久保田・松田(1995)による〔『廃棄物工学』(74-75p)から〕


3.3 廃プラスチックのリサイクルの方法
 廃プラスチックを回収して、何らかの形で有効利用する方法は、次の4種に分類することができる。
 ・マテリアルリサイクル
 ・ケミカルリサイクル
 ・フューエルリサイクル
 ・サーマルリサイクル
マテリアルリサイクル
 マテリアルリサイクルとは、廃プラスチックを回収して再生原料とし、新たなプラスチック製品に再利用することである。通常は、熱可塑性の廃プラスチックを対象とした再生利用の方法を指すが、熱硬化性の廃プラスチックを含む複合樹脂製品の廃棄物を粉砕して、増量材(フィラー)に用いる場合も含めてよいであろう。再生利用方法としては、元の樹脂の性状がそのまま保存され、再生に要するエネルギーも少なく、最も好ましいリサイクルの方法といえる。しかし、マテリアルリサイクルを実際に行うには、廃プラスチックを種類ごとに分別し、付着した汚れを除去することが必要になる。また通常は、新樹脂に比べて低品質の再生品しか得られないので、その用途にも大きな制限を受ける。そのため、再生コストを含めた経済性が大きな問題となる。
ケミカルリサイクル
 ケミカルリサイクルは、廃プラスチック原料を熱分解や加水分解して、元の製造原料であるモノマーに戻してやる方法である。しかし、この方法が適用できるプラスチックの種類は限られている。例えば、ポリスチレンやメチルメタアクリレート樹脂はそのまま熱分解により、また、ポリアミド・ウレタン樹脂・ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の重縮合ポリマーでは加水分解により、それぞれ原料モノマーに還元することができる。しかし、その実行には経済性に問題がある。一方、廃プラスチックとして量的に大きな比率を占める汎用ポリマーのポリエチレン・ポリプロピレン・ポリ塩化ビニルでは、このようなモノマー還元は行えない。アメリカのデュポン社は、PET樹脂のモノマー分解が、約4.5万t/年の規模ならば、石油からのモノマー製造と同じコストで可能になるという試算をしているが、廃PETを回収するコスト等は含まれていない試算結果と推定される。
フューエルリサイクルとサーマルリサイクル
 フューエルリサイクルとサーマルリサイクルは廃プラスチックをエネルギー利用するための方法で、両者をまとめてエネルギーリサイクルとよぶ場合もある。フューエルリサイクルには、廃プラスチックを油化あるいはガス化して液体あるいは気体燃料を得る方法と、廃プラスチックのみ、または他の可燃性廃棄物と混合して固体燃料を作る方法とがある。一方、サーマルリサイクルは、都市ゴミ焼却の場合と同様に、廃プラスチックを含む廃棄物を直接燃焼して、その熱をスチームあるいは電力として回収する方法である。』