辻本・草間(1992)による〔『放射線防護の基礎』(293-294p)から〕


資料2 放射線に関連した単位と定義
名称 記号 SI単位 定義
電子ボルト
(electron Volt)
eV J エネルギー単位
1電子ボルトは、真空中において1Vの電位差で加速されたときに得る運動エネルギー
1eV=1.602×10^(-19)J
線エネルギー附与
(linear energy transfer)
L J/m
(keV/μm)
放射線が物質の単位長さ当りの局所的な部分に与えるエネルギーの量
阻止能
(linear stopping power)
S J/m あるエネルギーの荷電粒子が物質を通過するとき、その単位厚さ当りに失う平均エネルギー。物質厚さとして経路の長さまたは面密度を用いることによって、それぞれ線阻止能または質量阻止能と呼ばれる。
放射能
(activity)
A Bq
(Ci)
単位時間当りの放射性崩壊の数
吸収線量
(absorbed dose)
D Gy
(rad)
放射線によって、物質に与えられた単位質量当りのエネルギー
照射線量
(exposure)
X C/kg
(R)
空気中の体積要素内で光子によって自由化されたすべての電子が、その空気中で完全に停止するまでに作り出した正負いずれか一方のイオンの総荷電量の絶対値を、体積要素内の空気の質量で除したもの。
(粒子)フルエンス
(particle fluence)
¢ m-2 粒子束密度を時間について積分したもの
カーマ
(kerma)
K Gy
(rad)
与えられた物質のある体積要素内で、非荷電電離粒子によって作り出されたすべての荷電粒子の初期の運動エネルギーの総和を、その体積要素の質量で除したもの
等価線量
(equivalent dose)
HT Sv
(rem)
放射線の組織・臓器に対する効果は放射線の種類とエネルギーに依存するので吸収線量に放射線荷重係数を乗じたもの。1990年ICRP勧告で定義された。
線量当量
(dose equivalent)
H Sv
(rem)
放射線の組織・臓器に対する効果は放射線の種類とエネルギーに依存するので吸収線量に線質係数など必要な係数を除したもの。
1977年ICRP勧告で定義されたが、1990年ICRP勧告では等価線量になった。
実効線量
(effective dose)
E Sv
(rem)
身体の各組織・臓器が受けた等価線量に各組織・臓器の感受性を表す組織荷重係数を乗じたもの。1990年ICRP勧告で定義された。
実効線量当量
(effective dose equivalent)
HE Sv
(rem)
身体の各組織・臓器が受けた線量当量に各組織・臓器の感受性を表す組織荷重係数を乗じて、全組織・臓器を合計したもの。
1977年ICRP勧告で定義されたが、1990年ICRP勧告では実効線量になった。
預託等価線量
(committed equivalent dose)
HT Sv
(rem)
放射線物質の摂取後、特定の組織・臓器がある期間にわたって受ける等価線量。期間は成人に対しては摂取してから50年、子供に対しては摂取してから70歳まで。
集団等価線量
(collective equivalent dose)
ST manSv
(manrem)
被ばくしたグループまたは集団において、構成員が受けた等価線量を構成員全員について合計したもの。
線量預託
(dose commitment)
H Sv
(rem)
長期にわたり被ばくするグループまたは集団において集団等価線量をグループまたは集団構成員の総数で除したもの。