さ行

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【さ】

採掘（mining）③
『鉱山開発にあたって、最初地質調査が行われ、その結果、稼行価値が確認されて開発の運びとなった鉱山は、その鉱床状態・性状に合わせて採掘方法が決定される。この場合坑内採掘にするか露天採掘にするかは鉱床状態の調査結果から解析して検討されるが、この鉱床の賦存地域の地形、気候、地質なども合わせて検討の要因となる。
　坑内採掘による場合でも、水平坑によるか、立坑によるか、斜坑によるかの3種の他にこれらの組合せによるものがある。水平坑は地形が急峻で、坑口水準面より上に相当量の鉱量が見込める場合で、この水平坑は着脈後主要運搬坑として使用する場合が多く、当初から坑道の構造についてはこれを計画して掘進すべきである。立坑によるものは比較的平坦な地形で、鉱体が急傾斜している場合が多い。この場合も立坑口の位置の選定は慎重に行われるべきで、岩質、付帯設備との関係位置、鉱体との位置関係などを考慮して決定すべきである。斜坑によるものは、水平坑で着脈後下部にある鉱体を採掘する場合しばしば用いられる。ただ斜めであるため所要深度に達するまで距離が長くなり、運搬段数が多くなる欠点がある。
　露天採掘の場合も地形、地質、鉱床の賦存状態などによってその採掘方法が選定される。一般に露天採掘には鉱体上部の表土除去が採掘費を大きく左右するため、表土の堆積場の位置関係が問題となる。また鉱床の種類によっては水力採掘が適する場合も考えられるため、排水処理場の検討、用水調査も合わせて実施されるべきである。この他に坑内・坑外ともに鉱石の搬出レベルの決定、運搬方法、他の付属設備の位置関係を含めて種々の組合せで選定する必要がある。
　採掘計画トン数については、鉱山の地理的条件、鉱床条件、経済条件などを勘案して規模が算定されるが、同時にこの計画トン数の1～2年相当分の獲得鉱量を先進坑などによって確保されるのが望ましい。ただ鉱山運営上の負担にならない程度の操業計画に見合った量の獲得鉱量を確保すべきである。〔蜂須賀栄治〕』
砂金（placer gold）②
『金鉱床の風化浸食により洗い出され、砂礫とともに堆積した自然金。微細な粒状・鱗片状のものが多いが、まれに大きな塊金も産出。日本では天平年間（8世紀）から北上地方で採掘され、砂金の生産では世界に先駆けた。18世紀～19世紀には世界各地で砂金が発見され、1849年からカリフォルニアで、次いでオーストラリア、カナダで有名なゴールドラッシュとなった。古期の砂金では南アのWitwatersrandが代表的。〔矢島淳吉〕』
砂鉱床（placer deposit）②
『風化･浸食作用により生じた岩石・鉱物の破片が現地から運搬され、風水の淘汰作用により機械的に濃集堆積した砂礫質の鉱床。自然金・PGE鉱物・クロム鉄鉱・錫石・モナズ石・Nb-Ta鉱物・U-Th鉱物・ジルコン・ルチル・イルメナイト・磁鉄鉱・辰砂・ダイヤモンドなどのように比重が大きく化学的にも比較的安定な鉱物が、砂礫層の下部に鉱床を形成。漂砂鉱床・重砂鉱床・砕屑鉱床とも。濃集過程で流水などの淘汰堆積作用が重要な役割を果たす点で原地砂礫鉱床と区別。生成の場所や機構により、海成・海浜・河成・風成砂鉱床または浜砂鉱床などに分類。古い地質時代のものは古期砂鉱床・深砂鉱床と呼ぶ。資源的にはAu・PGE・Sn・U・Th・REEなどのほか、珪砂・宝石類の鉱床が重要。錫花崗岩が広く分布するマレー半島西海岸の海成砂錫鉱床などが典型。〔島崎英彦〕』
砂鉄（iron sand）②
『各種岩石中の副成分鉱物である磁鉄鉱・含チタン磁鉄鉱・イルメナイトなどが岩石の風化によって分離、水流や風に運ばれ淘汰・集積したもの。安山岩質火山岩源（北海道内浦湾沿岸）、花崗岩質岩源（鳥取・島根・広島の各県下）など。含チタン砂鉄は重要なチタン原料であり、日本でも製鉄原料・チタン原料として採掘された。島根県下に砂鉄による日本刀の玉鋼製造の伝統技術がわずかに残る。〔須藤定久〕』
酸性白土（acid clay）③
『外国ではこれにあたる名称はないが、普通acid clayと訳される。ベントナイトが風化を受けて交換性陽イオンとしてHを含むようになったものを、わが国では酸性白土という。白色ないし黄色の粘土で、主としてモンモリロナイトから成り、クリストバライトなどを伴う。ときにカオリン／モンモリロナイト混合層鉱物から成ることがある。懸濁液のpHは5～6程度で、膨潤度は2～3と低い。SiO2/Al2O3のモル比は7～8でベントナイトより大きい。新潟県蒲原地方が古くから有名な産地であるが、現在同地方の中条町、新発田市小戸のほか、同県糸魚川市付近（青海町）、山形県鶴岡市水沢などで採掘されており、これらはいずれも中新世の凝灰岩（一部は流紋岩）の変質によってできたベントナイトが風化を受けて生成している。ただし、酸性白土の下にでてくる未風化のベントナイトまで酸性白土の名でよぶ場合もある。酸性白土は古くから著しい吸着作用や触媒作用をもった物質として知られ、特に小林久平（1949）の先駆的な研究は著名である。そのまま、または硫酸で処理して活性白土をつくり、石油や油脂の脱色・精製用、触媒用、その他に広く用いられている。〔長沢敬之助〕』
残留鉱床（residual deposit）③
『風化作用による生成物が原地に残留してつくる鉱床。風化残留鉱床ともいう。ジャマイカ、米国Arkansas州などのボーキサイト、フランスやハンガリーのカルストボーキサイト、ニューカレドニアのガーニエライト、チェコスロバキアBohemiaから東ドイツにかけてのカオリンなどの』鉱床がその例である。〔長沢敬之助〕

【し】

資源
⇒B・J・Skinner（1982）による
⇒鹿園（1992）による
⇒岩淵（1996）による
⇒鹿園（1996）による
資源問題
⇒鹿園（1992）による
⇒岩淵（1996）による
⇒鹿園（1996）による
⇒鹿園（1998）による
資源量（resource、resource base）⑥
『地質学的に鉱床の存在が予想される範囲での鉱床の質量をいう。鉱床量と呼ばれることもある。経済性などによる稼行の可能性を問わない。その存在の確実さの程度によって確定、推定、予想などの区分も行われる。地熱エネルギー資源の場合は、一般に、リソースベース（resource base）と呼ばれる。』
試錐〔test boring、（borehole）drilling〕③
『地下の地質状況を調査する目的で地下の岩石の試料を採取するために掘られる孔、またはその孔を掘る作業。金属鉱業、粘土鉱業、石炭鉱業などでは直接鉱床を探すために掘られる孔も試錐というが、石油鉱業の場合は直接鉱床を探す井戸は試掘井といって区別する。地下の構造解明を目的として比較的浅い孔を掘る構造試錐と、地下の地質調査の手段として深部までの層序を明らかにするための比較的深い試錐とがある。試錐によって得られたコアならびにカッティングス試料については岩質、岩相、構成鉱物、含有微化石などを詳細に調査するほか、コアの物理的、化学的なあらゆる資料を採収、さらに物理検層記録を採収、総合し、地表に露出する層序と照合する。〔小林康生〕』
縞状鉄鉱鉱床（banded iron deposit）②
『縞状構造の顕著な鉱石からなる層状鉄鉱鉱床。チャート起原の珪質物と含鉄鉱物からなる縞の互層からなる。層状鉄鉱層とも呼ばれるが、縞状鉄鉱層（縞状アイアンフォーメーション、banded iron formation：BIF（ビフ）と略称）の呼称が一般的。世界の鉄資源の90％以上を供給し、カナダのラブラドル、オーストラリアのハマースレイ、南アフリカのトランスバール、ウクライナのクリボイログ、ブラジルのミナスジェライスなどに大鉱床が分布。堆積環境からスペリオル型とアルゴマ型に大別。前者は、原生代の堆積岩類に胚胎し、規模が大きく25～18億年前に生成、酸化物相が卓越。後者は始生代のグリーンストーン帯中の火山岩類に胚胎し、炭酸塩相・硫化物相が発達。主な鉄鉱物は酸化物相で赤鉄鉱、炭酸塩相でシデライト・アンケライト、硫化物相で黄鉄鉱。資源的には前者が重要で、BIFの80％以上を占める。18億年前以降にはほとんどみられない。1970年代にグリーンストーン帯の金鉱床がBIFの層準に胚胎することが知られ、アルゴマ型が金鉱床探査の点で見直された。成因としては、前者が生物活動により海水中のFe²⁺が酸化され沈殿したとする意見が強く、大気・海洋の酸素濃度の指標とされる。後者は海底熱水活動説が有力。縞の成因にも議論が多い。〔鹿園直建・加藤泰浩〕』
重晶石鉱床（barite deposit）②
『堆積岩中の層状鉱床、含重晶石石灰岩の風化残留鉱床、鉱脈鉱床の脈石、黒鉱鉱床に伴う塊状鉱床または単独の塊状鉱床などがある。重要な鉱床は中国の湖南省・湖北省、米国のネバダ州・ミズーリ州の層状鉱床。日本では小坂鉱山（黒鉱）、小樽松倉鉱山（単独）等で産したが、1990年小坂閉山後生産量なし。世界の年産量は中国・インド・米国・タイなどで約400万t（1992）、日本は中国等から12万t（1992）を輸入。光学用・塗料・薬用・ボーリング用泥水のほか、コンデンサー・圧電素子・超電導材料への使用量が増加。〔伊達二郎〕』
蒸発岩（evaporite、evaporate）②
『海水または湖水などの蒸発によって、溶解成分が析出・沈殿・集積して形成された堆積岩の総称。蒸発残留岩、エバポライトとも。石膏・硬石膏・岩塩・化学的沈殿による炭酸塩岩（石灰岩・苦灰岩）などが含まれる。海水の溶解塩類はNaCl 77.76％、MgCl2 10.88％、MgSO4 4.74％、CaSO4 3.60％、K2SO4 2.46％、CaCO3 0.35％、MgBr2 0.22％であり（F.W.Clarke、1924）、水分が蒸発して1/2に減るとわずかに酸化鉄・CaCO3、1/5で石膏、1/10でNaCl結晶、引き続いてMgSO4・MgCl2、最後にKCｌ・NaBrが沈殿する。厚さ1,000mの海水からはおよそ厚さ15m（NaCl 11.6m、CaSO4 0.4m、Na・Mgを含む塩類0.3mなど）の塩類が析出することになる。蒸発岩に相当する現在の堆積物（塩類堆積物または蒸発残留堆積物）は、乾燥～半乾燥帯に位置した大陸内部のプラヤや大陸沿岸のサブハや塩湖・干潟などで形成されている。〔松井　愈・川村寿郎〕』
蒸発鉱床（evaporite deposit）②
『海水・塩湖などが蒸発濃縮し、塩類が沈殿してできたもので、化学的堆積鉱床の一種。地表の可溶性塩類を含む水は、その含有成分によりNaClを多量に含む海洋型とNa2CO3・Na2SO4・H3BO3等を含む火山型とに区分される。前者は海洋や米国Great Salt Lake・カスピ海等の塩湖の水、後者は米国Moro Lakeの水である。海洋型の水からは石膏・硬石膏・岩塩･カリ岩塩・炭酸カルシウムおよび苦土塩、火山型の水からは炭酸ソーダ・ホウ酸塩・硝酸塩等が沈殿生成。その生成には乾燥気候が必要。古い地質時代ではシュタスフルトの岩塩・カリ岩塩鉱床、新しいものではチリ硝石、トルコ・米国カリフォルニアのホウ酸塩鉱床が有名。先カンブリア時代、オルドビス～デボン紀、ペルム紀、中新世などに生成。海洋型の蒸発鉱床の鉱物晶出順序より、古海水の組成を推定できる。〔浜地忠男・鹿園直建〕』
新エネルギー（new energy）⑦
『狭義には太陽エネルギー、海洋エネルギー、地熱エネルギー、風力エネルギーなどの自然エネルギーをいう。あるいはバイオマスなど再生可能エネルギーのように、地球自然環境そのものの中で、繰り返し生起している現象の中から得られるエネルギーで、かつ、これを電気エネルギーや熱エネルギー、機械的エネルギーに変換して利用しても、地球環境にあまり悪影響を及ぼさない、または微小にしか及ぼさないエネルギーを指す。広義には以上のエネルギーの他に、石炭液化油、シェールオイルなど従来あまり利用されておらず、新しく低公害化して利用可能としたエネルギーをも含めて新エネルギーと呼ぶ。』
→『新エネルギー』のページを参照。
⇒（財）日本エネルギー経済研究所計量分析部（編）（2001）による
⇒経済産業省（2001）による（pdfファイル）

【す】

水簸（すいひ）（water elutration）③
『水中における固体粒子の自然沈降速度の違いを利用して、粒子を粒径または密度にしたがって分ける操作をいう。水ひには、懸濁液を静置して所定の時間経過後懸濁浮遊粒子を取り出す回分式と懸濁液を流動させ水路に粗い粒子を沈降させる連続式の分級法がある。静置の場合、粒子の沈降速度はStokesの抵抗法則の成立する範囲で終末速度vは次のようになる。
　　ｖ＝〔gd²（ρs－ρ）〕/18η
　ただし、ρs：固体粒子の密度、ρ：水の密度、η：水の粘度、g：重力の加速度、d：ストークス径
後者の水流による場合は沈降速度のほか流速の変化や流れ様式の複雑さなどによって正確に分級することはむずかしい。多量に処理するには水流により連続処理されるが、3μm以下に分級しにくい。
　粘土工業では原土中の不純物の除去や粘土粒子を粒径によって分級する場合水ひ操作によるのが一般的である。
　粘土原料を水ひするには次の事項を検討する。①原土と水ひとの混合：水と混合して原土の崩壊しやすい条件を求め、必要に応じて粉砕、攪拌操作を加える。②解膠剤の添加：粘土粒子が懸濁液中で分散することが基本的な要件であり、解膠剤の選択と適量を求め、分級精度の向上と収率を高める。実験的にはピロリン酸ナトリウムやヘキサメタリン酸ナトリウムが、工業的には珪酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウムなどが用いられる。③粗粒不純物の除去：分級精度の維持と作業を容易にするため粗粒をあらかじめ除去する。④分級方法：処理量、立地条件、原土の種類などを検討し分級方法を定める。⑤凝集剤の添加：分級した微細粒子を凝集沈降するため、粘土水ひ物の使用目的にそった凝集剤の選択と適量を求める。工業的には塩化マグネシウム、硫酸アルミニウムなどが用いられる。〔大須賀　望〕』
水力採鉱（hydraulic mining）③
『高圧水をノズルから切羽に噴射し、その衝撃で鉱体をくずし、このスラリーを1ヵ所に溜め、ポンプで水とともに鉱石を搬送する採掘法である。高圧水を噴射させる機械は、水力銃あるいは水力モニタ（hydraulic monitor）というが、ノズル径は通常15～25mmである。水圧は通常30～60kg/cm²であるが、鉱体が硬い場合には100～300kg/cm²で採掘する。採掘した鉱石はサンドポンプなどで直接次の工程に送り、必要に応じて粉砕・選鉱を行う。水力採鉱が最初に実施されたのは米国で、1850年代に砂金の採掘に使用された。1900年代になってから、ソ連で石炭の採掘に適用され、種々の改良が加えられ、1950年代には水力採鉱と水力輸送による石炭の採掘法が確立した。わが国では、青森県淋代海岸で砂鉄の採掘に適用された以外は、1960年ごろより石炭の採掘に使用されている。水力採鉱が石炭の採掘に適用される場合には、特に水力採炭とよばれる。水力採鉱の適用鉱石としては、石炭の他、金、白金、スズなどの重鉱物、砂金、砂錫などの砂鉱、堆積鉄鉱、ボーキサイトなどがある。粘土鉱物に対する水力採鉱の適用例としては、イギリスCornwall地方のカオリン採掘、米国California州のIone付近のカオリン採掘、インドネシアBilliton島のカオリン採掘などがある。Cornwallでは、切羽に高圧水を噴射し、できたスラリーは溝を通してタンクに流し込む方式で採掘している。Ioneのカオリン鉱床は、南北8km、東西の幅4km、厚さ100mにも及ぶ大規模な堆積鉱床であるが、薄い表土をブルドーザー、スクレーパーなどの土木機械で除去した後、水力モニターで粘土層と珪砂層を水力採鉱し、ポンプを通じて選鉱場へ送っている。Billiton島のカオリン採掘場でも、表土を除去した後、高圧ポンプで水を切羽にぶっつけて、カオリンを流し出し、そのスラリーをポンプアップして、除砂工程に送っている。
　わが国では、粘土鉱物の採掘に、水力採鉱は適用されていないが、その理由としては、鉱床規模が小さいこと、鉱床が一様でないために層別に採掘する必要が多いことなどが挙げられる。〔蜂須賀栄治〕』
スカルン鉱床（skarn deposit）②
『炭酸塩岩が熱水による交代作用を受けて形成される塊状熱水鉱床。接触鉱床・接触交代鉱床・高温交代鉱床と同義だが、これらの用語はそれぞれ難点があるため、スウェーデンの鉱山用語で、主にヨーロッパで用いられていたスカルンが、近年広く世界で用いられている。スカルン鉱物と呼ばれるCa・Al・Fe・Mgなどの珪酸塩鉱物（ざくろ石・単斜輝石・緑れん石・珪灰石・ベスビアナイトなど）を伴うことが特徴。スカルン鉱物からなる岩石はスカルンと呼ばれ、石灰岩とチャートの互層やマールなどが熱変成を受けても形成されるが、鉱床となるものは、ほとんど珪長質マグマの活動に伴って発生する熱水により形成され、大規模な物質移動を生ずる。スカルン鉱物の組合せは原岩の種類（石灰質・苦灰質など）により大きく異なる。磁鉄鉱・赤鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱・灰重石・鉄マンガン重石・錫石・輝水鉛鉱などがスカルン鉱物中に鉱染し、あるいは塊状に胚胎してFe・Cu・Zn・Pb・W・Sn・Mo・Au・Beなどの鉱床となる。釜石鉱山（Fe・Cu）・神岡鉱山（Zn・Pb）・藤ヶ谷鉱山（W）、カナダのMacMillan Pass鉱床（W）、中国の大冶鉱床（Fe・Cu）などが典型。いずれも規模は中程度だが高品位のものが多く、世界各地で稼行。〔島崎英彦〕』
ずり（waste）②
『鉱石とともに採掘され、あるいは立坑・運搬坑道・探鉱坑道などを掘進する際に掘り出される母岩や経済的価値のない低品位鉱石。廃石とも。〔佐藤壮郎〕』

【せ】

精鉱（concentrates、heading）②
『選鉱の結果得られる高品位側の産物。尾鉱の対語。〔平山晴彦〕』
製錬（smelting、refining）②
『鉱石から目的金属を抽出する操作。鉱石・精鉱等を原料とし、炉を用いて酸化還元反応で粗金属・高純度金属を得る乾式製錬（smelting）、原料を溶解し電解採取、または乾式製錬で得られた粗金属を電解精製する湿式製錬（refining）がある。乾式製錬のうち、高純度化を目的とする工程を精錬（refining）と呼ぶこともある。〔稲垣勝彦〕』
→『選鉱／製錬とは』のページを参照。
⇒冨永ほか（1987）による
⇒阿座上（1999）による
⇒（鉄鋼製錬）萬谷（2000）による
→ゼオライト

石炭（coal）⑥
『陸生・水生の植物が堆積し、埋没後、続成作用を受け、加圧され、変質して生じた可燃性岩石の総称。石炭化度により褐炭、亜瀝青炭、瀝青炭、無煙炭に分類される。なお、亜炭は褐炭中における低石炭化度のものを鉱業法上区別した名称。石炭の外観は一般に淡褐色～黒色を呈し、光沢の有無によって輝炭・暗炭と呼ぶことがある。薄片鏡下では植物質と鉱物質の不均一な集合体で、花粉・胞子・角皮・表皮などがみられる。分類は発熱量、燃料比、粘結性などが基準で日本標準規格（JIS M 1002）が定められている。日本の理論埋蔵量は確定・推定・予想をあわせ約96億 t。世界全体では 10.1兆 t。近年、石油の代替エネルギーとして埋蔵量の多い石炭の利用が見直され、液化・ガス化による利用研究が活発である。』
石炭（coal）⑦
『主に太古の植物が生物化学的、地球物理・化学的反応により、変質して生成した可燃性岩石状物質のうち石炭化度がある範囲内に入ったもので、かつ工業的に利用し得るものを石炭という。石炭化度によって褐炭、亜歴青炭、歴青炭、無煙炭に分類している、石炭は炭素、水素、酸素、窒素、硫黄などの元素から構成され、水分、鉱物質（灰分）などを含む。石炭の分類には石炭化度の他、性状、品位、粒度、用途、地質時代区分などが用いられるが、これらの分類方式は国によって種々異なり一様ではない。一般的には工業分析による燃料比により表38のように分類されることが多い。石炭はその特性から燃焼による大気汚染の度合が著しいため、近年では石炭の液化やガス化による利用、微粉炭にして重油などと混合し液状化による利用が研究されている。なお、世界の石炭埋蔵量（確認可採埋蔵量）は13113億t、わが国のそれは8.6億tである。

**表38(a)　国内炭分類表（燃料比による）**
名　称		燃料比	固定炭素（％）	揮発分（％）	がい炭	水分（％）	燃焼の状態
無煙炭	無煙炭	12以上	92.3以上	3～7	不粘結	－	青色の短炎
無煙炭	半無煙炭	12～7	92.3～87.5	9～13	〃	－	光輝度の小さい短炎
歴青炭	半歴青炭	7～4	87.5～75	14～19	粘結又は微弱	－	やや短い光輝ある炎または黄色長炎
	高度歴青炭	4～1.8	75～65.7	27～35	粘結	－
	低度歴青炭	1.8～1.0	65.7～52	32～52	粘結又は微弱	－
褐炭	黒色褐炭	1以下	50以上	50以上	不粘結	6以下	黄色長炎
褐炭	褐色褐炭	〃	〃	〃	〃	6以上	〃

**表38(b)　JISによる国内炭分類表（JIS Q 1002）**
分　　類		発熱量^* （補正無水無灰基）（kcal/kg）{kJ/kg}	燃料比	粘結性	備考
炭　質	区分
無煙炭（A）	A1	－	4.0以上	非粘結
	A2				火山岩の作用で生じたせん石
歴青炭（B、C）	B1	8400以上 {35160以上}	1.5以上	強粘結
	B2		1.5未満
	C	8100以上8400未満 {33910以上35160未満}	－	粘結
亜歴青炭（D、E）	D	7800以上8100未満 {32650以上33910未満}	－	弱粘結
	E	7300以上7800未満 {30560以上32650未満}	－	非粘結
褐炭（F）	F1	6800以上7300未満 {29470以上30560未満}	－	非粘結
	F2	5800以上6800未満 {24280以上29470未満}	－
^*：発熱量（補正無水無灰基）＝〔発熱量/（100－灰分補正率×灰分－水分）〕×100 ただし、灰分補正率は配炭公団の方式による。

』
→『石炭とは』のページを参照。
⇒西岡（1990）による
⇒（根源植物）西岡（1990）による
⇒（生成過程）西岡（1990）による
⇒（生成過程）（財）エネルギー総合工学研究所石炭研究会（1993）による

石炭化作用（coalification）②
『植物遺体が泥炭として堆積物中に固定・埋没後、褐炭・亜瀝青炭・瀝青炭を経て、最終的に無煙炭から石墨へと変化する作用。物理的影響力としては熱・圧力・反応時間などがある。現象としては成分中のCの増加で示される。熱は、埋没した深さによって変化する（100mごとに3～5℃上昇）が、一般には古生代石炭でも200℃以下。火成岩の迸入による高温は例外である。圧力は、埋没後その炭層に加えられた続成作用と地殻運動の影響による。深さによる温度と静水圧の増加は成分中の水分と揮発性成分を減少させる。地域的には石炭化の促進が強い地殻変動によると解釈している場合もある。バクテリアによる生化学的反応が石炭化の程度に大きな影響を与えるという見解もある。〔徳永重元・秋山雅彦〕』
石炭成因論（theory on the origin of coal）②
『石炭の成因をめぐる理論。石炭は植物質と鉱物質とから構成され、一次的堆積環境と二次的変成作用の差異と程度によって炭質に変化を生む。その過程は原植物の堆積形式（流移堆積か原地形成か）、水中での泥炭化、地中での加圧に伴う石炭化などの作用に分けて考えられている。原植物の差異は地質時代の違いによって差があり、古生代の隠花植物、中生代の隠花植物と裸子植物、新生代の被子植物と裸子植物はおのおの石炭構成の主要素となる。泥炭化作用の過程ではバクテリアの作用が考えられており、その地域差が植物質の分解・酸化の差に現れ、さらにその後の作用にまで影響を与えるという論もある。石炭が層として形成されるのは、盆地地盤の沈降と植物の堆積速度とが関連し、常に水面直下における植物相の堆積が行われたときで、海退と海進の一時期に主として淡水成層として示される。炭化度には種々の条件が考えられ、続成作用を主として考えるときは、地質時代の古いほうほど無煙炭・高度瀝青炭が多く、新しいほうには褐炭が多い。しかし、石炭化作用にはその他の要因が加わり、単純ではない。〔徳永重元〕』
石灰石（limestone）②
『鉱業法に基づく鉱業統計用語で、鉱物資源としての石灰岩の呼称。日本の石灰石鉱床は主にペルム系・石炭系を採掘。小規模にはデボン紀・ジュラ紀（鳥巣石灰岩）・中新～鮮新世の石灰質泥岩・第四紀の隆起サンゴ礁などがある。ペルム紀の鉱石はCaO 54～55％（理論値56％）の良質のものが多い。国内の大型鉱床は、青森県尻屋・栃木県葛生・埼玉県武甲山・岐阜県赤坂・滋賀県伊吹山・岡山県阿哲台・山口県秋吉台・高知県鳥形山・福岡県平尾台・大分県津久見など。世界の推定年産量は約25億t（1987）。主産地は中国・ロシア・米国・日本・英国など。国内年産量は2億t（1990）。用途はセメント・タンカル原料のほか鉄精錬や土建用（骨材）など。〔岡野武雄・平野英雄〕』
石油（petroleum）③
『炭素数1のメタンから始まる2000種を超える炭化水素を主成分とするれき青物質で、地下においてガス状または液状で稼行に足る量として存在するものをいう。石油は坑井を通して地上へ採取されたときの状態で天然ガス、ガスコンデンセートおよび原油の種類に分類される。天然ガスは成因と地質学的産状から水溶性天然ガスと構造性天然ガスに分けられるが、水溶性天然ガスは一般に石油の範ちゅうには入れない。構造性ガスは原油と同じ産状を示すガスで、メタンを主成分とするが相当量のエタン以上の炭化水素を含む。その他に非炭化水素として窒素、炭酸ガス、硫化水素、ヘリウムなどを微量に含む。なかにはオランダのGroningenガス田や米国のOklahomaおよびArizona州に分布するいくつかのガス田のように、ヘリウムを3％以上も含有するものもある。ガスコンデンセートは軽質の液状炭化水素（～C10±）を相当量含有し、ガス層の温度、圧力が高い場合には、気体として存在し、地上に採収されたとき常温、常圧状態になり液化するものをいう。原油は主として液状炭化水素からなるが、その中にそれ自体では気体であるべきもの、あるいは固体であるべき炭化水素を相当量溶解している。炭化水素の他にアスファルトや、樹脂成分が相当量含まれ、また微量の水や泥も含まれる。
　原油中の炭化水素は、一般式CnH2n+2で示される鎖状の飽和炭化水素（パラフィン系）が主成分であることが多い。次いで一般式CnH2nで示されるナフテン系炭化水素が多く、芳香族系あるいは芳香族・ナフテン系複合炭化水素は相対的に少ない。〔浅川　忠〕』
石油（petroleum）⑥
『地下から産出する各種液状炭化水素を主成分とし、硫黄、窒素、金属などの微量成分を含む天然の液状物質。産出したままの原油とこれらから精製された多くの石油製品を総称していう。石油の成因については無機説と有機説がある。プランクトンなど海生生物体の有機物が根源岩にとり込まれ、還元的な環境に生息する嫌気性バクテリアによって分解、堆積作用が進むにつれて熱や圧力を加えられ炭化水素となり、さらに埋没深度が増してついに石油に変成したという有機説が有力。石油はその主成分である炭化水素の種類が多く、また、加工によって数多くの分子構成の変化が可能なところから広い用途を有している。』
石油（petroleum）⑦
『天然に産する鉱油（原油）およびその製品の総称。なお、石油は灯油の俗称として用いられることもある。』
→『石油とは』のページを参照。
⇒氏家（1994）による
⇒山崎（1994）による
⇒化学工業日報社（1997）による
⇒樋口（1998）による
⇒（起源物質）田口（1998）による
⇒（ケロジェン起源説）田口（1993）による
⇒（ケロジェン起源説）田口（1998）による
⇒（非在来型）浅川（1997）による
石油換算（equivalent to oil）⑦
『エネルギー間相互の比較を行うため、そのエネルギーが保有する熱量を基準に換算するが、熱量の工業単位であるkcal（SI単位ではkJ）では、その大きさがすぐに理解しにくいため、そのエネルギーを単位容量（１リットル）当たりの発熱量が、10000kcal（41868kJの石油に換算し石油の容量で表すことをいう。』
石油根源岩（petroleum source rock）③
『石油を生成した岩石で、有機物を豊富に含む頁岩、シルト岩など細粒堆積岩である。炭酸塩のうち細粒のものは石油根源岩として貢献したとする考えもあるが、疑問をもつ人も多い。石油根源岩中の有機物は有機溶媒に可溶なビチューメンと不溶性のケロジンとがある。ビチューメンはその場所で生成したもの、他所で生成され移動してきたものおよび堆積当初から含まれていたものの混合物であると推定される。石油根源岩は含有有機物の富化度、類型および熟成度の3つのパラメータで評価される。
　有機物富化度：ビチューメンとケロジンの和で、一般に乾燥岩石に対する有機炭素の重量百分率で表す。また、ビチューメン中の炭化水素量（分析技術上、一般に固体成分を対象とする）を液体クロマトグラフィーで求め、有機炭素濃度との2成分ダイアグラム上で評価する方法がしばしばとられる。一例として、石油資源開発（株）および石油公団、石油開発技術センターで使用している評価チャートを図1（略）に示す。この評価チャートによれば有機炭素が0.5％以上が石油根源岩として有効であるとされている。しかし、炭化水素が高すぎると一般に汚染試料とみなされ、逆に低すぎる場合にも不適格であるとされている。この評価基準は数多くのデータに基づく経験的な基準であり、特に理論的根拠はない。
　有機物（ケロジン）の類型：ケロジンの類型は腐泥質（または不定型質）、草本質、木部質および石炭質の4つの基本型に分類されるが、一般に木部質と石炭質は一括して扱われるので3つの基本型とよぶ場合が多い。腐泥質ケロジンは液状石油を発生しやすく、木部質と石炭質はガスを発生しやすい。草本質は両者の中間的性質をもっている。これらの分類方法には大きく光学顕微鏡的分類と化学的分類との2つに分けられる。
　有機物の熟成度：石油はケロジンの変成過程の一段階における副生物として発生すると考えることができる。したがって、石油根源岩評価の際、それに含まれる有機物の熟成度を知ることは大変重要である。有機物の熟成に伴って変化するパラメータは数多く知られている。これらはいずれも石炭ランクと対比されている（図2：略）。これら数多くの熟成度パラメータのうちでビトリナイト（石炭マセラルのひとつ）反射率（Ro）が標準的指標として最も広く用いられている。ケロジン類型によって多少違うが、おおよそRo≒0.5％から石油を生成しはじめ、Ro≒1％前後でピークとなり、Ro≒2％で終了する。熟成度は温度と時間の相乗効果により進行するので、平易にいえば高い温度の場合は短い時間でRo＝0.5％へ到達するが、逆に低い温度では長時間を要することになる。〔浅川　忠〕』
石油根源岩（source rock of petroleum）⑥
『経済的な石油炭化水素量を発生しうる能力をもった岩石で、通常細粒の泥岩、頁岩ならびに炭酸塩岩である。最近の知識では、堆積岩中に含まれる有機溶媒不溶の有機物（ケロジェン）が主要な石油炭化水素根源物質とみなされており、とくに藻類型ケロジェンを多量に含むものがよい根源岩とされている。石油根源岩の生成には、酸素の供給の少ない（有機物が分解されない）堆積場が必要で、波浪や水流の影響の少ない環境が考えられている。』
石油成因説（theory on origin of petroleum）②
『石油が生物起原か否かにより、無機成因説と有機成因説に大別。無機成因説は、マントルなどの地球深部での炭素または炭素化合物と水素の反応による地球深部ガス説、地球の創生時にすでに存在したとする宇宙成因説など。有機成因説は、生物体内での合成とする生物炭化水素直接起原説、堆積後早期に有機物が分解・転化したプロトペトロリウムが貯留岩中で続成変化したとする続成作用初期成因説、堆積岩中のケロジェンの熱分解とする続成作用後期成因説（ケロジェン根源説）など。石油鉱床の99％以上が堆積岩中で発見されること、石油中に生物によってのみ合成可能な化合物が数多く存在すること、このうちクロロフィルに由来するポーフィリンが無機成因説が想定する温度（一般に200℃以上）では分解することなどから、20世紀半ばに有機成因説が主流になった。その後の堆積岩有機物の研究の進歩により、1970年代以降ケロジェン根源説が最有力。石油の一部は、脂質・蛋白質などの有機物から直接形成されるが、その量的貢献度は小さい。埋没深度の増加に伴い、ケロジェンは主に熱作用によって変化し、ある深度（日本の含油堆積盆地では2,000～3,600m）に達すると多量の液状炭化水素を発生し、これが貯留岩に移動して石油鉱床を形成する。〔田口一雄・平井明夫〕』
石油製品
⇒園田（1993）による
石油のトラップ（trap for petroleum）⑥
『石油鉱床が形成されるためには、貯留岩中における石油の移動を阻止し、集積をきたすべき地質的条件をそなえた構造が必要である。この特定の構造を集油構造あるいは石油のトラップと呼んでいる。トラップの代表的なものは、背斜トラップ、断層トラップ、尖滅トラップ、不整合トラップ、礁トラップなどであるが、これらのうち、背斜トラップはとくに重要で全世界の石油鉱床の70％以上がこの範ちゅうに入るといわれている。』
→トラップ
セルロース（cellulose）⑨
『最も多量に存在する有機高分子。植物界の細胞壁の主要構成物質である多糖。菌糸壁の構成物質としてセルロースをもつ菌類もある。また動物細胞では、細胞外被に含まれていることもある。セロビオース単位が繰り返す長鎖多糖であり、これはグルコース単位がβ-1,4結合で連なった長鎖ともいえる。分子内の水素結合と、平行に並んだ分子間の水素結合（結晶性のミクロフィブリルを形成する）によって、非常に大きな弾性のある分子となる。しかしミクロフィブリルは、pHを下げると（細胞に対するオーキシンの影響により）結合がゆるみ、既存のミクロフィブリルの間に新たなセルロースが沈着し、細胞壁の伸長が起こるようになって、細胞が成長する。また、リグニンと結合してリグノセルロースとなる。セルロースの繊維構造にｙり、織物工業（綿、麻、人絹）が成り立っている。セルロースの分布については細胞壁を参照。』
閃光（schillarization）②
『鉱物の結晶中に一定方向に配列した微細な包有物・繰返し双晶面・劈開などによって起こる光の回折現象に原因する色彩効果。アルカリ長石類中の月長石（ムーンストーン）やサンストーンなどにみられる光彩の一種。〔砂川一郎〕』
選鉱（mineral dressing、mineral processing、beneficiation）②
『採掘された鉱石から、目的鉱物を他の目的鉱物や脈石などから分離して次工程に供給する操作・工程。準備作業・選別・付帯作業の3段階がある。準備作業は粉砕と整粒である。選別は物理的選別で、鉱物の色彩・光沢に、基づく手選および色彩選別、密度による重液選別と比重選別、磁性による磁力選別、表面の導電性による静電選別、表面の濡れ特性による浮遊選別、放射能に基づく放射能選別などがある。付帯作業は濃縮・脱水と廃石・廃水の処理。これらの技術は、水処理、油処理、ゴミ処理、製紙、農林水産、医薬、リサイクリングなど多分野に活用されている。〔林　紀夫〕』
選鉱〔（mineral）deressing〕③
『鉱山で採掘される鉱石には、有用鉱物ばかりでなく、多かれ少なかれ不純物が混在している。このため採掘された鉱石中の不純物を、人の感覚で識別し取り除く手選や、水洗、粉砕、分級などの物理的処理や、酸処理、浮遊選鉱などの化学的処理で、有用鉱物と不純物を分離することが必要となってくる。これらの操作全般を選鉱といい、粘土の場合には精製ともいう。以下簡単に代表的選鉱法を記す。
①　手選法：　鉱石の色調、光沢、透光性、重さなどを、人の感覚で識別し、手で選別する。粗鉱中の発破の導火線、坑木片、鉄片などの除去に広く利用されている。
②　浮遊選鉱法→浮遊選鉱
③　比重選鉱法
④　重液選鉱法
⑤　磁力選鉱法
⑥　静電選鉱法：　鉱石によって電気的性質（主として表面電導率）が異なることを利用して、選別を行う方法である。大別して、静電型、コロナ放電型、両者の混合型、摩擦帯電型がある。図（略）に静電選鉱の原理を示す。Aは金属性の接地ロールである。図（a）中のBは対電極で、ロール表面は正に帯電している。
　供給された粒子は、AB間で形成された静電界中でロールに接触すると、導電性粒子は、電荷の移動により、ロールより反発される。一方、絶縁粒子は、そのまま落下し、両者を分離できる。図（b）はコロナ放電型であるが、高電圧選鉱ともよばれる。図（c）は（a）、（b）混合型であり、AB間にはコロナ放電が生じ、AD間には静電界が形成される。摩擦帯電型は、絶縁体で作られた摩擦ロールを通過する際に物質により、異なった符号に帯電し、平等電界中で、正に帯電した粒子は負極のほうへ、負に帯電した粒子は正極のほうへ吸引され、両者を分離するものである。石英と長石の分離などに利用されている。
⑦　放射能選鉱法：　放射能鉱物を含む鉱粒と含まない鉱粒が混在する場合、シンチレーションカウンターのような、放射線測定器で計数して、前者のみを摘出することにより、選別の目的を達するものである。
　その他不純物との電気抵抗の差を利用して選別を行う電気摘出法や、鉱物の光学的性質の差を、光電管で感知して、機械的に選別を行う光電選鉱法、分級による選鉱法、優先破砕選鉱法などがある。
　粘土鉱物の採掘も、切羽条件の悪化、鉱物品位の低下、さらには公害対策など、多くの問題をかかえており、いっそうの選鉱技術の確立が期待される。〔蜂須賀栄治〕』
→『選鉱／製錬とは』のページを参照。
⇒冨永ほか（1987）による
浅成鉱床（supergene deposit）②
『天水（下降水）の作用によって生じた鉱床の総称。深成（hypogene）鉱床に対する。二次鉱床とほぼ同義。〔岸本文男・矢島淳吉〕』

【そ】

層状岩銅硫化鉄鉱鉱床（bedded cupriferous iron sulfide deposit）②
『主に黄鉄鉱・磁硫鉄鉱からなり、黄銅鉱を混じえ、ふつう、珪酸塩鉱物に乏しい緻密塊状の硫化物集合体からなる層状の鉱床。含銅硫化鉄鉱鉱床とも。閃亜鉛鉱・斑銅鉱・磁鉄鉱などを少量伴う。かつて層状含銅黄鉄鉱鉱床とも呼ばれたが、磁硫鉄鉱も伴うことから、この名称となった。広域変成帯の苦鉄質火山岩起原の変成岩に伴って産する例が多く、日本の三波川帯の別子・佐々連鉱床などがその好例。別子型鉱床とも。ヨーロッパのカレドニア・バリスカン造山帯などにも多くの例がありキースラーガーと呼ばれる。海底火山活動による苦鉄質火山岩類またはその変成岩類に伴うこと、堆積岩・化学的沈殿岩を含む母岩と調和的であることから、火山活動に伴う熱水性堆積鉱床と考えられ、火山性塊状硫化物鉱床のうちの別子型鉱床に分類される。キプロス型との相違はオフィオライト層序を伴わないこと。銅・硫化鉄鉱の資源として重要。海嶺熱水鉱床（ワイマス海盆など）との類似性が指摘されている。〔鹿園直建〕』
粗鉱（crude ore、run of mine）②
『採掘された状態の鉱石。選鉱場に送られる原鉱。ROMと略称。〔平山晴彦〕』

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