Bennett,E.M., Carpenter,S.R. and Caraco,N.F.(2001): Human impact on erodable phosphorus and eutrophication: A global perspective. BioScience, 51(3), 227-234.

『浸食されやすいリンおよび富栄養化に与える人為の影響:世界的な見通し』


(Introduction)
Global phosphorus budgets
 Calculating the current global P budget
 Calculating a preindustrial global P budget
 Accumulation location
Conclusions
Acknowledgments
References cited

1)現在のリンの流れ

過程

 見積り量

フロー量(万トン/年)
採鉱から 18.5(Tg/年=100万トン/年) 1850
風化から 15−20(Tg/年) 1500〜2000
大気へ (Tg/年) 100
河川へ

22(Tg/年)

2200
蓄積 (15+18.5)−(1+22)=10.5 〜
(20+18.5)−(1+22)=15.5
1050〜1550

●採鉱から地表土壌へは1850万トン/年
●1995〜1996年の燐酸塩岩の生産量は1980万トン/年
1980−80(産業用途)−200(動物飼料)+150(肥やし)=1850万トン/年。
●風化から表面土壌へは1500〜2000万トン/年
削剥速度は200億トン/年で、リンの濃度を0.1%とすれば、2000万トン/年
先史時代の削剥速度を100億トン/年とすれば、1000万トン/年
現在の風化速度の見積りの平均から、1500万トン/年
●大気から地表へは320万トン/年。地表から大気へは420万トン/年。従って、地表から大気へ100万トン/年
●河川から海洋へは2200万トン/年。そのうち、溶存は200万トン/年。粒子状は2000万トン/年
河川堆積物フラックスを150億トン/年とし、リンの平均濃度を0.1275%〔=1275ppmw(mg/kg)〕とすれば(これらの値で計算すれば約1900万トン/年)、溶存と粒子状の合計フラックスは2200万トン/年(?)。これは、従来の報告値の1700〜3200万トン/年の範囲内。
●土壌と淡水系へは合計3350〜3850万トン/年となる。2300万トン/年がアウトプットであるから、蓄積量は1050〜1550万トン/年となる。

●淡水堆積物への蓄積は100〜310万トン/年
淡水面積1040万km2、堆積速度1mm/年、平均リン濃度0.3%(=3 mg/g乾燥重量)とすれば、100万トン/年。流出水量(0.3 m/年)について20%のリンの保持を仮定すれば、310万トン/年
●1958〜1998年での世界の農地蓄積は800万トン/年。陸上全体の11%を占める。800万トン/年のうち500万トン/年は途上国。

2)産業化以前のリンの流れ

過程

 見積り量

フロー量(万トン/年)
採鉱から
風化から 10−15(Tg/年) 1000〜1500
大気へ (Tg/年) 100
河川へ

(Tg/年)

800
蓄積 10−(1+8)=1 〜
15−(1+8)=6
100〜600

●風化から1000〜1500万トン/年
●大気へは100万トン/年
●河川から海洋へは800万トン/年
溶存リンが100万トン/年で、粒子状リンが700万トン/年
粒子状リンは、浮遊物フラックス70億トン/年とリン平均濃度0.1%(=1000mg/kg)から、700万トン/年
●インプットの合計は1000〜1500万トン/年。アウトプットは900万トン/年。従って、土壌蓄積は100〜600万トン/年

●淡水堆積物への蓄積は100〜120万トン/年
淡水面積1040万km2、堆積速度1mm/年、平均リン濃度0.3%(=3 mg/g乾燥重量)とすれば、100万トン/年。流出水量(0.3 m/年)について20%のリンの保持を仮定すれば、120万トン/年

■蓄積の産業化以前と現在と差は、450〜1450万トン/年


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