環境省地球環境局地球温暖化対策課・経済産業省産業技術環境局環境経済室(2009):地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による平成19(2007)年度温室効果ガス排出量の集計結果.203p.


概 要

○ 地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」は、温室効果ガスを相当程度多く排出する者(特定排出者)に、温室効果ガスの排出量を算定し国に報告することを義務付け、国が報告された情報を集計・公表する制度です。本制度は、温室効果ガスの排出者自らが排出量を算定することにより、自らの排出実態を認識し、自主的取組のための基盤を確立するとともに、排出量の情報を可視化することにより、国民・事業者全般の自主的取組を促進し、その気運を高めることを目指したものです。

○ 今般、制度開始後2 回目となる平成19(2007)年度の温室効果ガス排出量について、特定排出者から報告のあった排出量を事業者別、業種別及び都道府県別に集計し、取りまとめました(なお、集計されたデータは、本制度の報告対象となる排出量を合計したものであって、当該事業者、当該業種及び当該都道府県全体の排出量ではない点について留意が必要です)。

○ 報告を行った事業所(事業者)数及び報告された排出量の合計は、下記の通りです([]内は平成18(2006)年度の温室効果ガス排出量集計結果)。
【特定事業所排出者(事業所単位の報告を行う特定排出者)】
 ・報告事業所(者)数:14,841 事業所(7,813 事業者)[14,227 事業所(7,505 事業者)]
 ・報告排出量の合計 :6 億1,430 万tCO2[6 億635 万tCO2]
【特定輸送排出者(輸送部門の排出量報告を行う特定排出者)】
 ・報告事業者数 :1,447 事業者[1,439 事業者]
 ・報告排出量の合計 :3,611 万tCO2[3,608 万tCO2]
【特定排出者全体】
 ・報告排出量の合計 :6 億5,041 万tCO2[6 億4,243 万tCO2]

○ 個別事業所ごとの排出量データ等は、(1)すべての事業所からの報告については環境省又は経済産業省において、また、(2)各省庁所管業種からの報告については当該省庁において、4 月3 日(金)15 時から開示請求を受け付けます。

○ 集計結果及び開示請求の方法については、下記に掲載しています。
http://www.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/

目 次

1.制度の概要........................................................................................................................ 1
2.平成19 年度排出量の報告状況.......................................................................................... 5
(1)温室効果ガスの種類別の報告状況.............................................................................. 5
(2)業種別の報告状況....................................................................................................... 6
(3)都道府県別の報告状況【特定事業所排出者のみ】................................................. 11
(4)関連情報の提供状況............................................................................................... 13
(5)権利利益の保護に係る請求の認定状況.................................................................. 13
3.平成19 年度排出量の集計結果...................................................................................... 14
(1)温室効果ガスの種類別排出量................................................................................. 14
(2)業種別の排出量...................................................................................................... 16
  @ 特定事業所排出者........................................................................................... 16
  A 特定輸送排出者............................................................................................... 25
(3)都道府県別排出量【特定事業所排出者のみ】........................................................ 29
(4)事業者別排出量(別紙に記載)
4.前年度までの排出量との比較.................................................................................... 34

別紙.................................................................................................................................. 39
○事業者別排出量.......................................................................................................... 40
 @−1 特定事業所排出者.................................................................................... 40
 @−2 特定事業所排出者(エネルギー起源CO2(発電所等配分前)) ...........118
 A−1 特定貨物輸送事業者..............................................................................121
 A−2 特定旅客輸送事業者..............................................................................129
 A−3 特定航空輸送事業者..............................................................................132
 A−4 特定荷主................................................................................................133
○排出量関連情報【温対法様式第2】.......................................................................148


1.制度の概要

(1)背景
 平成9年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)での京都議定書の採択を受け、我が国における地球温暖化対策の第一歩として、国・地方公共団体・事業者・国民が一体となって地球温暖化対策に取り組むための枠組みとして、地球温暖化対策の推進に関する法律(以下、「温対法」といいます。)が平成10 年に制定・公布されました。
 京都議定書が発効した平成17 年には温対法が改正され、温室効果ガスを相当程度多く排出する者に温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することを義務付け、国が報告された情報を集計・公表する「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」が導入されました。これは、温室効果ガスの排出者自らが排出量を算定することにより、自らの排出実態を認識し、自主的取組のための基盤を確立するとともに、排出量の情報を可視化することにより、国民・事業者全般の自主的取組を促進し、その気運を高めることを目指したものです。

(2)制度の概要
(イラスト略)
 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度は、前述のとおり平成17 年に改正された温対法に基づき平成18 年4 月から施行された制度です。
 この制度の概要は、以下のとおりです。
@ 事業活動に伴い相当程度多い温室効果ガスの排出をする者(特定排出者。国又は地方公共団体を含む。)は、毎年度、事業所ごと(輸送事業者については事業者ごと)に、温室効果ガスの排出量等の報告事項を事業所管大臣に報告しなければならない。
A 事業所管大臣は、報告事項を環境大臣及び経済産業大臣に通知するとともに、報告された排出量を事業者別、業種別及び都道府県別に集計し、その結果を環境大臣及び経済産業大臣に通知する。
B 環境大臣及び経済産業大臣は、事業所管大臣から通知された報告事項を電子ファイルに記録するとともに、事業所管大臣から通知された排出量の集計結果を集計し、公表する。
C 国民は、Bの公表があった日以降、ファイルに記録された事業所ごとの報告事項の開示を環境大臣、経済産業大臣及び事業所管大臣に請求することができる。
D 特定排出者は、排出量を公表することにより競争上の利益が害されるおそれがあると思料する場合には、理由を添えて事業所管大臣に対し、当該排出量を非開示とするよう権利利益の保護に係る請求を行うことができる。当該事業所管大臣は、請求に理由があると認められるときは、特定排出者の権利利益が適切に保護されるよう、当該排出量と他のガスの排出量を合計した排出量等を、環境大臣及び経済産業大臣に通知する。
E 特定排出者は、公表され、又は開示される情報に対する理解の増進に資するため、排出量の報告に添えて、報告した排出量の増減の状況に関する情報その他の情報(以下、「関連情報」といいます。)を提供することができる。この情報は、環境大臣及び経済産業大臣が電子ファイルに記録し、事業者単位の関連情報については公表、事業所単位の関連情報については請求に応じて開示する。
F エネルギーの使用の合理化に関する法律(以下「省エネルギー法」という。)に基づく定期報告における二酸化炭素の排出量の報告は、エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素排出量についての温対法に基づく報告とみなす。

(3)報告の対象となる温室効果ガス及び特定排出者
 京都議定書に定められている6 種類の温室効果ガス(二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFC)、パーフルオロカーボン類(PFC)及び六ふっ化硫黄(SF6))が対象となり、相当程度多い温室効果ガスを排出する事業者は、事業内容にかかわらず本制度による報告の対象となります。具体的には、表1−1に示す要件に合致する者が対象となります。
 なお、特定排出者のうち、事業所ごとの温室効果ガス排出量の報告を行う事業者を「特定事業所排出者」といい、対象となる事業所ごとかつ温室効果ガスごとに排出量を報告します。また、省エネルギー法で特定貨物輸送事業者、特定旅客輸送事業者、特定航空輸送事業者又は特定荷主に指定されている事業者を「特定輸送排出者」といい、事業者ごとに輸送部門のエネルギー起源CO2 排出量を報告します。
表1−1 本制度で報告の対象となる特定排出者
【特定事業所排出者】

温室効果ガスの種類

対象者(特定排出者)
エネルギー起源二酸化炭素(エネルギー起源CO2)
[燃料の燃焼、他人から供給された電気又は熱の使用に伴い排出されるCO2]
省エネルギー法で次に指定される工場・事業場の設置者
・第一種エネルギー管理指定工場 注1
・第二種エネルギー管理指定工場 注2
【事業所ごとに報告】
非エネルギー起源CO2[上記以外のCO2]
[原油生産、セメント製造、廃棄物焼却等に伴い排出されるCO2]
メタン(CH4)
 [農業、燃料燃焼、廃棄物埋立等]
一酸化二窒素(N2O)
 [農業、燃料燃焼、廃棄物焼却等]
ハイドロフルオロカーボン類(HFC)
 [HCFC-22 製造、冷媒HFC の封入等]
パーフルオロカーボン類(PFC)
 [半導体製造、洗浄剤・溶剤等]
六ふっ化硫黄(SF6)
 [電気絶縁ガス、半導体製造、金属生産等]
次の@及びAの要件をみたす者
@算定の対象となる事業活動が行われており、温室効果ガスの種類ごとに、排出量がCO2 換算で3,000t 以上となる事業所の設置者
A事業者全体で常時使用する従業員の数が21 人以上
(対象とならない事業所や対象とならない温室効果ガスについては報告する必要はない。)
【事業所ごとに報告】
【特定輸送排出者】

温室効果ガスの種類

対象者(特定排出者)
エネルギー起源二酸化炭素(エネルギー起源CO2)
[燃料の燃焼、他人から供給された電気又は熱の使用に伴い排出されるCO2]
省エネルギー法で次に指定される事業者
・特定貨物輸送事業者 注3
・特定旅客輸送事業者 注4
・特定航空輸送事業者 注5
・特定荷主 注6
【事業者ごとに報告】
注1:エネルギー使用量(原油換算)が年間3,000kl 以上の工場・事業場
注2:エネルギー使用量(原油換算)が年間1,500kl 以上の工場・事業場
注3:貨物輸送用の鉄道300 両以上、自動車(トラック等)200 台以上、船舶(総トン数)20,000トン以上のいずれかの輸送能力を有する事業者
注4:旅客輸送用の鉄道300 両以上、バス200 台以上、タクシー350 台以上、船舶(総トン数)20,000トン以上のいずれかの輸送能力を有する事業者
注5:航空機の総最大離陸重量が9,000t 以上の輸送能力を有する事業者
注6:自らの事業活動に伴って委託あるいは自ら輸送している貨物の輸送量が年間3,000 万トンキロ以上の事業者


(4)算定の対象となる期間
 原則として、報告する年度の前年度1 年間です。ただし、HFC、PFC 及びSF6 の排出量については、前年1 年間です。

(5)特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定方法
 対象となる排出活動について、温室効果ガスの種類ごとに政省令で定める算定方法により得られる量を合算する方法によります。ただし、排出量の報告に当たっては、排出量の実測等により適切と認められるものを求めることができるときは、政省令で定める算定方法・係数と異なる算定方法・係数を用いることができます。

(6)報告期限及び報告先
 特定排出者は毎年度6 月末日までに排出量を報告します。また、排出量の報告先は当該特定排出者(事業所)が行う事業を所管する大臣(地方支分部局等)に対して行います。

(7)報告等の内容
 特定排出者は以下の情報を報告します。
@ 当該特定排出者(事業所等)に関する情報(名称、所在地、事業内容等)
A 温室効果ガスの種類ごとの排出量に関する情報

(8)関連情報
 上記(7)の内容に加えて特定排出者が希望する場合には、次の関連情報も併せて提供することができます。関連情報は、特定排出者全体に係るもの(事業者単位)及び事業所のみに係るもの(事業所単位)のいずれか又は両方を提出することができます。
@ 報告された排出量の増減の状況に関する情報
 例:増減の状況、理由、増減の状況についての排出者自身の評価 等
A 温室効果ガスの排出原単位の増減の状況に関する情報
 例:把握している排出量に係る排出原単位の増減の状況 等
B 温室効果ガスの排出量の削減に関し実施した措置に関する情報
 例:事業所又は事業者単位での省エネルギー対策その他の取組
   製造した製品等による他の者の排出削減に寄与する取組
   事業所横断的な取組 等
C 温室効果ガスの排出量の算定方法等に関する情報
 例:算定方法の詳細 等
D その他の情報
 例:京都メカニズムクレジットの取得 等

(9)公表・開示
 環境大臣・経済産業大臣は、事業所管大臣から通知された集計の結果を、@事業者別、A業種別及びB都道府県別に集計し、その結果を特定排出者全体に係る関連情報と併せて公表します。また、環境大臣・経済産業大臣及び事業所管大臣は、@特定排出者(事業所)に関する情報、A当該事業所の温室効果ガスの種類ごとの排出量及びB当該事業所に係る関連情報を、請求に応じて開示します。


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