佐々木(2001)による〔『資源論入門』(8-10p)から〕


1.2 資源の分類
 ここで資源(resource)という言葉について考えてみましょう。現代社会ではよく資源という言葉が使われますが、そもそも資源とは一体何でしょうか。
 広辞苑によれば、資源とは「生産活動のもとになる物質・水力・労働力などの総称」とあります。すなわち、物質、エネルギー、情報など、私たちが生産活動に利用できるものは、なんであれすべてが資源ということになります。したがって、資源とは現在の文明にとって、そして私たちの毎日の生活にとって必要不可欠な要素ともいえるのです。
 しかし、一口に資源といっても実際面でのその言葉の意味するところや用いられ方はさまざまの場合によって異なり、必ずしも明瞭なものではありません。
 私たちが資源という場合、ふつう天然資源(natural resource)をさすことが多いようです。自然界に存在する金属鉱物資源(metallic mineral resource)や石油や石炭などの化石燃料資源(fossil fuel resource)はその代表であり、いわゆる地下資源(underground resource)です。このほか水や森林なども重要な天然資源です。これらを狭義の資源ということにします。
 資源はその用途により、エネルギーを得るためのもの(エネルギー資源)と原料として用いるもの(原料資源)との二つに大別することができます。いま、天然資源を地下資源を中心に分類し、それぞれをさらに類別して、具体的な例をあげると、おおよそ図1.2のようになります。
図1.2 地下資源の分類
地下資源 エネルギー資源 化石燃料資源 石油、石炭、天然ガスなど
核燃料資源 ウラン鉱、トリウム鉱、海水など
自然エネルギー 太陽、水力、風力、潮汐、地熱エネルギーなど
原料資源 鉱物資源 金属鉱物資源 鉄鉱石、ボーキサイト、銅鉱石など
非金属鉱物資源 石灰石、粘土鉱物、リン鉱など
化石燃料資源 石油、石炭など
 このうち、自然エネルギーは、地熱エネルギーを除けば地下資源ではありませんが、近年、クリーンなエネルギー源として注目されており、ここに入れておきました。バイオマス資源はここには入れていません。なお、化石燃料資源の石油や石炭のようにエネルギー資源と原料資源の両方に該当する資源もあることがわかります。
 ところで、資源にはここであげた分類によるもの以外にもさまざまの種類があります。工業用水や灌漑用水などの水資源、あるいは、森林資源、バイオマス資源、生物資源、海洋資源、海洋生物資源、海洋鉱物資源、海底鉱物資源、水産資源、あるいは電力資源、原子力資源、食糧資源など多種多様です。
 中には生化学資源や遺伝子資源、環境資源、宇宙資源など、その中身がよくわからないものもあります。さらに、労働資源、人力資源、観光資源、情報資源などの言葉も耳にしますが、これらは広義の資源というべきでしょう。
 このように日常生活の中で資源という言葉は広く用いられていますが、その用いられている意味と内容を正しく理解する必要があります。
 資源を分類する方法として資源を生物起源の資源と無生物資源に分けるやり方もあります。化石燃料や現生の動物や植物(バイオマス)が前者であり、鉱物資源や水資源は後者です。
 あるいは、資源を再生可能な資源(再生的資源)と再生が不可能な資源(非再生的資源)*に分けることもできます。前者の例として、森林資源や水資源、自然エネルギーなどがあげられますが、鉱物資源や化石燃料資源のように、一度採掘して消費してしまえば、もはや再生が不可能なものは後者です。*再生的資源を非枯渇性資源、非再生的資源を枯渇性資源ということがある。
 もちろん、再生的資源であっても過度の採取や環境破壊により再生が困難になることもありますし、非再生的資源でも、金属のリサイクル(再資源化)のように、努力次第では、ある程度再生が可能になる場合もあります。』