原田(1973)による〔『鉱物概論第2版』(289-290p)から〕


『各種の鉱物はその形態、物理的性質あるいは化学組成によって分類することができる。従来鉱物の分類は主として化学分析の結果によって行われていた。ところがその化学組成だけでこれを統一的に表現し得ない場合があった。すなわち複雑な化学組成の鉱物は統一的に細かく分類することができなかった。後に鉱物の結晶構造を知り、これにより一義的の構造式が求めることができるようになって始めて鉱物の分類の可能性が強くなってきた。すなわちすべての鉱物は固態であり、結晶質であるので、その化学組成は結晶化学の範囲に含まれる。
 鉱物の形態は内部構造の表現されたものであり、その内部構造は鉱物を構成する原子(イオン)の相互関係が表わされたものである。これらはいずれも結晶化学が基礎となっているので、鉱物の新らしい分類法はこの結晶化学に基いてその化学組成により分類される。
 鉱物の分類を行うに際してまずその化学組成によりに分類し、それに続いてその内部構造にもとづくほか、結晶学的性質やその他の性質によって細かく分類する。
 その細分の順序は次の如くである。
   族(class)
     型(type)
       群(group)
         系(series)
           種(species)
             変種(vriety)
   構造の大勢を決する陰イオンの構造の類似しているものを集めてとする。硫化物では主として、イオウ、アンチモン、ヒ素などの配列によって示される構造にその類似性を求め、類似のものを集めてとする。
   型の中でさらに結晶学的性質(結晶系、晶族、軸率、単位胞の対称性、その大きさ、その中に含まれる原子の数等)、化学組成、物理的性質の類似のものを集めてとする。
   化学組成の変化するにしたがって性質が連続的に変化する鉱物をとする。
   系の中の個々の鉱物をという。
 変種  種は数個の変種よりなる。
 H.Strunzの鉱物分類に主として基いて鉱物を次の如く9族に分類する。
 T  元素鉱物
 U  硫化鉱物(セレン化鉱物、テルル化鉱物、アンチモン化鉱物、ソウエン化鉱物)
 V  ハロゲン化鉱物
 W  酸化鉱物および水酸化鉱物
 X  炭酸塩鉱物(硝酸塩鉱物、硼酸塩鉱物)
 Y  硫酸塩鉱物(クロム酸塩鉱物、タングステン酸塩鉱物、モリブデン酸塩鉱物、ウラン酸塩鉱物)
 Z  燐酸塩鉱物(バナジン酸塩鉱物、ヒ酸塩鉱物)
 [  珪酸塩鉱物
 \  有機鉱物
(略)』