柳 哲雄(1997):瀬戸内海の淡水・窒素・リン収支.海の研究、6(3)、157-161.
『Abstract
Budges of frsh water, total nitrogen and total phosphorus in
the Seto Inland Sea are summarized and the countermeasure for
the eutrophication is discussed.』
1.はじめに
2.淡水収支
3.窒素・リン収支
4.考察
5.おわりに
References
図4 瀬戸内海における全窒素と全リンの収支.大気への窒素フラックスの8と31トン/日はそれぞれ脱窒と漁業による.11.6×104トン窒素と0.88×104トンリンは陸からの負荷.
〔柳 哲雄(1997)による瀬戸内海の淡水・窒素・リン収支から〕 |
- 流域面積=48,789 km2
- 海域面積=21,827 km2
- 海域体積(V)=816 km3、平均水深=37 m
- 降水量:海域=1400 mm/年、陸域=1700 mm/年
- 蒸発(散)量:海域=1500 mm/年、陸域=600 mm/年
- 河川流量=50 km3/年
- 地下水流量=降水量−蒸発量−河川流量=3 km3/年
- 瀬戸内海への淡水流量=河川流量+海域降水量−海域蒸発量=47 km3/年
- 瀬戸内海の海水量に占める淡水量(F)=〔(S0−S)/S0〕×V=30
km3〔Vの4%〕
(ここで、S=瀬戸内海の平均塩分=33.06、S0=太平洋の平均塩分=34.33)
- 河川水の平均滞留時間=F/47=7.7ヶ月
- 人為源(工場排水処理・下水処理など)からの負荷発生量(原単位法):全窒素=593トン/日、全リン=63トン/日;
負荷量:全窒素=474トン/日(発生量の80%)、全リン=49トン/日(発生量の78%)
- 降水からの負荷量:全窒素=76トン/日、全リン=2トン/日
- 海域からの脱窒量=8トン/日
- 漁業によるアウトプット:全窒素=31トン/日、全リン=3トン/日
- 堆積物へのフラックス:含泥率60%以上の底質面積=7,100 km2、
底質濃度:全窒素=2.0 mg/g、全リン=0.4 mg/g、
平均堆積速度=0.2 g/cm2/年
以上から、全窒素=78トン日、全リン=16トン/日
- 瀬戸内海の海水の平均濃度:全窒素(N)=0.218 mg/l、全リン(P)=0.0250 mg/l、
Vとの積から、全窒素=17.8万トン、全リン=2.04万トン
- 太平洋の海水(200 m以浅)の平均濃度:全窒素(N0)=0.076 mg/l、全リン(P0)=0.0142 mg/l、
- 太平洋起源:全窒素=0.076×V=6.2万トン、全リン=0.0142×V=1.14万トン
- 人為+自然+大気起源:全窒素=11.6万トン、全リン=0.88万トン
人為+自然+大気起源の平均滞留時間:全窒素=8.9ヶ月、全リン=9.2ヶ月
ホームへ