草間(1990)による〔『放射能 見えない危険』(30-31p)から〕


さまざまな単位
放射線のことは、単位を知ればよくわかる

放射能の強さの単位

放射能とは、放射線を出す能力、または性質のことをいう。1秒間の原子の壊変の数で表す。

ベクレル
Becqurel

記号 Bq
1ベクレルは、1秒間に1つの放射性原子が壊変すること。原子の壊変と放射線の量は異なるものである。
例)「1kgあたり370ベクレル以上の放射能をもつ食品の輸入禁止」。1ベクレル=370億分の1キュリー
ウラン鉱石の放射線の発見者A.H.ベクレルにちなむ。
キュリー
curie

記号 Ci
ラジウム1gのもつ放射能の強さ。1キュリーは、370億ベクレルにあたる。初期にキュリー夫人にちなんでつくられた単位だが、使いにくい量であるために、ベクレル単位がつくられた。

照射線量

エックス線とガンマ線についてだけ用いる。物質が空気をどれだけ電離させるかに着目した量。現在はあまり使われていない。

クーロン毎キログラム C/kg 空気1kg中に1クーロンのイオン対をつくるガンマ線あるいはエックス線の量。1クーロン/kgは3880R
レントゲン
roentgen

記号 R
空気1kg中に2.58×10-4クーロンのイオン対をつくる放射線量。

吸収線量の単位

放射線によって物質にどれだけのエネルギーがあたえられたかを表す。

グレイ
Gray

記号 Gy
1グレイは、放射線が物体1kgについて1ジュール(0.239カロリー、1kgの水の温度を約0.000239度上げる)のエネルギーをあたえること。最近よく使われる単位。1グレイ=100ラド
ラド
rad
物体1kgに0.01ジュールのエネルギーをあたえること。上のグレイと同じ考え方で、1ラドは100分の1グレイ。

線量当量

放射線が人体にあたえる影響を表す量。放射線によって吸収線量あたりの影響度が異なる。人体に対する影響の程度を、エックス線、ガンマ線、ベータ線を1とした場合、陽子線、中性子線を20、アルファ線を20とし、これを吸収線量に掛けたもの。

シーベルト
Sievert

記号 Sv
エックス線、ガンマ線、ベータ線の場合は1シーベルトは1グレイである。1シーベルトは大きすぎるので、ミリシーベルトが使われる。1ミリシーベルトは1,000分の1シーベルト。
例)「一般公衆の年間被曝の上限値は1ミリシーベルト、放射線作業者の上限値は50ミリシーベルト(5レム)」
レム
rem
1レムは100分の1シーベルト、すなわち10ミリシーベルト
※それぞれ上段が「新単位」、下段が旧単位。法令が1989年に改正施行され、新しい単位が使われているので、旧単位はほとんど使われていない。