『2.1 石炭の種類と性質
2.1.1 石炭の生い立ち
石炭の生成過程が環境によって異なることは、いろいろな種類の石炭があることから容易に想像できます。一般的には、太古の植物が微生物による作用を受けて腐朽分解し、泥炭化していく過程で、地殻の変動などによって地中に埋れ、長時間の地圧と地熱を受けて生成したと考えられています。地圧は数百気圧〜数千気圧程度、地熱は20〜40゚C、高くても200゚C以下と推定されています。この地圧、地熱、時間の違いによって、性状の異なるいろいろな石炭ができたのです。
日本の石炭は、表2.1.1に示されるように、主として新生代第三紀に繁茂した顕花植物(針葉樹、潤葉樹)からできていますが、欧米や中国などの石炭は、それよりはるかに古く、中生代や古生代の隠花植物からできており、日本炭とは多くの点で性状が異なっています。
地質時代 | 年代(億年前) | 代表的炭種 | 日本炭 |
I 原生代 II 古生代 カンブリア紀 シルリア紀 デボン紀 石炭紀 二畳紀 III 中生代 三畳紀 ジュラ紀 白亜紀 IV 新生代 第三紀 第四紀 |
5.0 3.2 2.8 2.2 1.9 1.5 1.2 0.2〜0.7 〜0.01 |
石墨 無煙炭 れき青炭 褐炭 泥炭 |
− − 無煙炭 れき青炭 褐炭、亜炭、泥炭 |
種類 | タンパク質(%) | 油脂、樹脂類(%) | セルローズ(%) | リグニン(%) |
藻類 | 20〜30 | 20〜30 | 10〜20 | 0 |
しだ、とくさ類 | 10〜15 | 3〜5 | 40〜50 | 20〜30 |
針葉樹、潤葉樹類 | 1〜10 | 1〜2 | 50以上 | 30 |
草類 | 5〜10 | 5〜10 | 50 | 20〜30 |