小森(1995)による〔『太陽系と惑星』(48pから)〕


フォールとファインド
 隕石の発見・回収については2つのタイプがある。1つは、落下の様子が火球として目撃されたり(1986年7月29日香川県国分寺町に落下した国分寺隕石がその一例)、家の屋根をぶち抜いたり(1992年12月10日島根県美保関(みほのせき)町の民家に落下した美保関隕石がその一例)して、すぐに隕石が回収された場合で、このようなものをフォール(falls、落下隕石)という。これに対して、落下した時期はよくわからないが、後に発見されたような場合をファインド(finds、発見隕石)とよんでいる。これまでに調べられたフォールとファインドの集計と各隕石の割合を、表3-1に示す。

表3-1 隕石のフォールとファインドの割合
 

フォール(falls)

ファインド(finds)
石質隕石
 コンドライト
 エコンドライト
892
822
70
93.7
86.3
7.4
1048
1023
25
58.3
56.9
1.4
隕鉄 49 5.1 689 38.3
石鉄隕石 11 1.2 61 3.4

合計
952 100.0 1798 100.0
1992年1月1日現在の集計を示す。なおこの表には、南極大陸で大量に発見された隕石(南極隕石)は含まれていない。(F.Heide & F.Wlotzka 『Meteorites』 Springer-Verlag, 1994, p.67 の資料をもとに作成)
 ここで興味深いのは、フォールでは石質隕石が圧倒的に多く、隕鉄や石鉄隕石の割合はごく少ないことである。一方ファインドをみると、全体的には石質隕石が一番多いが、隕鉄の割合もそれんじ次いでかなり高くなっていることに気付く。この理由は、石質隕石が地上の岩石と一見似ているうえに、風化されやすく、見つけにくいのに対し、隕鉄は外観が地球の岩石と全く異なるうえに、風化につよいので、発見率が高くなっているためだと考えられる。太陽系空間における隕石天体の真の割合は、フォールの割合に近いものとされているが、単純にそうだとはいいきれない問題もある。』



戻る