黒川(2004)による〔『ソフトウェア入門』(49-50p)から〕


表1 主なプログラミング言語の一覧表
Ada 世界最初のプログラマーであるエイダにちなんで名付けられた。米国防省の軍用システムのソフトウェアを書くだけの機能を満たすべく設計された言語。道具立てが複雑になりすぎているとの批判がある。国防省の支援がなくなった。
Algol Algorithmic Languageの略で、アルゴリズムを記述するための言語として設計され、設計年代によってAlgol58、Algol60、Algol68などの変種がある。Pascal、Ada、ModulaなどはAlgolを先祖とした同系統の言語とされている。
Assembler アセンブリ言語ともいう。厳密には、コンピュータ・ハードウェアの命令と直接対応づけられているために、一つのプログラミング言語というわけにはゆかない。性能や機能などの必要から現在でもアセンブラを使うことは多い。しかし、昔に比べるとアセンブラが使われることは稀になってきている。
Basic Beginner's All-purpose Symbolic Instruction Codeの頭文字をとったもの。もともと初心者用のプログラミング言語として設計されていたが、マイコンやパソコンの標準的プログラミング言語として広く使われている。
C 米国のベル研究所でオペレーティングシステム(OS)などの開発に使われていた、BCPL、Bといった言語から派生したプログラミング言語。UNIXというオペレーティング・システムがCで書かれ広まったことから、多くのシステム作成に使われるようになった。
C++ Cにオブジェクト指向のクラス構造をとり込んだシステム記述言語。もともとは、複雑な処理を簡便に記述するC言語の上位機種としての位置づけだったが、さまざまな機能を取り込みすぎてあまりにも複雑になったという批判がある。
C# マイクロソフト社から2000年に発表され、2002年に国際標準となったオブジェクト指向言語。C++をJavaの経験を踏まえて整理した。演算の安全性という概念を明示的に取り込んでおり、システム記述の新しい側面にも対応している。
Cobol Common Business Oriented Languageの略で、米国の民間団体であるCODASYLが1960年に発表したビジネス・データ処理用のプログラミング言語である。事務処理やデータ処理の分野では昔からのプログラムの7、8割はCobolで書かれている。
Forth スタックという計算機構を直接操作することを仮定して設計されたプログラミング言語。LispやMLのような関数的記法の反対で、引数を先に書き、関数(操作)を後に書く。
Fortran Formula Translatorの略。1957年にIBMのバッカスらによって数値計算用に開発された。最初のプログラミング言語であるといわれている。現在でもスーパー・コンピュータをはじめとして、大規模な科学技術計算にはFortranが用いられることが多い。
GPSS General Purpose Simulation Systemの略。待ち行列の処理を含めた離散システムをコンピュータ上でシミュレーションするための言語。
Java サンマイクロシステムズ社が1995年に開発した。C言語の構文をベースとしたオブジェクト指向言語。仮想マシンを使って、どのようなコンピュータの複数のOS上でもプログラムが稼働できるようにした。メモリ参照を直接たぐることができないよう制限した。
Lisp List Processorの略。リストという一連なりのデータを処理するプログラミング言語。リストによって作られる記号データを扱い、プログラム自体をこのリストによって表現し、直接実行する機能を持っているので、人工知能の研究用に多く用いられてきた。
ML 名前はMata Languageに由来するが、多相型(polymorphic type)を支援する関数型プログラミング言語の代表的存在。CやLispと同様に、プログラムの構成要素は基本的に関数という単位からなる。Lispと同様にデータ計算のモデルにもとづいて実行するが、Lispのように一種類のデータに依存しているわけではない。
Modula 名前はモジュール(Module)に由来している。モジュールやプロセスといったシステムの抽象的機能と、構造化プログラム設計の考え方を取り入れたシステム記述言語。Algolの系統のPascalの後継として設計開発された。Modula-2、Oberonなど、この言語からさらに派生、発展したプログラミング言語がある。
Pascal フランスの高名な哲学者、数学者にちなんで名付けられている。Algolの系統のプログラミング言語で、もともとの考え方としては、教育的に構造化プログラミングを支援するため、機能拡張だけでなく、gotoなどの一部の機能に制限を加えている。移植用のコンパイラを備えることによって、広く使われるようになった。
Prolog Programming in Logicの略。1972年にフランスのコルメラウアーによって開発された。論理型プログラミング言語の代表。ホーン節という一階述語論理の特殊形にもとづいて、論理的表現と、コンピュータ上での手続き的解釈ができる。
Smalltalk パーソナル・コンピュータという概念とともに、1970年代の初めにゼロックス社のパロ・アルト研究所でアラン・ケイを中心としたグループで開発されたプログラミング言語。グラフィックス表現をもつオブジェクトをマウスなどでユーザが直接扱うことによりプログラムの実行ができるので、小さな子供でもプログラミングができるように設計された。
Snobol 文字列(ストリング)を扱う文字列処理言語。ストリングとパターンとの型合わせによって、プログラムの実行と制御とを行う。パターン合わせのしくみが組み込まれている。
朱唇 英文名はRedLip。東京女子大学におられた水谷静夫先生が日本語処理の教育用に設計したプログラミング言語。日本語として読みこなせる構文と、Snobolのような文字列処理をするための文字列の型合わせ機能とを持つ。


戻る