第1章北海道における水循環の再生・創出に向けた取組の現状と課題
第1節一次産業と水の循環
1 農業
(1)農地が水循環に果す役割
(2)土地利用の変遷と土地改良
(3)農業農村整備と農村環境の変化
(4)農業による水質環境への負荷の現状
(5)安全・安心へのニーズと住民主体の取組の重要性
(6)地域主体の環境保全の取組事例
2 森林・林業
(1)森林が水循環に果す役割
ア 林冠による降雨の遮断蒸発、樹木の蒸散作用等による洪水の抑制
イ 森林土壌による浸透・保水、濃霧の捕捉等による渇水の抑制
ウ 流出水の良質化や成分安定化
エ 水辺林による生態系保全の働き
オ 土砂の流出、斜面の崩壊を防ぐ働き
(2)北海道の森林・林業の概要及び特徴
(3)健全な水循環の創出に向けた課題
ア 人工林の間伐遅れ
イ 無立木地の発生
ウ 流木被害の発生
エ 森林施業の影響
(4)住民の理解と参加を求める新たな取組
ア 地域住民や漁業者の森林づくり
イ 森林機能を評価する基準づくり
ウ 森林認証制度の取組
(5)健全な水循環の創出に向けて
3 漁業
(1)漁業における水循環の現状
ア 河川からの負荷
イ 沿岸域における藻場、干潟、自然海岸の減少
ウ 養殖業による負荷
エ サケ孵化放流事業と生態系
(2)健全な水循環の再生をめざした漁業からの取組例
ア 環境保全連絡会議
イ お魚殖やす植樹運動
ウ サロマ湖養殖漁場に係る環境保全の取組
(3)課題
ア 環境保全連絡会議の取組の限界と、より積極的な水循環再生の検討組織の必要性
イ 汀線や浅海域における環境保全の取組の促進
ウ 漁協女性部植樹活動の連携の拡大
エ 漁業の取組から農業など関係サイドとの連携への発展
4 水循環における一次産業の課題
(1)健全な水循環の実現に向けた生産者意識の向上
(2)水循環保全の取組と経済性
(3)水循環保全に対する一次産業間の連携
(4)市民活動との広範な連携
第2節市民生活と水の循環
1 重視されだした「合意形成」
2 第三者委員会の存在価値
3 着工後に設置される第三者機関の限界
4 NPOなどの環境保全活動
5 市民サイドから見た「縦割り」の弊害
6 水と暮らしの関係性の移りかわり
7 都市排水と下水道問題
8 住民の果たすべき役割とは
9 そして人々は水辺へ戻る
第3節河川環境と水の循環
1 北海道の河川の現状
2 河川環境を取り巻く河川行政の対応
(1)災害と治水事業
(2)河川法改正と自然再生法
(3)北海道の川づくり基本計画
(4)主な河川環境対策と地域の連携
ア 多自然型川づくり
イ 清流ルネッサンス21
ウ 自然再生事業
3 河川整備の検討体制
4 河川環境を取り巻く課題
(1)河川管理上の問題
(2)河川環境上の課題
第4節環境政策と水循環
1 環境政策の基本的な仕組み
(1)環境基準
(2)常時監視
(3)排水規制等
2 水域環境の現状
(1)公共用水域
(2)地下水
(3)水域環境のこれまでの評価
3 今後の課題としての面源負荷
(1)面源とは
(2)硝酸性窒素等の汚染対策の事例
4 新たな施策に向けて環境基本計画における水循環への視点
(1)政府の環境基本計画
(2)道の環境基本計画
(3)評価と課題
5 新しい水環境政策の必要性
第5節まとめ
1 水循環に対する社会認識の変化
2 産業活動は水循環にどのように影響するのか
(1)物理環境への影響
(2)生態系への影響波及
3 北海道の事例から
4 水循環再生の必要性
第2章水循環の再生・創出に向けた取組事例と仕組み
第1節流域単位での環境保全や水循環の再生取組事例
1 矢作川における取組事例
(1)矢作川の概要
(2)矢作川の環境保全の取組
ア 矢作川沿岸水質保全対策協議会の取組
(ア)矢水協の取組の変遷
(イ)矢作川方式
イ 矢作川漁協の取組
ウ 矢作川研究所の取組
(3)矢作川の取組の特徴と課題
2 琵琶湖における取組事例
(1)琵琶湖の概要
(2)健全な水循環をさぐる(新旭町の場合)
ア ヨシ群落の保全計画(2004年6月〜)
イ 針江地区の川端(江戸時代〜)
(3)マザーレイク21計画
(4)河川流域単位での取組(流域協議会)
(5)琵琶湖流域ネットワーク委員会
(6)水辺エコトーンマスタープラン
(7)その他の注目すべき施策と条例
ア 循環型農業
(ア)魚のゆりかご水田プロジェクト(2003年〜)
(イ)びわこ流域田園水循環推進事業(2004年〜)
(ウ)滋賀県環境こだわり農業推進条例(2003年施行)
(エ)みずすまし構想(1996年〜)
イ 琵琶湖森林づくり条例(2004年施行)
ウ 滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例(2003年施行)
(8)滋賀県琵琶湖環境保全対策の課題
(9)民間団体との「協働」は
(10)北海道における課題
ア 健全な水循環の理念
イ 流域ネットワークのあり方
3 四万十川における取組事例
(1)四万十川の概要
(2)四万十川ブーム
(3)四万十川保全の仕組みづくり
(4)清流四万十川総合プラン21
(5)高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例
ア 基本原則
イ 重点地域の指定
ウ 清流基準
エ 野生動植物の保全
オ 生活文化財産の保全
カ 環境配慮指針
キ 目標指標
ク 流域振興ビジョン
ケ 四万十流域保全振興委員会
(6)四万十川流域振興室の役割
(7)四万十川財団の取組
ア 四万十ブランド認証制度
イ 四万十リバーマスター育成事業
ウ 水質調査
エ 観光メニューの開発
(8)四万十圏学会
(9)四万十川の川づくりや水質改善
(10)地域の取組(NPO法人四万十川流域住民ネットワーク)
(11)人材の育成と民間的運営組織の必要性
4 鶴見川における取組事例
(1)鶴見川流域水マスタープラン
ア 鶴見川の特徴
イ 総合治水対策から水マスタープランの策定へ
ウ 水マス策定に至る経緯と特徴
エ 鶴見川流域水マスタープランの内容
オ 特定都市河川浸水被害対策法の適用
(2)NPO鶴見川流域ネットワーキング
ア 鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)の概要
イ TRネットの経緯と現在の主要な活動内容
ウ 行政との関係
エ 水マスへの関与
(3)鶴見川の取組みにかかる評価と問題点
5 桂川・相模川における取組事例
(1)桂川・相模川の特徴
(2)取組の経緯
(3)アジェンダ策定までの経緯
(4)「アジェンダ21桂川・相模川」の概要
(5)桂川・相模川流域協議会の構成と主な活動
(6)取組の特徴
(7)今後の課題
6 興津川における取組事例
(1)取組の概要
(2)興津川の特徴
(3)取組の経緯
(4)条例、指針による規制の内容と効果、課題
(5)住民の活動について
(6)興津川の取組の北海道での適応性
7 サロマ湖における取組事例
(1)取組の概要
(2)サロマ湖と漁業の概況
(3)サロマ湖の水質環境等
ア 水質環境等
イ サロマ湖の環境保全対策の必要性と目的
(4)水循環保全の推進体制と取組の概要
ア サロマ湖養殖漁業協同組合
(ア)設立目的
(イ)事業内容
(ウ)これまでの取組の概要
イ サロマ湖環境保全対策協議会
(ア)設立目的
(イ)協議事項
(ウ)構成員
(エ)取組の概要
ウ サロマ湖環境保全をサポートする委員会
(ア)目的
(イ)構成員
(ウ)事務局
(エ)取組の概要
(5)関係機関の協力
(6)自然再生推進法の適用について
(7)今後想定される環境保全対策と課題
(8)今後の取組に当たって
8 千歳川における取組事例
(1)千歳川の概要
(2)千歳川の洪水対策
(3)千歳川流域連携懇談会
ア 千歳川サイクルネットワーク構想
イ 千歳川舟運構想
ウ 防災計画
(4)財団法人石狩川振興財団の活動
(5)千歳川流域における連携の取組
第2節全国の事例の共通点と課題
1 環境保全の取組
2 流域ネットワークと流域のマネジメント
(1)流域ネットワーク
(2)流域のマネジメント
第3章水循環の再生に向けて
第1節基本理念北海道らしい水循環の再生
1 流域圏に基づく新たな水循環システムの構築
2 生物多様性の保全と修復を目指す
(1)試行錯誤でベストな施策
(2)「目指すべき生物多様性」とは?
(3)目標は各流域オーダーメイドで
3 環境保全と一次産業の振興
(1)生物多様性と一次産業は対立しない
(2)3つのキーワード
(3)「科学的な評価軸」が不可欠
(4)異なる評価軸をどう組み合わせるか
4 水循環の再生による地域振興の実現
(1)地球の能力(自然)が追いつかない
(2)比較優位な自然を活かす
(3)農業農村の機能を生かす
(4)流域圏構想(広域連合構想)が技術革新を促し、地域振興を具体化する
第2節取組の基本方針
1 流域ネットワークの構築
(1)流域ネットワークとは何か
(2)流域ネットワークがなぜ必要なのか
(3)流域ネットワークの活性化を図る
2 住民参加型政策形成システムの導入
3 情報の公開と共有化
4 推進体制の整備
(1)道における推進体制の構築
(2)関係機関の連携
(3)流域ネットワークの支援
5 マスタープランの作成
(1)マスタープランの意義
ア 流域の総合力を発揮する
イ 諸計画の整合を図る
ウ 長期にわたる改善の取組を保証する
(2)多様な考えを統合するマスタープラン
第4章流域ネットワークの構築
第1節流域ネットワークの構築
1 ネットワークを結びつけるもの
2 北海道における流域ネットワークの構築
第2節ネットワーク内の連携した取組
1 一次産業間の連携
(1)環境保全面の連携
(2)産業振興面の連携
2 地域住民の連携
(1)成長する市民ネットワーク
(2)多様な相手とのネットワーク
(3)行政機関とのつながり
(4)住民の連携が水循環再生に果たす役割
ア バックボーンの共有
イ ボランティアが「やりがい」を感じる工夫
ウ ネットワーク参加者の地域振興貢献
3 環境教育の連携
(1)各省庁の連携
(2)市民団体間の交流
(3)今後の取組
第3節ネットワークに対する支援
1 支援窓口の設置
(1)情報ポータルとしての機能
(2)ネットワーク結節点としての機能
(3)部局間横断交流の機能
2 情報開示と提供
(1)「住民意見の反映」を定めた河川法
(2)市町村の役割と情報提供について
(3)ネットワークのための情報提供
ア 合意形成への情報提供
イ 川の存在価値からネットワークを築く
ウ 地方分権社会をチャンスに
3 環境教育の支援体制と地域間交流の推進
(1)支援体制
(2)環境教育の地域間交流の推進
(3)今後の取組
4 一次産業の連携と環境ビジネスの推進
(1)地域資源の活用
(2)トンボが飛び交う農村環境の活用
(3)水産資源のレクリェーションへの活用
(4)森林資源を活用した観光の可能性
(5)北海道型農林漁業連携ビジネスの提案
(6)新たな運営組織(アクション・グループ)の必要性
ア LEADER事業に見る地域振興に向けた資源の活用と運営組織づくり
@リーダー事業とは
Aリーダー事業が行われるようになった経緯
Bリーダー事業のコンセプト
Cリーダー事業の推進母体LAG(ローカル・アクション・グループ)の役割
イ 流域マネジメントを担う運営組織の提案
5 行政自身の取組と新たな支援制度
(1)ネットワークの形成支援
(2)形成されたネットワークの育成支援
(3)民間への新たな支援制度
第5章流域マネジメントの推進
1 行政と民間の役割分担
2 行政組織の縦割り解消と連携
(1)縦割り解消の必要性
(2)道行政の縦割り解消
ア 縦割りの4つの壁と弊害
イ 縦割り解消に向けた具体的な検討
ウ 流域局の設置
(3)流域マネジメントにおける縦割りの解消
ア 農業農村整備の縦割りの解消
イ 森林管理の縦割り解消
ウ 河川管理の縦割の解消
エ 市町村の連携について
オ 国、道、市町村の縦割り解消と連携
3 流域マネジメントと住民参加の仕組み
(1)マスタープランと住民参加の仕組みづくり
ア マスタープランの作成
イ 住民参加の仕組みづくり
ウ パブリック・インボルブメント(PI)とファシリテーターの活用
(2)流域マネジメントと住民の段階的参加
4 流域コーディネーター制度の創設
(1)流域コーディネーターの重要性
(2)ノンポイントソース対策と流域コーディネーターの役割
(3)地域振興とコーディネーターの役割
(4)流域コーディネーターの仕事内容と能力
(5)流域コーディネーター制度を導入するための課題と問題点
5 GISを活用した流域の管理
(1)GISとは
(2)地域環境情報の共有
(3)自然再生事業の中でのGISの活用
(4)流域データベースの構築
(5)流域管理モデルと合意形成
第6章健全な水循環と新たな環境政策
第1節条例による健全な水循環の保全・流域マネジメント
1 現行法制度の問題点と条例の必要性
(1)河川法(昭和39年7月10日法律第176号)
(2)特定都市河川浸水被害対策法(平成15年6月11日法律第77号)
(3)水道法(昭和32年6月15日法律第177号)
(4)水質汚濁防止法(昭和45年12月25日法律第138号)
(5)森林法(昭和26年6月26日法律第249号)
(6)家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(平成11年7月28日法律第112号)
(7)新たな制度設計に向けて
2 分権改革と条例制定
3 条例の事例
(1)東北3県(青森県・秋田県・岩手県)ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例(平成13年12月21日青森県条例第71号、平成15年3月11日秋田県条例第24号、平成15年10月9日岩手県条例第64号)
(2)高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する条例(平成13年3月27日高知県条例第4号)
(3)ふるさと宮城の水循環保全条例(平成16年6月22日宮城県条例第42号)
(4)静岡県興津川の保全に関する条例(平成15年4月1日静岡市条例第185号)
(5)水道水原保護条例の事例
(6)その他
4 条例における政策手法
第2節新たな環境政策への視点
第3節条例案骨子
「北海道の水循環の再生・創出に関する条例(仮称)」案骨子例
第1 条例制定の趣旨
第2 名称
第3 目的
第4 定義
第5 基本理念
第6 責務及び役割等
第7 基本的な施策
第8 既存の計画等との調整
第9 情報提供、環境学習の推進
第10 民間団体等の自発的な活動の促進
第11 財政上の措置
第12 市町村、国との連携
第13 施行時期
第7章提言
健全な水循環の再生・創出に向けた流域マネジメントの推進
1 ネットワークづくり
(1)概要
(2)必要性
(3)枠組み
2 縦割りの弊害解消、流域局の設置
(1)概要
(2)必要性
(3)枠組み
3 条例化、マスタープランの作成と住民合意の仕組み
(1)概要
(2)必要性
(3)枠組み
4 一次産業の振興、環境と産業の調和
(1)概要
(2)必要性
(3)枠組み
参考資料
1 マザーレイク計画による琵琶湖の総合保全
2 地域における自然再生事業の進め方
1 自然再生協議会の組織化
2 自然再生全体構想の作成
3 自然再生事業実施計画の作成
3 マスタープランの事例
鶴見川流域水マスタープラン
4 条例の事例
○青森県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例(平成13年12月21日青森県条例第71号)
○高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例(平成13年3月27日条例第4号)
○ふるさと宮城の水循環保全条例(平成16年6月22日宮城県条例第42号)
○静岡市興津川の保全に関する条例(平成15年4月1日条例第185号)⇒静岡市清流条例
5 参考文献
6 参考ホームページ
参考
○ アカデミー政策研究の概要
○ 研究チームの構成メンバー
○ 執筆者一覧
○ 研究討議の経過