『T.はじめに
水辺は住民に憩いや安らぎを与える空間であり、その整備や保全に対する要望は、特に都市部において大きい。市民の望む河川環境は、そこにきれいな水が存在するだけでなく、緑が豊かで生物がより多く棲んでいることでああり、身近な自然環境への関心が高まっている。
1993年の環境基本法制定以後、環境保全に係る法規制が数多く制定されている(表1)。河川水質においても、単に人への健康影響という観点だけでなく、生物や生態系の保全を意識した環境基準や指標が策定されている。本稿では、2003年に策定された水生生物の保全に係る水質環境基準および今年発表された河川水質の新しい指標(案)について解説するが、まず先立ってその導入の背景となった法規制の整備の動向について概説する。なお、本稿ではこれらの基準等に関連のある法令のみを紹介し、河川環境の整備や保全に密接な関係のある環境影響評価法や自然再生推進法等については割愛する。』
U.河川水質環境の保全に関する法整備の動向
1.環境基本法の理念
2.河川法の改正
3.生物多様性の保全
V.水生生物の保全に係る水質環境基準
1.導入の背景
2.水生生物の位置づけ
3.水質目標値の導出と基準化
4.本基準の問題点
W.河川水質の新しい指標について
X.おわりに
参考文献
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1990 |
多自然型川づくり事業開始 河川水辺の国勢調査開始 |
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1991 | レッドデータブック(脊椎・無脊椎動物)の刊行 | ||
1992 | 種の保存法制定 | ||
1993 | 環境基本法制定 | 生物多様性条約締結 | 水質環境基準の大幅改定 |
1994 |
水道水源法制定 環境基本計画を閣議決定 |
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1995 | 生物多様性国家戦略の策定 | 水産用水基準改定 | |
1996 | |||
1997 |
環境影響評価法制定 河川法改正 |
改訂レッドリスト(爬虫類・両生類・植物)公表 | |
1998 | 改訂レッドリスト(哺乳類・鳥類)公表 | ||
1999 |
海岸法改正 食料・農業・農村基本法制定 PRTR法制定 |
改訂レッドリスト(淡水魚類)公表 鳥獣保護法改正 |
水質環境基準の一部改定 |
2000 |
循環型社会形成推進基本法制定 新・環境基本計画の閣議決定 港湾法改正 |
改訂レッドリスト(無脊椎動物)公表 | 水産用水基準一部改定 |
2001 |
森林・林業基本法制定 水産基本法制定 |
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2002 | 自然再生推進法制定 |
新・生物多様性国家戦略の策定 自然公園法改正 |
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2003 | 自然再生基本方針の決定 | 水生生物の保全に係る水質環境基準の設定 | |
2004 | 河川水質の新しい指標の検討 |