダム等から採取されるもの
   陸砂利・砂     旧河川敷であった農地・原野から採取されるもの
   山砂利・砂     山・丘陵などで採取されるもの
   海砂利・砂     海岸、海底から採取されるもの
(2)粒度による分類(種類)
   砂     5mmふるいを通過するもの
   砂利    径約5mm以上、径約80mm程度のもの
   玉石    径100mm以上300mm程度のもの
○岩石資源の品質規格
岩(鉱)石砕石の品質規格は、日本工業規格によって、道路用(JIS A 500 1) コンクリート用(JIS A 500 5)がそれぞれ定められている。
(1)日本工業規格による原石の指定
 ・コンクリート用砕石
  玄武岩、安山岩、硬質砂岩、硬質石灰岩、またはこれに準ずる岩石*
 ・道路用砕石
  玄武岩、安山岩、石英粗面岩、石灰岩、もしくはこれに準ずる材質の岩石
(2)日本工業規格による品質規定
 (イ)材質規定
  比重 吸水量(%) すりへり減量(%) 安定性(%)
道路用砕石 2.45以上 3.0以下 35以下(表層、基層)
コンクリート用砕石 2.50以上 3.0以下 40以下 12以下

 (ロ)品質規定
 製品の呼び名ごとに、粒度範囲が定められている。また、形状、清浄性についての規定および品質試験方法について定められている。
 *注引用 「これに準ずる岩石」と称しているのは、玄武岩、安山岩、石英粗面岩に対応する貫入岩であるところの石英斑岩、ひん岩、輝緑岩、かんらん岩等を、また硬質砂岩に対応する輝緑凝灰岩、粘板岩、珪岩、頁岩、ホルンフェルス等を含めている。(早稲田大学 萩原)

 したがって、一定の物理的性状を有する岩石・砂礫を一定の品質規格に合わせて破砕・選別を行なって製品化し、土木建築用の重要基礎資材として使用されるものを「骨材」と呼び、その砕石・砂利の母岩の賦存状態を「骨材資源」としてとらえるべきである。この意味で現在の骨材問題は、「材料として」「資源として」の両方の立場で検討さるべきであろう。』

2 骨材需要の推移と供給構造の変化
3 骨材生産の現況
(1)資源上の問題点
(2)品質上の問題点
4 今後の展望と課題
 推論1 骨材の供給構造について
 推論2 資源開発の方向



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