佐藤(1979)による〔『地球の資源/地表の開発』(101-102p)から〕


第3章 地球の進化と鉱床の形成
 地質学的にさかのぼれる30億年余の地球の歴史を通じて、火成活動や堆積作用の様式や、海水や大気の組成、生物の種類などは時とともに変化してきた(図3.1:略)。このような地球の進化に応じて、鉱床の型式や濃集される元素の種類も変化した。鉱床の形成は、マントル・地殻・地球表層部のいろいろな要素の組合せの結果としておこる現象であり、地球の進化の中における各時代の特殊性は鉱床の型のちがいとして敏感に反映されている。
 鉱床、とくに金属鉱床の分類は濃集されている金属種や母岩の種類、鉱床生成の温度・圧力条件などによってさまざまな分類の仕方がある(例えばLindgren、1933;Stanton、1972)。しかしこれまで公表されている分類は本章の目的には必ずしも適当でないので、ここでは金属鉱床に関しては資源的に重要な鉄・ニッケル・鉛・亜鉛・銅・ウランの鉱床を、鉱床形成の‘場’によって分類することにする。以下これらの金属鉱床と、石炭、石油鉱床の成因を順次解説するが、この分類による各タイプの鉱床の生成時代を図3.1(略)に、その資源的重要度を表3.1に示す。この分類に入らない鉱床については、できるだけ第4章でふれることにする。

表3.1 本章で扱う型式の金属鉱床が世界の推定埋蔵量+産出量に占める割合(%)

鉱床型式

Cu*
Pb* Zn* Fe Ni 1) U* 主要随伴金属 2)
火山性塊状硫化物鉱床 11 6 22       Au、Ag
コマチアイトに伴うNi鉱床         27    
層状貫入岩体中のNi-Cu-Cr鉱床 2       63   CrPt
縞状鉄鉱層 アルゴマ型       12     Au
スペリオル型       48     Au
礫岩型U-Au鉱床           36 Ag
大陸地殻のリフト帯中の層状Pb-Zn鉱床   19 12       Co
砂岩・頁岩型銅鉱床 27           Mo、Au
ミシシッピーバレー型、アルパイン型鉱床   33 32        
斑岩型および関連鉱床 53 7 8        
砂岩型ウラン鉱床           24  

93 65 74 60 90 60  
* 共産圏を除く
1) ラテライト型鉱床を除く
2) 太字は埋蔵量+産出量が50%以上、細字は数%以上のもの