『(2) 地球上の水の総量
原始の地球が誕生して以後、数億年をへて原始の大気と海水が生みだされ、さらに長い時間をかけて、現在われわれが地球上でみる陸地と海洋の姿がつくられてきた。地球表面に満々とたたえられている水の量は、原始の海水が地球上に存在するようになってから、どのような変遷をたどって現在の水量になったか、これまで多くの人々によって研究されてきた。海水の量の変遷については、いまもって定かなる見解は示されていないが、つぎに代表的な考えのいくつかを紹介しておく(図1-1:略)。
(1) 原始の地球が誕生した初期から現在まで、海水量はまったく変わっていない。
(2) 原始の海水が地球表面に誕生した初期に、すでに多量の海水は存在していたものの、その後も少しずつ水量を増した。
(3) 原始の海水が地球表面に誕生した初期以降の比較的短時間に、現在の海水量の大部分が生まれた。
(4) 原始の海水が地球表面に誕生した初期から現在まで、海水量は一定の割合でしだいに増加してきた。
(5) 原始の海水が地球表面に誕生した初期には、少量の海水しかなく、新しい時代になるにつれて急速に水量を増してきた。
現在、広く支持されているのは(3)の見解である(7巻『地球の歴史』参照)。
現在の地球の水圏を構成する水量に関しては、いろいろな人によって試算されてきた。表1-1にはその代表的な試算結果を示してある。研究者によって多少の違いはあるものの、地球上の水の総量は14億km^3前後と見積もられている。このうちもっとも多いのは、水圏全体の97.5%を占める海水である。
試算者 | カリーニン(1968) | ネース(1969) | 榧根 勇(1973) |
海水 | 1,370,000,000 | 1,350,400,000 | 1,349,929,000(97.50) |
河川水 湖沼水(淡水・塩水) 土壌水 地下水 氷 大気中の水 生物中の水 |
1,200 750,000 65,000 60,000,000 29,000,000* 14,000 − |
1,700 230,000 150,000 7,000,000 26,000,000* 13,000 − |
1,200(0.0001) 219,000(0.016) 25,000(0.002) 10,100,000(0.72) 24,230,000*(1.75) 12,600(0.001) 1,200(0.0001) |
|
1,459,830,000 | 1,383,794,700 | 1,384,518,000(100%) |
*:水の体積に換算した値 ( )内の数字は水の総量(100%)に対する割合 |