市川 真(2005):破竹の勢いのオイルサンド〜技術改新著しいin-situ採収法について〜石油・天然ガスレビュー39(6)、49-61.


1.はじめに

『オイルサンドは、長い間、次の世代の資源と見なされてきた。しかし、2002年12月23日のオイル・アンド・ガスジャーナル誌は、初めてカナダのオイルサンドからのビチューメンの鉱量を通常の原油の鉱量と同列に扱い、カナダの原油可採鉱量に加えた。また、カナダのオイルサンドからの原油は、2005年にはカナダ国内の通常の原油生産量を上回るといわれている。このように、オイルサンドは既に既存の資源としての地位を確立したといってよい。
 ところで、現在のブチューメンの生産は露天掘りによるものが主流である。2004年のカナダのオイルサンドからのビチューメン生産は日産約90万バレルだが、その3分の2は露天掘りで開発されている。
 しかしビチューメンの残存可採埋蔵量約1,700億バレルの8割は、数十メートルより深いオイルサンドから生産する必要がある。そこからの可採埋蔵量拡大の立役者となりつつあるのが、下に述べるin-situ採収法(地下採収法)の一つ、SAGD(Steam Assisted Gravity Drainage)法と呼ばれる採収法である。
 SAGD法については、いろいろなところで書かれているが、本稿ではSAGD法が現れるまでの技術や、ポストSAGD法として将来期待される技術と比較しながら、少し詳しくその特徴を明らかにしてみたい。』

2.オイルサンド開発
3.in-situ法
4.プロジェクト・オイルサンド
5.火攻法COFCAW(Combination of Forward Combustion and Water Flooding)
6.CSS(Cyclic Steam Stimulation)法
7.スチームドライブ(Steam Drive)
8.電気予熱法
9.SAGD(Steam Assisted Gravity Drainage)法の発見
10.SAGD法の検証
11.SAGD法の実際
 (1) SAGD法のプロセスを立ち上げるとき
 (2) オイルサンド層中に頁岩があるとき
12.SAGD法の課題とVAPEX法
 (1) エネルギー消費、天然ガス依存
 (2) CO2排出
 (3) 採水・排水
 (4) 回収の限界
 (5) 運搬に希釈剤が必要
 (6) VAPEX法の課題と現状
13.SAGD法のコスト
14.SAGD法、VAPEX法の次の技術
 (1) 組み合わせ法
   ■SAP(Solvent Aided Process)
   ■SAVEX法(Combined Steam and Vapor Extraction Process)
   ■SAGP法(Steam and Gas Push)
 (2) 新技術
   ■THAI(Toe-to-Heel Air Injection)
   ■Nexen/OPTI Long Lake Project
   ■ACR(Advanced CANDU Reactor)
15.終わりに
参考文献


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