「太陽光発電の技術の現状とロードマップ」  http://www.nedo.go.jp/library/ne_hakusyo/01.pdf
 
NEDO再生可能エネルギー技術白書の中のページ。86p。2010年7月27日。


目次

2 太陽光発電の技術の現状とロードマップ
 2.1 技術を取りまく現状
………3
  2.1.1 技術の俯瞰………3
   (1) 結晶系シリコン太陽電池
    1) 単結晶シリコン太陽電池
    2) 多結晶シリコン太陽電池
   (2) 薄膜系シリコン太陽電池
   (3) 化合物系太陽電池
    1) CIS系太陽電池
    2) CdTe系太陽電池
    3) 集光型太陽電池
   (4) 有機系太陽電池
    1) 色素増感太陽電池
    2) 有機薄膜太陽電池
  2.1.2 ポテンシャル………9
   (1) 世界
   (2) 日本
  2.1.3 導入目標量例………13
   (1) 欧州
   (2) 米国
   (3) 日本
  2.1.4 導入実績………21
   (1) 世界
   (2) 日本
  2.1.5 技術開発動向………23
   (1) 欧州
   (2) 米国
   (3) 日本
  2.1.6 システム価格、発電単価等………39
   (1) システム価格
   (2) 発電コスト
    1) 現状の発電コスト
    2) 将来の発電コスト
     @ 欧州
     A 米国
     B 日本
     C 発電コスト目標のまとめ
  2.1.7 推進施策・関連法令………44
   (1) 欧州
    1) 再生可能な資源からのエネルギー使用の推進に関する指令   
    2) 欧州エネルギー技術戦略計画(SET-Plan)
    3) フィードインタリフ制度
   (2) 米国
    1) 連邦レベルの推進施策・関連法令
     @ 2005年エネルギー政策法
     A ソーラー・アメリカ・イニシアティブ(SAI)
     B 各種インセンティブ制度
    2) 州レベルの推進施策・関連法令
     @ RPS法
     A ネットメータリング制度
     B フィードインタリフ制度
   (3) 日本
    1) エネルギー基本計画
    2) 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)
    3) 技術戦略マップ
    4) Cool Earthエネルギー革新技術計画
    5) 太陽光発電の固定価格買取制度
    6) 各種再生可能エネルギー導入補助事業・研究開発補助事業
  2.1.8 ビジネスモデル………64
   (1) 太陽光発電の製造・販売ビジネス
    1) 太陽光発電システムの製造・販売
    2) 太陽光発電関連部材の製造・販売
   (2) 太陽光発電による発電ビジネス
    1) IPP事業
    2) CDM
  2.1.9 国内技術の競争力………67

 2.2 技術ロードマップ………73
  2.2.1 目指す姿
   (1) 太陽光発電を取りまく現状
    1) 世界で拡大する太陽市場と国内市場の低迷
    2) 新興企業の成長と日本企業の地位の低下
    3) 世界に跨る日本企業の技術力
   (2) 我が国の太陽光発電の目指すべき姿
  2.2.2 目指す姿の実現に向けた課題と対応
   (1) 国際競争力の強化に向けた課題と対応
    1) 経済性の改善
    2) 革新技術の開発
    3) 太陽電池関連産業の育成
   (2) 国内市場の拡大に向けた課題と対応
    1) 利用および用途の拡大
    2) 利用基盤・利用環境の整備
  2.2.3 技術開発目標と技術開発の内容
   (1) 技術開発目標
    1) 発電コスト
    2) セル・モジュール変換効率
    3) モジュール製造・システム構成要素
   (2) 技術開発の内容
    1) 結晶シリコン太陽電池
    2) 薄膜シリコン太陽電池
    3) CIS系太陽電池
    4) 集光・革新型太陽電池
    5) 色素増感・有機薄膜太陽電池
    6) 太陽電池モジュール
    7) 太陽光発電システム技術
    8) 基盤整備・環境整備


図表2.1 太陽電池の種類と特徴

種類

特徴

変換効率*

実用化
状況

主な国内
メーカ
シリコン系 結晶系 単結晶
  • 200μm 程度の薄い単結晶シリコンの基板を用いる
  • 特長:性能・信頼性
  • 課題:低コスト化
〜20% 実用化
  • シャープ
  • 三洋電機(HIT
    タイプ)
多結晶
  • 小さい結晶が集まった多結晶の基板を使用
  • 特長:単結晶より安価
  • 課題:単結晶より効率低い
〜15% 実用化
  • シャープ
  • 京セラ
  • 三菱電機
薄膜系
  • アモルファス(非晶質)シリコンや微結晶シリコン薄膜を基板上に形成
  • 特長:大面積で量産可能
  • 課題:効率低い
〜9%
(アモルファス)
実用化
  • シャープ
  • 三菱重工業
  • カネカ
  • 富士電機
化合物系 CIS 系
  • 銅・インジウム・セレン等を原料とする薄膜型
  • 特長:省資源・量産可能・高性能の可能性
  • 課題:インジウムの資源量
〜12% 実用化
  • ソーラーフロ
    ンティア
  • ホンダソルテ
    ック
CdTe 系
  • カドミウム・テルルを原料とする薄膜型
  • 特長:省資源・量産可能・低コスト
  • 課題:カドミウムの毒性
〜11% 実用化
  • 国内:無し
  • First Solar (米)
集光型
  • V族元素とX族元素からなる化合物に多接合化・集光技術を適用
  • 特長:超高性能
  • 課題:低コスト化
集光時
〜42%)
研究段階
  • シャープ
  • 大同特殊鋼
有機系 色素増感
  • 酸化チタンに吸着した色素が光を吸収し発電する新しいタイプ
  • 特長:低コスト化の可能性
  • 課題:高効率化・耐久性
(〜11%) 研究段階
  • アイシン精機
  • シャープ
  • フジクラ
  • ソニー
有機薄膜
  • 有機半導体を用いて、塗布だけで作製可能
  • 特長:低コスト化の可能性
  • 課題:高効率化・耐久性
(〜8%) 研究段階
  • 新日本石油
  • パナソニック
    電工
  • 住友化学
  • 三菱化学
* モジュール変換効率、但し括弧内は研究段階におけるセル変換効率


図表2.12 世界の年間平均日射強度マップ(W/m2
Copyright:Mines ParisTech/ Armines 2006.
出典:SoDa ホームページ(http://www.soda-is.com/img/carte_Ed_13_world.pdf)


図表2.14 日本の年間最適傾斜角の斜面日射量(kWh/m2・d)
出典:太陽光発電フィールドテスト事業に関するガイドライン(設計施工・システム編)(2010, NEDO)


図表2.26 太陽光発電の導入見通し


図表2.27 主要国と世界の太陽光発電の導入推移(累積)


図表2.28 日本における太陽光発電の導入推移(累積・単年)


図表2.51 日米欧の発電コスト目標比較


図表2.72 太陽電池の生産量ランキング(2005〜2009 年)
※日本企業を赤枠で囲っている。
出典:PV News Volume 28, Number 4(2009.4, Prometheus Institute, Greentech Media)



図表 2.83 太陽光発電技術ロードマップ

NEDOによる『太陽光発電の技術の現状とロードマップ』から

【欧州における対策】
図表2.52 欧州における主要な再生可能エネルギー推進施策・関連法令
推進施策・関連法令 概要
再生可能エネルギー白書(1997)
  • 2010 年までにEU 内のエネルギー消費量の12%を再生可能エネルギーで賄う目標を設定(法的拘束力なし)。
  • 目標達成に向けた行動計画を策定。
再生可能電力推進に関する欧州指令
  • 2010 年までに電力供給量の21%を再生可能エネルギーでまかなう目標を設定。
  • 加盟各国に示唆的目標を設定(法的拘束力なし)。
  • 目標達成は困難な見通し(2010 年までに19%の達成見込み)。
バイオ燃料促進に関する欧州指令
  • 2010 年までにガソリン、ディーゼル油の5.75%をバイオ燃料で代替する目標を設定(法的拘束力なし)。
  • 目標達成は困難な見通し。
再生可能な資源からのエネルギー使用の推進に関する指令
  • 再生可能電力推進に関する指令とバイオ燃料促進に関する指令を修正、廃止する新たな指令。
  • 2020 年までにEU 全体の最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を20%にする目標を設定。
  • 2020 年までに運輸部門における再生可能エネルギーの割合を10%にする目標を設定。
  • 各国に法的拘束力のある目標値を設定。
欧州エネルギー技術戦略計画(SET-Plan)
  • EU 全体で共同し、低炭素化技術の研究開発および普及を加速させることを目的とする。
  • 欧州産業イニシアティブとして、低炭素化に資する6つの有望技術(風力発電、太陽光・太陽熱発電、バイオエネルギー、CCS、電力系統、持続可能な核分裂)に関するイニシアティブを提案。
  • 各イニシアティブについて技術ロードマップを提示。(2010 年3 月、欧州理事会により承認)
フィードインタリフ制度(Feed-in tariff)
  • 再生可能エネルギーの買取価格(tariff)を法律で定め、一定期間の買取りを保障する制度。
  • ドイツ、スペイン等で太陽光発電が爆発的に普及する起爆剤となった

【米国における対策】
図表2.57 連邦レベルの主要な再生可能エネルギー推進施策・関連法令
推進施策・関連法令 概要
2005 年エネルギー政策法(2005)
  • 包括的なエネルギー法案。エネルギーインフラの強化、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの利用拡大、在来型燃料の国内増産等を掲げる。
  • 再生可能エネルギーについては、再生可能燃料基準(RFS)を導入した他、政府機関の再生可能電力比率を7.5%に引き上げる目標を設定。また、各種インセンティブ制度を認可・拡充。
ソーラー・アメリカ・イニシアティブ
(Solar America Initiative)
  • 2006 年に発表された「先端エネルギー計画(AEI)」の一貫。2015 年までに太陽光発電のグリッドパリティを達成することを第一目標に、各種技術開発プログラムを実施。
ITC(投資課税控除)
(Federal Business Investment Tax Credit)
  • 各種エネルギーシステムの設備投資に対して、エネルギー源別の控除率に基づいて課税控除を行う制度。
  • 太陽光発電の控除率は30%。
PTC(生産税控除)
(Renewable Energy Production Tax Credit)
  • 再生可能エネルギー電力の生産税を控除する制度。
  • 条件を満たした新施設で生産された電力に対して、稼動開始から最初の10 年間、1kWh ごとに適用される。
  • 太陽光は対象外。
Renewable Energy Grants
(再生可能エネルギー助成制度)
  • 2009 年2 月に成立した米国経済再生法により、米国財務省による本助成制度を創設。
  • 本制度はPTC もしくはITC の代わりに利用可能。
MACRS(修正加速度償却法)
(Modified Accelerated Cost-Recovery System)
  • 太陽光発電設備や風力発電設備等の初期投資に対する加速償却制度。
  • 太陽光発電の投資に対しては、5 年間の加速的な減価償却が適応できる。
Residential Renewable Energy Tax Credit
(住宅用再生可能エネルギー税控除)
  • 家庭部門を対象に、再生可能エネルギー関連機器の導入経費に対し30%の税控除を行う制度。

【日本における対策】
図表2.63 日本における主要な環境・エネルギー政策
政策名称 概要
エネルギー基本計画(2003)
第一次改定2007 年3 月
第二次改定2010 年6 月
  • 「エネルギー政策基本法」(2002)に基づき策定され、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図ることを目的としている。
  • 2007 年に第一次改定、2010 年に第二次改定を実施。第二次改定では、2030 年までの今後20 年程度を視野に入れた具体的施策を明示。
  • 再生可能エネルギーについては、2020 年までに一次エネルギー供給の10%をまかなう目標を設定。
電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法:RPS法(2003)
  • 電気事業者に新エネルギーを利用して得られる電気の一定量以上の利用を義務付ける法律。対象は、風力、太陽光、地熱、水力、バイオマス。
新・国家エネルギー戦略(2006)
  • エネルギー安全保障を軸に、我が国の新たな国家エネルギー戦略を提示。
  • @国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立
    Aエネルギー問題と環境問題の一体的解決による持続可能な成長基盤の確立
    Bアジア・世界のエネルギー問題克服への積極的貢献を目標として掲げる。
技術戦略マップ(エネルギー技術)
(2007、毎年更新)
  • 新産業を創造していくために必要な技術目標や製品・サービスの需要を創造するための方策を提示。
  • 産業技術政策の研究開発マネジメント・ツール整備、産学官における知の共有と総合力の結集、国民理解の増進を目的とする。
Cool Earth エネルギー革新技術計画(2008)
  • 2050 年までに世界全体の温室効果ガス排出量を半減するという長期的目標の実現に向け、
    @重点的に取り組むべき21 の革新技術の選定
    A21 技術の技術ロードマップの提示
    B国際連携のあり方の提示
    を行っている。
京都議定書目標達成計画(2008)
  • 「地球温暖化対策推進法」(1998)に基づき、6%削減約束を達成するために必要な措置を提示。
  • 再生可能エネルギーについて、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、未利用エネルギー(温度差エネルギー、雪氷熱等)等の導入を促進。
エネルギー供給構造高度化法(2009)
  • 電気やガス、石油事業者等のエネルギー供給事業者において、非化石エネルギー源の利用拡大、化石エネルギー原料の有効利用を促進することを目的とする。
  • 電力会社に加え、ガス会社や石油会社にも新エネルギーの利用を義務付け。
  • 本法律の枠組みの中で、「太陽光発電の固定価格買取制度」を策定。
太陽光発電の固定価格買取制度(2009 年11 月)
  • 太陽光発電の余剰電力を電気事業者が長期に渡り固定価格で買取る制度。日本版フィードインタリフ。
  • 買取期間は10 年間、買取価格は10 年間固定。設置年度毎の買取価格は、太陽光発電の価格や普及状況等を踏まえて毎年見直す予定。
  • 追加的コストは電力消費者全員で負担
  • 買取価格(平成21 年度、22 年度)
    ・出力10kW 未満の住宅用:48 円/kWh(自家発併設の場合:39 円/kWh)
    ・その他の住宅・建築物用:24 円/kWh(自家発併設の場合:20 円/kWh)
    ・メガソーラー、発電事業用:電力会社との相対取引
各種再生可能エネルギー導入補助事業・研究開発補助事業
  • 図表2.69 参照。

図表2.69 2009 年度の再生可能エネルギー導入補助事業・研究開発補助事業例
事業名(補助率等) 制度概要 対象者 対象エネルギー 実施主体
住宅用太陽光発電導入支援対策
補助額:7 万円/kW
10kW 未満で要件を満たす一定の品質・性能の太陽光発電システムを住宅に設置する際の費用に対して補助を行う。 住宅に設置しようとする個人 太陽光発電 経済産業省
地域新エネルギー等導入促進事業
補助率:1/2 以内(太陽光、風力は別途上限等あり)
新エネルギー等設備導入事業の実施に必要な経費に対して補助を行う。 地方公共団体/NPO/社会システム枠(地方公共団体と連携して事業を実施する民間事業者) 太陽光発電、風力発電、バイオマス、太陽熱利用、中小水力発電、地熱発電、温度差熱利用、雪氷熱 経済産業省
新エネルギー等事業者支援対策事業
補助率:1/3 以内(太陽光、風力は別途上限等有)
新エネルギー等設備導入事業を行う事業者に対し、事業費の一部に対する補助を行う。 民間事業者 太陽光発電、風力発電、バイオマス、太陽熱利用、中小水力発電、地熱発電、温度差熱利用、雪氷熱 経済産業省
地方公共団体対策技術率先導入補助事業
補助率:1/2 以内
地方公共団体が策定した実行計画に基づく代エネ・省エネ設備導入事業や、公共施設へのシェアード・エスコ事業について、要件を満たす設備の導入費用の一部を補助する。 地方公共団体/地方公共団体の施設へシェアード・エスコを用いて省エネ化を行う民間団体等 太陽光発電、風力発電、バイオマス、太陽熱利用、中小水力発電、地熱発電、温度差熱利用、雪氷熱、海洋エネルギー 環境省
エネルギー需給構造改革投資促進税制 対象設備を適用期間内に取得、製作または建設して、その後一年以内に事業の用に供した場合に、税額控除または特別償却が認められる。 個人および法人のうち青色申告書を提出する者 太陽光発電、風力発電、バイオマス、太陽熱利用、中小水力発電、地熱発電、温度差熱利用、雪氷熱 所轄税務署
新エネルギーベンチャー技術革新事業
委託費:1 千万円/件(1 、FS)
中小・ベンチャー企業等が保有している潜在的技術シーズを活用した技術開発の推進、新事業の創成と拡大等を目指した事業化を支援する。 企業/大学/独立行政法人等 太陽光発電、風力発電、バイオマス、太陽熱利用、中小水力発電、地熱発電、温度差熱利用、雪氷熱 NEDO
革新的太陽光発電技術研究開発(革新型太陽電池国際研究拠点整備事業)
事業規模:約12 億円(2年以内)
新材料・新規構造等による変換効率40%超、発電コスト7 円/kWh の達成、集光型多接合太陽電池評価技術の開発、および薄膜多接合太陽電池評価技術の開発等、日本に適した太陽光発電システム技術の確立を目指す。 企業/大学/独立行政法人等 太陽光発電 NEDO
地球温暖化対策技術開発事業【競争的資金】
委託事業:上限なし(予算枠7億円)
補助事業:1/2(上限なし、予算枠2.5 億円)
再生可能エネルギー導入技術実用化開発、省エネ対策技術実用化開発等の技術開発分野ごとに、実用的な温暖化対策技術の開発について、優れた技術開発の実施に係る提案と実施体制を有する民間企業等を公募により選定し、委託または補助を行う。 民間事業者/公的研究機
関/大学等
太陽光発電、風力発電、バイオマス、太陽熱利用、中小水力発電、地熱発電、温度差熱利用、雪氷熱、海洋エネルギー 環境省


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