『粘土(clay)は各方面で広く用いられている言葉であるので、色々の定義を与えることができ、一定していないが、2大別すれば、(1)粘性、可塑性などの性質をもった天然産の集合体を呼ぶ場合と(2)集合体の中の微粒子部分を呼ぶ場合とに分れる。(1)の定義として一般的なのは、適量の水と混合している時に可塑性を示す微細粒子の集合体、ということになろう。可塑性(塑性、plasticity)とは、力を加えて変形した形が、力を除いた後にも保たれる性質を意味している。主として粘土を窯業原料などとして利用する立場からの定義である。陶土、染土などの土に当たる。岩石が鉱物の集合体であることからいえば、粘土は一種の岩石名と見ることもできる。(2)は、土壌学、土質工学、堆積学等で用いられ、粘土は土や未固結堆積物中の粒子のもっとも細かい部分を意味している。この場合、その粒子と同じ沈降速度と密度とをもつ球状粒子の直径(等価球直径)で粒度を表す。一般に、粒径2μm(0.002mm)以下の粒子を粘土(あるいは粘土分、粘土フラクション)と呼ぶが、土質工学では5μm以下とすることが多く、堆積学では1/256mm(約4μm)以下としている。その他1μm、10μm、20μm等にとる場合もある。いずれの場合も、粘土はもっとも細かい粒子を意味し、ついで、シルト、砂、礫の順に大きくなる。粒径の分類法として、現在もっとも広く用いられている、国際土壌学会による分類では、
礫 | (gravel) | >2mm |
粗砂 | (coarse sand) | 2〜0.2mm |
細砂 | (fine sand) | 0.2〜0.02mm |
シルト | (silt) | 0.02〜0.002mm |
粘土 | (clay) | <0.002mm |