Abstract
『摘要
網生簀による内水面養殖業が盛んに営まれてきた霞ヶ浦において、水環境への影響評価を目的として、堆積物中のリンの存在形態から主要養殖漁場周辺の特性を検討した。強熱減量や全有機炭素量、全窒素量およびC/N比については、養殖漁場と非養殖漁場との間に明らかな違いはみられなかった。これに対し全リン含有量は養殖漁場で非養殖漁場よりも高く、その差は主に無機態リンの含有量の違いによるものであった。養殖魚場内の堆積物は養殖に伴う糞などの堆積が起源と考えられるHCl抽出(Ca結合)リンを多く含有することで明確に特徴付けられており、HCl抽出リンが養殖の影響を示す指標として有効であることが明らかになった。また、養殖魚場内にはHCl抽出リンと同時に溶出可能(Fe結合・Al結合)リンが堆積物に付加されていることから、養殖魚場内の底泥が非養殖漁場と比較して高いリン溶出ポテンシャルを有している可能性が示唆された。
キーワード:養殖;堆積物;自家汚染;HCl抽出リン;霞ヶ浦』
はじめに
方法
調査地概要
試料採取
分析方法
溶出実験
流況データ取得
結果
主要漁場周辺の堆積物の特性
溶出試験
養殖漁場内の流速
考察
有機物の分布と養殖の影響
形態別リンの分布と起源
形態別リンの蓄積と流れ場との関係
養殖漁場のリン溶出ポテンシャル
まとめ
謝辞
文献
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堆積物コア試料 |
薄切り、 計量 |
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薄切り(sliced)堆積物試料 |
計量、 遠心分離〔3000回転/分(1430 G)、20分間〕 |
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上記試料 |
酸揮発性硫化物態硫黄量(acid volatile sulfide)測定、 湿重量計量、 乾燥(105℃、2時間)、 乾重量計量(含水率) |
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乾燥試料 |
炭酸塩の除去(振とう、25℃、24時間)、 全有機炭素(TOC)と全窒素(TN)を測定 |
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粒度分布測定、 強熱(550℃、2時間)、 強熱減量(ignition loss)測定 |
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リンの分別 |
0.22M Na3C6H5O7・H2O(クエン酸ナトリウム) 0.11M NaHCO3(炭酸水素ナトリウム) Na2S2O4(亜ジチオン酸ナトリウム) 85℃で30分間抽出 |
CDB-RP(Fe-P;非アパタイト) CDB-NRP(有機P) |
残渣 |
1M NaOH(水酸化ナトリウム) 振とう、25℃で16時間抽出 |
NaOH-RP(Al-P;非アパタイト) NaOH-NRP(有機P) |
残渣 |
2M HCl(塩酸) 100℃で30分間抽出⇒加熱抽出法(井澤・清木、1982) |
HCl-RP(Ca-P;アパタイト) HCl-NRP(有機P) |