『5.雪氷・氷河
(1)雪氷圏
地球には、水惑星といわれるように、大量の水が存在し、さまざまな形をとりながら地球上を循環している。温暖地では液体の水の形をとるが、寒冷地や高山などの低温の世界(寒冷圏)では固体の姿、すなわち雪や氷となって存在し、地上の広大な面積をおおう。この雪と氷の世界を雪氷圏という。そこには雪氷圏独特の自然環境と生態系がひろがっている。雪氷圏のうち、冬のあいだだけ雪や氷が存在する地域を、特に季節雪氷圏とよぶ。これに対して、山岳氷河や氷床(大陸氷河)、北極海と南極周辺の海氷野(かいひょうや)や、シベリア、カナダ北極圏などにひろがる永久凍土地帯のように、一年中雪氷が存在する地域は、永久雪氷圏または万年雪氷圏とよばれる(後見返し図:略)。季節雪氷圏には10億以上の人が住み、交通障害など多くの雪の問題をかかえている。一方、山の雪は貴重な水資源であり、わが国では、使用する水の総量の1/4以上をまかなっている。
宇宙空間にも大量の雪氷が発見されている。木星のガリレオ衛星や土星の環、彗星の核などにである。これらは宇宙雪氷圏とでもよぶべきものであろう。宇宙の雪氷の研究は、太陽系の起源を知る上で重要な手がかりになると考えられる。近年、地球の気候変動や環境悪化が人類全体の問題となっているが、雪氷圏がこれらとどうかかわりあっているかを解明するために、観測や研究が進められている。
雪氷圏の面積・雪氷の分布と量
さまざまな形態の水の質量とその割合をみると、雪氷の量は海水についで多く、雪氷の90%は南極に、9%はグリーンランドにある(表3-11)。
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質量(単位:兆トン) | 百分率 | |
氷河・(氷床) |
南極 グリーンランド その他 |
25,000 2,400 220 |
89.2 8.6 0.8 |
海氷 | 36 | 0.1 | |
永久凍土 | 360 | 1.3 | |
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28,016 | 100 |
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最終氷期(万km^2) | ||
北極域 |
グリーンランド氷床 ローレンタイド(氷床) その他計 |
173 15 20 |
216 1300 32 |
ユーラシア |
アルプス 中央及び西アジア フェノスカンジナビア(氷床) シベリア(北東・中央) その他計 |
4 12 5 1 4 |
5 100 470 339 90 |
北米 南米 |
ロッキー アンデス その他(アフリカ、NZ等) |
8 3 微 |
230 83 6 |
南極 |
南極氷床 (内棚氷) |
1209 (138) |
1560 |
|
1454 | 4431 |