(財)新エネルギー財団 新エネルギー産業会議(2008):太陽エネルギーの普及促進に関する提言
 71p。


目 次

1.緒 言 P1
2.太陽エネルギーの普及促進に関する提言 1〜4 P2
3.提言の趣旨説明
 3.1 提言1:グリーン電力活用による具体的導入促進策 P5
 3.2 提言2:普及加速分野に対する具体的導入促進策 P11
 3.3 提言3:新技術分野に対する具体的導入促進策 P20
 3.4 提言4:情報発信・啓発活動推進 P30
4.太陽光発電システムの動向 P35
5.まとめ(日本への期待) P54

新エネルギー産業会議 評議員名簿 P61
新エネルギー産業会議 太陽エネルギー委員会・太陽光発電分科会 委員名簿 P65


5.まとめ(日本への期待)

 世界での太陽光発電の市場拡大は、経済性だけではなく、各国の政策的な導入誘導策や、政治的な意志をもって進んでいる。また、世界的な動きの中で、海外各国は、太陽光発電産業を将来の環境事業として位置付け、各国の産業政策として太陽光発電産業を誘致する動きも活発化している。これを言い換えれば、設置者が儲かる仕組み(制度設計)を作って市場を拡大し、投資資金と新規参入者・新規技術を呼び込むことで、各国の環境戦略ともうまくマッチし成長してきた姿がそこには見える。
 日本の太陽電池メーカーは、シリコン原料問題が2005年頃から顕在化して以降、シリコン原料の長期契約でのコストUPを押さえるべく、結晶系での使用量削減のための技術開発を行ない、シリコン削減、コスト低減、効率向上に向けて熾烈な開発を行っている。2007年には、薄膜系太陽電池メーカーの生産設備の増強や、新たな、生産設備として、フィルム型薄膜やCISなどの新生産工場がスタートしており、2010年には、新たな1,000kW規模の薄膜系太陽電池生産も視野にいれた動きもある。しかしながら、海外の動きにくらべ、スピードと集中投資の面では慎重であり、今までの30年の研究と導入の経験が、海外の動きに追い越される危機があるといえる。
 我国は、過去に国の新エネルギー導入政策として固定買取方式ではなくRPS手法を選択した経緯があるが、太陽光発電の普及については、電力会社による余剰電力購入メニュー、国・自治体等からの継続的補助、太陽電池メーカーによるコストダウンなどにより、約40万戸の住宅に導入されている。2005年の国の補助支援がフェーズアウト以降、国内市場の陰りがあるものの、導入者の一番の根底にあるのは、ユーザー自身の環境貢献として普及していく姿勢である。
 これら日本のユーザーの市場に求める品質・性能・信頼の要求は、世界でもたぐいまれな高い水準にある。オール電化を始め、省エネ家電などの普及からみても、家庭でのエネルギー効率も世界に誇れる水準である。 又、太陽光発電導入者に設置される、使用表示モニターでは、ユーザーが自ら作った電気を大切にし省エネや環境負荷の少ないライフスタイルの工夫も促すことがわかっている。このような市場に、約40万戸もの、ユーザーから支持されている太陽光発電こそ日本が誇るべき姿でないかといえる。
 本、提言では日本国内での市場活性のために、あらたな施策やユーザーの環境価値を活かす仕組み等の提案をおこなったが、太陽電池産業による新しい技術開発や、ユーザーへの利用活用技術の提供と、それを受け入れるユーザーへの、国・自治体等の普及施策が一体となることで日本国内での新たなイノベーションの良循環市場が産み出されるのではないか。このような、日本の厳しい市場での利用技術や新技術をより市場で発展させることが日本モデルとしての行き方ではないか。
 徹底した、コストダウンへの挑戦と、新しい技術は、日本国内で具現化することが必要であり、そのためにも、技術開発と市場拡大のための普及施策は一体であり、ユーザーへの最先端市場として日本の市場を活性化させる方策が必要である。


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