環境緊急対応地区特別気象センターについて
当庁は、環境緊急対応(Environmental Emergency Response: EER)地区特別気象センター(Regional
Specialized Meteorological Center: RSMC)として、原子力発電所の事故等発生時に、国際原子力機関(IAEA)の要請に応じて、大気中に放出された有害物質の拡散予測情報を提供しています。
■IAEAの要請により作成した放射性物質拡散のシミュレーション資料について
気象庁の作成する資料について
当庁は、IAEAからの要請に基づき、以下の3種類の資料を作成しています。
《資料を参照する上での注意事項》 |
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<参考>
IAEAが指定する放出に関する条件:
・対象とする放射性核種
・放射性物質の放出場所(緯度・経度・高度)
・放出の想定時間
・放出量
当庁は、同業務における計算の分解能を約100km四方の格子を一単位としています。
■EERの枠組みについて
環境緊急対応RSMC業務は、世界気象機関(WMO)の「全球データ処理・予報システムに関するマニュアル」に基づき実施する業務です。同マニュアルは、WMO条約第8条(d)に基づき、各国が行う気象データ処理・予報の技術的な標準について、WMO総会が定めるものです。
IAEAにおける原子力事故対策を支援するため、あらかじめ指定されたWMOの環境緊急対応RSMCが、その気象データ等を使って大気の流れの予測情報等を提供します。これは、チェルノブイリ原子力発電所事故(1986年4月26日)における対応を受けて提案されたもので、当庁は、平成9年(1997年)7月より同RSMC業務を開始しました。
IAEAまたはWMOメンバー国が必要と考えた場合に放出源に関する情報を示してRSMCに計算を要請し、各RSMCはそれに従って、あらかじめ決められた方法で大気中の放射性物質の動向を計算し、その結果を要請元に回答します。
IAEAの要請には、放射性物質の放出条件が仮定(72時間にわたって1ベクレルの放射性物質が放出されるなど)されており、当庁はそれに基づいて72時間分の拡散を予測しています。
<参考>
環境緊急対応RSMC:
原子力発電所の事故等発生時における放射性物質の拡散の予測資料等を作成するWMOの主要計算センター。アジア地区には、東京(日本)、北京(中国)、オブニンスク(ロシア)が登録されているほか、世界には、エクセター(英国)、トゥールーズ(仏)、ワシントン(米)、モントリオール(カナダ)、メルボルン(豪)があります。