緊急時モニタリングデータに基づく線量評価方法について(提言)  http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2011/genan019/siryo2.pdf
  原子力安全委員会による。2001年3月25日、4p。


第19回原子力安全委員会
資料 第2号

緊急時モニタリングデータに基づく線量評価方法について(提言)

平成23年3月2 5 日
原子力安全委員会

 各地域で実施されている環境放射線モニタリングの結果から、環境試料中に有意な放射性物質、空間線量率の上昇の検出がなされており、原子力安全委員会はそれらに対する線量評価について助言要請に対応してきたところである。
 これまでは、従来の例に倣い、測定した最大値条件が1年間継続するとし、また、直接摂取することがない環境試料も摂取すると仮定して線量を評価する方法がとられてきた。線量の評価は、過小評価となることは避けなればらいが、過大評価となることも避ける必要がある。
 このため、モニタリング結果の最大値だけではなく、時間とともに変化するモニタリング結果を適切に用いることにより、できるだけ現実的な評価を行うことが望まれる。原子力安全委員会としては、緊急時モニタリングデータに基づく線量評価方法について、以下のとおり提言します。

1. 基本的な考え方
○ 本資料に示す考え方により推定した線量は、防護対策指標との比較に直接用いるものではない。
○ 線量の推定は原則としてモニタリングによる 。
○線量等の推定には、できる限り現実的な条件で、評価する。
○線量評価は、人が直接摂取する飲食物を対象とするモニタリング項目に限定する 。
○河川水、雑草等直接人が摂取しない項目については、今後、飲食物への移行を評価するため、定点の経時変化指標としての継続的モニタリングの実施を助言する。

2. 直接摂取、被ばく等の指標となるモニタリング項目測定値が得られている場合
 対象となるモニタリング項目には、空間線量率、飲料水・葉菜・牛乳・空気中放射性物質濃度が、含まれる。
 モニタリング結果が、介入等の行動に結びつく可能性のある値であった場合には、関連モニタリングの強化により正確なデーが得られ必要であ は、関連モニタリングの強化により正確なデーが得られ必要であ は、関連モニタリングの強化により、より正確なデータが得られ、必要であれば、何らかの対策が採られることになることから、1年間その条件が続くとする評価は、現実的でない。

 2-1 空間線量率
 空間線量率は、 1週間程度の期間で測定値が変化することが考えられるので、とりあえず測定値の影響評価は1週間程度とする。

@ 空間線量率測定地点付近に人家があり、居住・滞在する複数人実在する場合  
 ○ 8時間程度の屋外滞在、16時間程度の屋内滞在を想定し、屋内滞在で屋外の数分の一(例えば1/4程度)の低減係数(fc)を考慮した線量を算定する。
  R(実測空間線量率)×(8h/d+fc×16h/d)×7d

A 空間線量率測定地点付近に人家がなく、居住・滞在する人がほとんどいない場合
 ○ 滞在時間等は@の条件とし、空間線量率は 、一地点だけでなく、近隣の測定点の平均的な数値を用いる。
  Ra(近隣数点の実測平均空間線量率)×(8h/d+fc×16h/d)×7d

 2-2 空気中放射性物質
 空気中放射性物質の濃度は、一定のサンプリング時間に対し、時間的・空間的に相当変動することが考えられることから、摂取期間は1日とする。
@ 空気中放射性物質測定地点付近に人家があり、居住・滞在する人が複数人実在する場合
 ○ 測定値を基に1日間の滞在を前提に8時間程度の屋外滞在を考慮して、屋内滞在で屋外の数分一(例えば1/4程度)の低減係数(fc)を考慮し、線量を算定する。
  C (空気中放射性物質濃度 Bq/cm3) ×( 8h +fc×16h ) /24h×Ka(実効線量換 Sv/Bq)×q(呼吸 cm3/d)

A 空気中放射性物質測定地点付近に人家がなく、居住・滞在する人がほとんどいない場合
 ○ 測定値以外は@と同様し、 空気中濃度は、他の時間帯の測定値、近傍測定地点の測定値等を含め平均的な濃度用いる。
  Ca(平均的な空気中放射性物質濃度 Bq/cm3) ×( 8h +fc×16h) /24h×Ka(実効線量換算係数 Sv/Bq)×q(呼吸 cm3/d)

 2-3 飲料水、野菜、牛乳等実際に摂取する試料の放射性物質が測定された場合
 飲料水、野菜、牛乳等実際に摂取する食品ついては、モニタリング結果が出された後、何らかの対応がとられることから、摂取期間は1週間程度とする。
 ○ 飲料水及び野菜・原乳を自家消費する場合には、実測濃度の食品を1週間、食物摂取制限の算定に用いた摂取量を摂取するとして、線量を算出する。
  C (飲料水・食品中放射性物質濃度 Bq/kg)×Ka(実効線量換算係数 Sv/Bq)×q(摂取量 kg/d)×7d

 ○野菜、牛乳等食品ついては、その地域及び周辺地域の各種野菜、原乳等の測定結果を平均化した濃度で、 摂取量は、「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針」(昭和51年9月28日原子力安全委員会決定、平成元年3月27日一部改訂、平成13年3月29日一部改訂) の値を用いて線量を算出する。
  Ca (平均的な食品中放射性物質濃度 Bq/kg)×Ka(実効線量換算係数 Sv/Bq)× q(摂取量 kg/d)×7d

 2-4 河川水、海水、雨水、土壌、降下塵、雑草等実際に摂取しない試料の放射性物質が測定された場合
 当該試料の測定値を基に、線量を算出することはしない。
 これらの試料は、汚染の状況をいち早く推定し、又は、推移傾向を把握するために必要であが、それに関連した直接線量を評価できる項目のデータが得られた場合には、線量算定は、それら関連項目 (例えば、河川水→飲料 例えば、河川水→飲料 例えば、河川水→飲料 例えば、河川水→飲料 例えば、河川水→飲料 例えば、河川水→飲料 例えば、河川水→飲料水)によって行うので、意味の定かではない線量を評価する必要はない。
 なお、関連項目のモニタリングが行われていない場合には、それら関連項目での汚染が推定されることから、至急、関連項目のモニタリングを実施するよう助言する等の指標として用いることは有効であると考える。

3. 対応方法
 これらの線量評価手法は、簡単であるので、EXCEL等のプログラムで係数表、計算式を用意しておけば、容易に線量算出ができるので、準備しておくことが望ましい。


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