『第5章 新エネルギー
1.新エネルギーの定義
地球温暖化や大気汚染・酸性雨など環境問題の解決策の1つとして、新エネルギーが脚光を浴びている。新エネルギーは地下資源を使わない再生可能エネルギーと、地下資源を使ってもその効率利用やクリーンな利用を促す技術に分けることができよう。近年では風力の経済性が高くなっており急速に導入が進んでいる。一方、日本においては世界の流れである風力ブームに加えて、太陽光発電の導入が進んでいることが特徴的である。 |
地下資源エネルギー | 再生可能エネルギー | ||
ネ ル ギ │ 源 |
在 来 型 |
石油・石炭・天然ガス 原子力(核分裂) |
大規模水力 地熱 |
非 在 来 型 |
オイルサンド ヘビーオイル コールベッドメタン 原子力(高速増殖炉) 原子力(核融合) |
風力 太陽光 バイオマス 廃棄物 太陽熱 小水力 温度差発電 波力・潮力 |
|
用 形 態 |
クリーンコールテクノロジー | ||
クリーンエネルギー車 燃料電池 |
|||
(解説) 破線で囲まれた部分(注:黄色の部分)が、一般的に“新エネルギー”とよばれるもの。また、下線を引いたエネルギー源については、本章第3節に簡単な解説を行っている。 |
新エネルギーとは @技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済性の面での制約から普及が十分でないもので A石油代替エネルギーの導入を図るため、とくに必要なもの と定義される(新エネ法/1997年9月施行)。 具体的には以下のとおり。 (1)再生可能(自然)エネルギー ・太陽光発電、風力発電、太陽熱利用、エネルギー作物(バイオマス) (2)リサイクル型エネルギー ・廃棄物発電、廃棄物熱利用、廃棄物燃料製造、温度差エネルギー、黒液・廃材等(バイオマス) (3)従来型エネルギーの新利用形態 ・クリーンエネルギー自動車、天然ガスコージェネレーション、燃料電池 |
新エネルギー 太陽光発電 太陽熱利用 風力発電 廃棄物発電 廃棄物熱利用 温度差エネルギー等 黒液・廃材等 |
従来型エネルギーの新利用形態(広義の新エネルギー) コージェネレーション クリーンエネルギー自動車 燃料電池 |
(出所) 通産省、総合エネルギー調査会資料、1998年6月 |
カテゴリー | 新エネルギー技術 | 出力 | |
再生可能エネルギー | 太陽 | 太陽光発電 | 電力 |
太陽熱利用 | 電力・熱 | ||
風力発電 | 電力 | ||
地熱発電 | 電力 | ||
海洋 | 海洋温度差 | 電力 | |
波力・潮力・海流 | 電力 | ||
温度差エネルギー(スーパーヒートポンプ) | 熱 | ||
バイオマス | 薪、炭、エタノール | 燃料 | |
廃棄物発電 | 電力・熱 | ||
メタン発酵ガス | 燃料 | ||
燃料形態転換 | 石炭液化(褐炭、瀝青炭) | 燃料 | |
石炭ガス化(水素製造) | 燃料 | ||
石炭ガス化複合発電 | 電力 | ||
天然ガス液化・脱炭素化(メタノール、ガソリン、水素) | 燃料 | ||
省エネルギー | 燃料電池 | 電力・熱 | |
セラミックガスタービン | 電力・熱 | ||
超電導発電機 | 電力・熱 | ||
新型電池 | (電力) | ||
超電導電力貯蔵 | (電力) | ||
クリーンエネルギー 自動車 |
電気自動車(ハイブリッド含む) | 動力 | |
メタノール自動車 | 動力 | ||
天然ガス自動車 | 動力 | ||
ディーゼル代替LPG自動車 | 動力 | ||
水素自動車 | 動力 | ||
燃料電池自動車 | 動力 | ||
(出所) 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、「新エネルギーデータ集 平成11年度版」 |