寺島ほか(2001)による〔『関東平野における沖積層土壌の化学組成−土壌地球化学図の基礎研究(第2報)−』(347p)から〕


Abstract

要旨
 土壌地球化学図の作成に関する予察的研究の一環として、関東各地の沖積層から柱状試料を採取して主・微量元素を分析し、土壌の母材や元素の広域分布特性、地球化学的挙動等を研究した。沖積層土壌の母材は、主として火山噴出物と河川由来砕屑物であり、両者の割合は地形・地質的な要因で変化する。沖積層土壌における元素濃度の鉛直変化は、火山灰質土のそれに比べて小さかった。これは堆積速度が速く、表層〜下層の風化度や腐植含有量の差が小さいためと考えられた。沖積層土壌中の砂質粒子は主として河川由来である。砂質粒子は風化・変質に伴って微細化するが、この際アルカリ・アルカリ土類金属が溶出・流出し、細粒部分ではアルミニウム、チタン、各種重金属等が相対的に高濃度になる。山間部の規模が小さい沖積面では、集水域の基盤地質と土壌の化学組成の特徴は類似する。広大な平野部を流下する河川の下流域では、基盤岩砕屑物は均質化されており、粒度組成の相違が化学組成を変動させる主因である。沖積層土壌の化学組成は、同一地域の火山灰質土に比べてアルミニウム、チタン、重金属類に乏しく、アルカリ・アルカリ土類金属に富む特徴があり、概括的には河川や湖沼の堆積物に類似する。』

1.はじめに
2.地理・地質の概要
3.試料及び分析方法
 3.1 試料採取地点の選定と採取方法
 3.2 試料の概要
  1) Aゾーンの試料
  2) Bゾーンの試料
  3) Cゾーンの試料
  4) Dゾーンの試料
 3.3 分析方法
4.結果と考察
 4.1 海水の影響評価
 4.2 化学組成の鉛直変化の特徴
  1) Al2O3、Fe2O3、TiO2、MnO
  2) CaO、MgO、Na2O、K2O
  3) 微量成分元素
 4.3 集水域地質との関係
  1) Aゾーン
  2) Bゾーン
  3) Cゾーン
  4) Dゾーン
 4.4 沖積層土壌の化学組成の特徴
 4.5 沖積層土壌の堆積速度
5.まとめ
文献
第A-1表 分析結果



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