辻本(1992)による〔『放射線防護の基礎』(2p)から〕


(3) 放射能の発見
 1896年ベクレル(Bequerel)は、ウラニウムの化合物がX線と同様に目には見えないが、蛍光または燐光、写真作用および気体の電離作用を有する放射線を放出していることを発見した。このように物質が放射線を出す性質を放射能(radioactivity)という。そして、この放射線のことをベクレル線と名付けた。その後、ベクレル線はα線、β線、γ線の3種類であることがわかり、β線はベクレルによって電子であることが確認された。α線はラザフォード(Rutherford)によりヘリウムの原子核であることが示され、γ線はヴィラールによりその存在を確認されている。1898年キュリー夫妻(Curie)はウラニウムを含む鉱物の中よりポロニウム*とラジウムを発見した。1919年ラザフォードは人工的に放射性物質をつくった。その後、放射性物質の利用はX線と同様、理学、医学、工学の各分野に拡大していった。
*ポロニウムは、キュリー夫人の母国ポーランドにちなんで命名された。