鈴木和博(2005):電子プローブマイクロアナライザを用いたCHIME年代測定地質学雑誌111(9)、509-526.


要旨
 CHIME(CHemical Th-U-total Pb Isochron MEthod)法は、モナザイト・ジルコンなどのTh・U・Pb含有量を電子プローブマイクロアナライザで分析し、アイソクロンから年代と初生鉛量を同時に決定するサブグレイン年代測定法である。高い空間分解能と取り扱いが簡単で迅速に年代測定できることがCHIME法の特徴である。CHIME年代測定で要求されるX線の計測精度、特性X線の干渉やその補正方法、およびTh-U-Pb系の非平衡の認識方法を解説した。また、花崗岩のCHIME年代とRb-Sr全岩アイソクロン年代の不一致を例示し、Sr同位体初生値の不均質が単一花崗岩マグマで生じていることを議論した。CHIME年代測定を応用した研究例として、モナザイト中の鉛拡散定数の推定、南部北上山地のシルル・デボン系と氷上花崗岩の関係、および領家帯の花崗岩形成と上昇削剥過程を紹介した。』

Abstract
はじめに
CHIME年代の計算
EPMA分析
測定手順と補正計算
CHIME年代とU-Pb系のディスコーダンス
CHIME年代と他の同位体年代との整合性
モナザイト中の鉛拡散の閉止温度
年代マッピング
南部北上帯、くさやみ沢のアルコース砂岩中の砕屑性モナザイト
領家帯の変成作用と深成作用
おわりに
謝辞
文献


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