『1.問題意識と研究目的
中国の原子力発電開発は,国際社会の注目を集めている。世界の原子力発電開発が停滞しつつある今日において,先進国を中心とする国際原子力資本が中国を21
世紀最大の市場として,そして次世代原子炉の開発,実験の場として期待している。一方,過去20 年間のような海外技術を中心とする原子力発電の急速導入は安全性問題,コスト競争力問題,雇用機会の喪失問題などを内包すると同時に,原子力発電技術の国産化を遅らせ,それが結果的に中国の原子力発電開発を遅らせるのではないか,と懸念されている。また,省エネルギーの潜在力も,水力,風力など再生可能エネルギーの開発潜在力も巨大であるにもかかわらず,なぜ国産化もできず,廃棄物の安全処理問題も残る原子力発電を行うのか,との疑問も多々ある。このような期待,懸念そして疑問の交じった眼差しが中国に注がれているのである。
本稿の目的は,中国における原子力発電開発の現状を明らかにするとともに,中長期展望を試みることである。まず2 節で原子力産業の歴史を概観したうえで,原子力発電開発の現状を分析する。3節では,様々な計画,見通しを中心に原子力発電開発の中長期展望を行う。最後に4
節では,原子力発電開発の是非と課題などについて検討を試みる。』
2.原子力発電開発の現状
3.原子力発電開発の中長期見通し
4.原子力発電の是非と課題
謝辞
参考文献
名称 | 所在地 | 設備番号 |
出力 (万kW) |
原子炉型式 | 調達先 | 着工 | 営業運転 | 備考 |
大亜湾 | 広東省 |
1号機 2号機 |
90 90 |
PWR PWR |
フランス フランス |
1987年8月 1988年4月 |
1994年2月 1994年5月 |
運転 運転 |
秦山T | 浙江省 | 1号機 | 30 | PWR | 国産 | 1985年3月 | 1994年4月 | 運転 |
秦山U | 浙江省 |
1号機 2号機 |
60 60 |
PWR PWR |
国産 国産 |
1996年6月 1997年4月 |
2002年4月 2003年予定 |
運転 建設中 |
秦山V | 浙江省 |
1号機 2号機 |
70 70 |
CANDU CANDU |
カナダ | 1998年6月 |
2002年12月 2003年11月予定 |
運転 建設中 |
嶺澳(T) | 広東省 |
1号機 2号機 |
100 100 |
PWR PWR |
フランス | 1997年5月 |
2002年5月 2003年1月 |
運転 運転 |
田湾(連雲港)(T) | 江蘇省 |
1号機 2号機 |
100 100 |
VVER VVER |
ロシア ロシア |
1999年10月 2000年9月 |
2004年予定 2005年予定 |
建設中 建設中 |
合計 | 4省 | 11基 | 870 | PWR中心 |
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(注) PWR(Pressurized Water Reactor)は加圧水型原子炉。 CANDU(CANadian Deuterium Uranium)はカナダが開発した加圧重水型原子炉(Pressurized Heavy water Reactor)。 VVER(Vodo-Vodyanol Energetichesky Reactor)=WWER(Water-Water Power Reactor)はロシア型加圧水型原子炉。 (出所)中国能源信息網、中国人民日報、経済日報、原子力産業新聞、ATOMICAなど各種資料より作成。 |