『マンガン鉱床 manganese ore deposit
マンガン鉱床は成因によって熱水鉱床・堆積鉱床・風化残留鉱床・変成鉱床に分類される。熱水鉱床はアメリカ(Philipsburg・Leadville)、キューバ(Sierra
Maestra)、日本に分布。菱マンガン鉱からなる鉱脈鉱床。新第三紀に生成。堆積鉱床はソ連(Nikopol・Tchiaturi)、日本に分布。二酸化マンガン鉱(パイロルース鉱、水マンガン鉱)からなる層状鉱床。新第三紀の生成。風化残留鉱床はインド(Madhya
Pradesh)、ゴールドコースト(Kitson)、ブラジル(Minas Gerais)、エジプト(Umbogna)、モロッコに分布。先カンブリア紀、古生代、中生代に生成したマンガン鉱床が風化残留したもの。変成鉱床はインド(Madhya
Pradesh・Orissa・Bombay)、南ア共和国(Postmusburg・Kalahari)、オーストラリア(Western
Australia・Woody Woody)に分布。先カンブリア紀の変成岩中の層状鉱床。資源的に重要なものは堆積および風化残留鉱床で約80%を占める。世界の生産量は年間約1,600万t(1964)。日本は約35万t(1964)で全生産量の2%。世界の生産量の95%は製鉄製鋼用(品位Mn35%以上)に、残りは乾電池・化学薬品用(品位MnO2 60%以上)に用いられる。日本では古生層中の層状・レンズ状鉱床と新第三紀中新世の鉱脈鉱床・層状鉱床が代表的なもの。前者は全国的に分布。秩父古生層・中生層/変成岩中に胚胎。二酸化マンガン鉱・菱マンガン鉱・テフロ石・バラ輝石などからなる。野田玉川・加蘇・浜横川鉱山が代表例。後者は北海道・東北地方に分布。そのうち鉱脈鉱床は菱マンガン鉱からなり閃亜鉛鉱、方鉛鉱を伴う。稲倉石・上国・大江鉱山が代表例。また層状鉱床は二酸化マンガン鉱からなる。ピリカメップ鉱山が代表例。』