目次
主要執筆者およびレビュー協力者
まえがき
1.エネルギーおよび環境に係る超長期的な認識
1.1 人類・社会の発達と有限の地球
1.2 地球の資源および環境に係る基本的な認識
1.2.1 資源問題
(1)増大する石油消費
(2)資源枯渇顕在化の可能性
(3)高く乏しい石油時代の到来
1.2.2 地球環境問題
(1)地球温暖化の進行
(2)今後の展開
1.3 超長期的な戦略策定にあたっての視点
1.3.1 超長期の視点
(1)タイム・フレーム20〜30年の現状趨勢シナリオ
(2)地球システムにおける時間規模は超長期
1.3.2 アジアの視点
(1)国際エネルギー機関等
(2)アジアの視点
(3)日本の視点
1.3.3 国益の視点
第1章参考文献
2.エネルギー分析
2.1 エネルギーの概念
2.2 エネルギーの価値
2.3 エネルギー利益率
2.4 ライフサイクル分析
2.5 結論
第2章参考文献
3.エネルギー基本戦略の構築
3.1 エネルギー・セキュリティに係る認識
3.1.1 エネルギーに係る安全保障
(1)わが国にとってのエネルギー安全保障の重要性
(2)わが国のエネルギー中東依存度
3.1.2 国際石油情勢の変遷と市場主義の流れ
(1)国際石油情勢の変遷
(2)市場主義の流れ
3.1.3 安全保障に係る方策
3.2 エネルギー・セキュリティ確保に向けた戦略
3.2.1 高効率化
3.2.2 自給率の向上
3.2.3 脱炭素
3.2.4 将来のエネルギー供給構造
3.3 エネルギー戦略実現に向けた課題
3.3.1 技術開発
3.3.2 国際的な展開
3.3.3 社会システムの開発
3.4 日本周辺の石油・天然ガス資源と大陸棚画定
3.4.1 石油・天然ガスの探査・開発技術
(1)探査技術
(a)3次元反射法地震探査
(b)物性解釈
(c)Virtual Reality技術
(2)開発技術
3.4.2 石油・ガスの発見が期待される地域
3.4.3 大陸棚画定
第3章参考文献
4.エネルギー情報基盤の確立に向けて
4.1 エネルギー情報基盤を必要とする背景
4.1.1 人類と有限の地球
4.1.2 北米、欧州、アジアの戦略的動向
4.1.3 日本のエネルギー事情の総括
4.1.4 エネルギーに関連した日本特有の課題
(1)科学とエネルギー
(2)農業とエネルギー
(3)森林とエネルギー
@森林の持つ(木質系)バイオマス・エネルギーとしての可能性
A温室効果ガスの吸収源としての森林利用
4.2 内外の類似シンクタンクの概要
4.2.1 国内
(1)概要
(2)日本のシンクタンクの歴史
4.2.2 海外(その1、アメリカ)
(1)アメリカにおけるシンクタンクの分類
(2)「政策型シンクタンク」
4.2.3 海外(その2、ヨーロッパ)
4.3 シンクタンクと「エネルギー情報基盤機構」
4.3.1 シンクタンクの新しい役割
@社会から評価を受ける人材を有していること
A戦術・戦略から予測へ、創造へ
B産業から社会へ、文化へ、人間へ
C実益から基礎へ
D政策提言へ
E国際的役割提言へ
4.3.2 「エネルギー情報基盤機構」の構想
(1)目的
(2)取扱うテーマ
@エネルギー資源の正確な質と量把握
Aエネルギーに関連した諸問題(エネルギー、食糧、資源、環境、領土他)に関する
最新情報の入手、分析、評価
Bエネルギー関連開発技術の現状と見通し
C実用化と社会への普及にとっての条件と時期
D超長期シナリオの検討
E石油/天然ガスの動向による生活・運輸・産業へのインパクト
F政治・経済・国際情勢の動向
G海外の情報源(複数)との密度の濃い情報網の確立
(3)資質(情報入手、分析、評価のレベル)とスタンス
@エネルギーに関連した諸問題(エネルギー、食糧、資源、環境、領土、人口、政情、
地域文化他)に関する確度の高い最新情報を入手、分析、評価可能なこと
A超長期シナリオの検討が可能なこと
B海外の情報源(複数)との密度の濃い情報網の確立
C上項に対応した対応技術の検討が、的確に可能であること
D政策と技術の総合的検討
Eその他、共通的課題・条件としては、
・所掌問題を全てカバーする能力を有すること。
・処理データの信頼性が高いこと。
・分析・評価能力が質的にも高いこと。
・戦略性を持った分析と提言ができること。
・公平、公正な立場であること(特定の政府部門、業界の意見を代弁することになら
ないようにすること)。
・高い情報発信能力をもっていること(高い英語力とともに海外への配慮ができること)。
等が挙げられる。
第4章参考文献
『あとがき
世界経済は、第2次世界大戦後ほぼ一貫した成長路線をたどってきたが(例、過去30年間年平均で約3%の成長)、今後ともその主役の変化がありながらも世界全体としての成長は持続されると予想されている。特に、アジア地域の成長は著しく、向こう30年間の成長率予想では、東アジアで約3.6%、とりわけ中国では約5%と見込まれている。その結果、エネルギー需要においても、現在(2000年ベース)から2030年に対し、世界全体では約66%、アジア(含む、日本、中国)では約2倍と増加し、特に中国のみの予想では、約2.2倍と著しい。因みにOECD諸国は、その間最も成長率の高い北米でさえ1.4倍と低成長である。一方、石油に関しては、現在(2002年ベース)から同じく2030年に対し、世界全体で約60%増加、アジアは実に約90%と増大する。一方、その間の石油の域外依存率は、北米が36%から55%、欧州は54%から86%、アジアは62%から83%へ増加することが予想されている。(IEA
World Energy Outlook 2004)
この石油の需要増加にともなう域外依存率の増加分は、中東、ロシア、中南米に期待され、とりわけ中東への依存度が大きくなることが予想されている。
しかし、今や中東を代表するサウジのガワール油田他、世界最大級の油田が、原油の自噴能力の低下から、大量の海水等を必要となってきたという事実が広く知られるようになってきた。これは、石油の生産がピークに達し需要とのバランスを欠くいわゆる「石油ピーク」の顕在化を意味するものといわれる。
昨今の原油価格の高騰とその高位安定化傾向は、現在の石油の需給バランスの欠如と若干の投機筋の思惑もあるといわれるが、これが何時まで続くかは予断が許さないものの、今や「安く豊富な石油」の供給を望めない時代になってきたといえよう。
特に、アジアは、人口規模、経済成長、石油域外依存度の増大などを勘案すると、米国、EUと対比して比較にならぬほどエネルギー確保に関しては厳しい状況下にある。
今般、当研究所は、(社)日本工学アカデミー・エネルギー基本戦略部会に協力してエネルギー戦略実案に資することを期待して検討を行なってきたが、主要な成果・指摘事項を列挙すると以下のとおりである。
さてエネルギーの重要性に関しては、国際科学会議(ICSU)で、吉川弘之氏(前日本学術会議会長)が同会長就任(1999年)を機に「ICSUの今後の最重要課題は、エネルギーである」と提唱されたが、それが契機となって2005年の北京総会に向けた同ICSU専門委員会の「試行的委員会」で、「エネルギー問題」の取り組み方が検討されている。
同「試行的委員会」の議長も努められた吉川氏の第1回委員会における挨拶概要を次に紹介する(2004年12月10日、科学新聞)。
「エネルギーは、人類が持続可能な社会を実現するための鍵である。しかしエネルギーに関する国際的に合意した基本戦略がない。それが原因で各国にもエネルギー戦略はないに等しい。したがって枯渇が予想される石油などの資源は奪い合いであり、合意どころか争いの原因となっている。これは、人類にとって危険な状況である。持続可能な地球の実現のために、将来のエネルギーについての世界的な共通認識と、それに基づく協調的な政策を人類全体として持つことが重要である。そのためには、資源の予測と科学者の合意に基づく助言が不可欠である。・・そしてここにICSUの意義がある。」
本報告書が、まさに現代の世界と日本においても最重要課題の1つのテーマである「エネルギー問題」を理解し、また種々の立場で戦略的に取り組む際の参考となることを期待したい。』
【第1章参考文献】
【第2章参考文献】
【第3章参考文献】
【第4章参考文献】