ジェレミー・レゲット〔益岡 賢/植田那美/楠田泰子/リック・タナカ〕(2006):ピーク・オイル・パニック 迫る石油危機と代替エネルギーの可能性.作品社、399p.〔ISBN4-86182-103-7〕

目次


プロローグ−青い真珠の星の物語
 青い真珠の星の誕生−46億年前
 炭素によって生命が誕生した−38億年前
 「第一の破局」−2.5億年前
 石油の大規模な生成−1.5億年前
 「第二の破局」−6500万年前
 人類の登場−700万年前
 産業の発達−200年前
 見過ごしている第一の問題−青い真珠の星のヒート・アップ
 無視された代案
 見過ごしている第二の問題−石油のピーク・アウト

第T部 ピーク・オイルと石油危機
 第1章 ピーク・オイルとは?

  1 「遅いピーク論」対「早期ピーク論」
  2 「ピーク・オイル・パニック」−第三次石油危機
 第2章 石油を発見するとは、どういうことか?
  1 石油発見のための五つの条件
    * ある石油探査の実際−当時の私の日記から
  2 石油が発見される地域
  3 石油探査キット−ノートとハンマーの時代は終わっている
     地下検層
     地震探査
  4 石油の抽出−「在来型石油」と「非在来型石油」
 第3章 ピークはいつ訪れるか?
  1 現存油田の埋蔵量はどのくらいか?
     シェル社の埋蔵量水増し−他の石油企業も?
     エネルギー・バイブルの信憑性−『BP世界エネルギー統計年鑑』
     早期ピーク論者の見解
  2 新たに増やせる埋蔵量は?−油田発見・増進回収・非在来型石油
     米国内の石油発見・生産・ピークの歴史的パターン−M・ハバートの予測
     世界の石油発見・生産の歴史的パターン
     新たな油田発見の可能性−埋蔵量の増加方法@
      超巨大油田・巨大油田の発見パターン
      海底石油−ゴールド・ラッシュか、誇大広告か
     現存油田からの増進回収−埋蔵量の増加方法A
     非在来型石油−埋蔵量の増加方法B
      オイルサンド−あまり期待できない探し物
      その他の非在来型資源−とるに足らない気の抜けたビール
     天然ガスは石油の代わりになるか?
  3 石油の輸送問題
  4 石油・天然ガス全般のピーク−「ヒューストン、トラブル発生」
 第4章 石油危機はどのくらい深刻か?
  1 早期ピーク論を主張する人々
     クリス・スクレボウスキー
     マシュー・シモンズ
     その他の早期ピーク論者
  2 遅いピーク論を前提に、石油生産能力を考える
  3 地政学的リスクという問題
  4 石油危機と地球温暖化が出会うとき
    * あるロンドン市内の生活風景−2003年12月23日、ロンドン・ウォータールー

第U部 ピーク・オイル・パニックと地球温暖化
 第5章 同時並行で進む二つの危機−地球温暖化の現在

  1 「地球温暖化」という大量破壊兵器
    * ロンドンの金融街でのある出来事−2000年2月9日、ロンドン・シティー
     異常気象による保険業界の破綻
     「第三の破局」への13段階
  2 現在、温暖化はどれだけ進んでおり、どれほど危機的なのか?
     取り返しのつかなくなる臨界点−EUも認める二度の気温上昇
  3 増幅フィードバックという「眠れる巨人」
     眠れる巨人たち
     1 北極のメタンハイドレートが溶け出す
     2 陸上の生物圏で二酸化炭素の吸収より排出が多くなる
     3 海洋の「深海潮流」が停止する
     4 グリーンランドの氷河が溶ける
     5 南極西部の氷床が海にすべり落ちる
     その他の眠れる巨人たち
  4 地球温暖化に対する国際的な取り組み
     気候変動枠組条約−1992年
     京都議定書−1997年
     京都議定書以降
  5 石炭を代替エネルギーとして使えるか?
     化石燃料は、あとどれくらい燃やせるか?
     石炭に群がる亡者たち
    * 英国大使館でのある出来事−2004年11月3日、ベルリン
 第6章 なぜここまで深刻になってしまったのか?−危機に気づく前
  1 巨大石油企業と米国政府との戦い−1859〜1911年
  2 秘密カルテルと自動車産業の誕生−1928〜45年
  3 砲艦外交−1951〜56年
  4 秘密カルテルに対抗する産油国カルテルの結成−1960〜72年
  5 第一次石油危機−1973年
  6 第一次石油危機の影響−ビッグ・オイルの空前の利益
  7 ビッグ・オイルと産油国の「解消されることなき結婚」−1974〜78年
  8 第二次石油危機−1979〜81年
    * 第二次石油危機の際のある風景−1980年2月4日、英国・オックスフォード
  9 基盤設備投資の不足−1981〜90年
 第7章 なぜここまで深刻になってしまったのか?−共犯の時代
  1 地球温暖化と“炭素クラブ”
  2 湾岸戦争−1990年
  3 京都議定書をめぐる石油・石炭業界の動き−1991〜97年
  4 京都議定書をめぐる保険業界の動き−1991〜97年
  5 石油危機とアジア経済危機−1997年
  6 石油高騰とITバブル崩壊−2000年4月
  7 イギリスの「燃料危機」−2000年10〜11月
    * ある巨大石油企業での出来事−2001年5月16日、ロンドンにて
  8 ブッシュとイラク戦争−2001年〜?
  9 止まらない原油価格の高騰−2004年
     2004年冬−シェル社の埋蔵量スキャンダル
     2004年春−イラクの泥沼化
     2004年夏−至る所でつのる不安
 10 2004年−秋すべての注目はOPECに
 11 2005年−世界的エネルギー危機のはじまり
    * ピーク・オイルをめぐるある講演会の光景−2005年4月25日、英国・エジンバラにて
 第8章 二つの危機をともに回避するために−再生可能エネルギーの経済的可能性
  1 石油・天然ガス・石炭は、すべて再生可能なエネルギー源で代替可能である。しかも、ほとんどの人が考えるより短期間で達成できる
     再生可能なエネルギー源−多数の選択肢があるファミリー
     エネルギーの貯蔵−「水素経済」
     エネルギーの節約−需要は大幅に減らせる
     石油・天然ガス・石炭から、どれだけ早く撤退できるか
  2 しかし現在、必要な石油の量と入手できる量との差は巨大であり、天然ガス・再生可能エネルギー・液化ガス・液化石炭・原子力のすべてを合わせても、ピーク・オイルによる経済的痛手を回避するには間に合わない
     対策が遅すぎた−つなぎのエネルギー源がない
     原発は代替エネルギー源になるか?−五つの欠点
      タイミング
      投資
      テロリズム
      廃棄物
      前科
     国際社会による対策の可能性
     もっとも現実的な可能性−ピーク・オイル・パニック
  3 どんな展開になるにせよ、再生可能エネルギーは、しだいに石油・天然ガスにとって代わり爆発的に発展する
  4 エネルギー体制は崩壊し、石炭に注目が集まる。再生可能エネルギーか、石炭か、それが地球の未来を左右する
     二酸化炭素の隔離は可能か?
     なぜ科学者たちは、石炭への道を進めようとするのか?
  5 世界エネルギー危機をめぐって、「石炭化」と「太陽化」の決戦がはじまる。最悪の事態は回避できるか?
     政府はリーダーシップを発揮できるか?
     企業の責任
     気づきはじめたビジネス社会−チェンジング・ファイナンス
     ツボを押さえれば、世界は大化けする
     長期的な視野での利益追求

エピローグ−青い真珠の星の未来
 すべてを変えた日
 帝国の逆襲
 見過ごしてきた第一と第二の点が姿を現わす
 世界危機
 世界の再生

新版への追補−二つの危機をめぐる最新の動き
 地球温暖化の動き
 ピーク・オイルをめぐる動き
 各界の指導者たちによる、化石燃料脱却への試みが始まった

謝辞

未来の扉のありかを示す道標−日本語版解説にかえて−田中 優

訳者あとがき−益岡 賢


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