須藤(1992)による〔『西暦2000年の資源地質』(119p)から〕


熱水性粘土質資源−その現状と将来−

須藤定久

Abstract

1.はじめに
 日本の工業原料鉱物(非金属鉱物)鉱業は、第二次世界大戦以後の日本経済の発展とともに拡大し、その生産高は1990年現在2,330億円以上に達し、全鉱業生産高の約半分を占めるに至っている(第1図:略)。
 日本で現在採掘・生産され、利用されている工業原料鉱物は25種類以上に及び、鉱種別の生産学の多い順に、石灰石・珪石・珪砂・ろう石・耐火粘土・ドロマイト・かんらん岩・ベントナイト・長石などとなっている。グループ別にみると、珪質資源(白珪石・軟珪石・炉材珪石、天然珪砂・人造珪砂)18.4%、長石質資源(長石・アプライト・風化花崗岩)1.6%、熱水性粘土質資源(ろう石・陶石・カオリン・セリサイト)5.6%、堆積性粘土質資源(耐火粘土:木節・蛙目・頁岩粘土など)3.1%、炭酸塩鉱物(石灰石・ドロマイト)65.5%、その他の鉱物資源(タルク・ベントナイト・酸性白土・ゼオライトなど)5.8%となっている。
 本邦では、“ろう石”・“陶石”・“カオリン”について、この順にそれぞれの利用の歴史、資源の概要、生産量の推移、用途の変遷について述べ、その将来について考えてみる。なお、文献は個々の鉱床等についてのものは省略し、基本的かつ最近のもののみを示す。』

2.ろう石
(1)利用の歴史
(2)資源の概要
(3)生産推移
(4)用途とその変遷
(5)ろう石の将来
(6)資源の確保のために
3.陶石
(1)利用の歴史
(2)資源の概要
(3)生産推移
(4)用途とその変遷
(5)資源の確保のために
4.カオリン
(1)資源の概要
(2)生産推移
(3)用途とその変遷
(4)資源の確保のために
5.おわりに
引用文献
参考文献