(財)日本生態系協会(1998)による〔『環境を守る最新知識 ビオトープネットワーク』(4p)から〕


1-2-1 食物連鎖
 緑色植物は土壌から養分と水、大気から二酸化炭素をを吸収しながら、太陽をエネルギー源として光合成を行い、多くの生物の営みに必要な炭水化物、蛋白質、脂肪などの有機物を作りだしている。
 関東地方の雑木林の場合、豊かな土壌には、コナラ、ケヤキ、アカシデ等の樹木が生育している。林縁や林床には、一般に野草といわれる草本類も繁茂している。チョウやバッタ、カブトムシなどの草食性昆虫は、草や木の葉、花蜜、樹液などをえさにしている。そしてこの草食性昆虫を食べるクモやカマキリ、トンボなどの肉食性の昆虫や小動物が存在する。またそこにはこうした小動物をえさとするトカゲやカエル、さらにそれを食べるヘビ、モズ、イタチなどの鳥獣がいる。
 樹木や草本類といった植物は光合成によって有機物を生産するため、「生産者」と呼ばれる。一方、生産者を食べる昆虫などの小動物や、小動物を食べる動物は「消費者」と呼ばれている。
 さて、生産者も消費者もいずれは死に、土に還る。土の中には微生物や小動物が生息し、それらは死んだ生物や排泄物を食べて生きている。死体や排泄物といった有機物は、微生物や小動物に食べられることで、無機物へと分解される。ものため土の中の微生物、小動物は「分解者」と呼ばれる。
 分解者によって生じた無機物は、植物によって栄養素として吸収される。そしてそれらは、再び光合成で有機物に変えられ、これを消費者が食べる……。このように、食物エネルギーは植物を源とし、捕食、被食を繰り返しながら一連の生物群を通って移行する。これを食物連鎖(food chain)と呼び、この食物連鎖がからみあった形をしばしば食物網(food web)と呼ぶ。』