山田(1998)による〔『最新ごみ事情Q&A』(4-5p)から〕


Q2 廃棄物とは何か、「廃棄物処理法」と他の環境法との関係は
 工場や自動車から排出される二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)、冷蔵庫の冷凍媒体のフロンガス、青森県六ヶ所村の使用済み核燃料なども廃棄物なのですか。これらの問題も廃棄物問題なのですか。

A 廃棄物とは、人間の生活や事業活動に伴って生じる不要物のことですが、気体状のものや放射性物質は含みません。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」といいます)で廃棄物が定義されていますが、窒素酸化物やフロンガスなど気体状のものは「大気汚染防止法」や「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」等で、放射性物質は「原子力基本法」や「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」等で扱うこととなりますので「廃棄物処理法」の対象外とされています。
1.廃棄物の定義
 廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、燃えがら、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のものをいいます。ただし、放射性物質およびこれに汚染されたものを除きます。
 その他、「廃棄物処理法」の対象外の廃棄物として、次のものがあります。
@港湾、河川等のしゅんせつに伴って生じる土砂その他これに類するもの。
A漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行った現場付近において排出したもの。
B土砂および専ら土地造成の目的となる土砂に準じるもの。
2.廃棄物と有価物
 廃棄物とは、占有者自ら利用し、または他人に有償で売却することができないために不要になったものをいいますが、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではないとされています(昭52.3.26 環計第37号厚生省水道環境部計画課長通知)。
 例えば、コンクリートがらによる湿地の埋立などは、占有者の意思が埋立用材としての利用にあったとしても、性状等を勘案すれば、廃棄物の不法投棄と言わざるを得ません。また、廃自動車等は市況の変動によって有価物にも廃棄物にもなり得るものです。
3.産業廃棄物と一般廃棄物
 廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に分類されます。「廃棄物処理法」では、事業活動に伴って生じる廃棄物のうち、燃えがら、汚泥など19種類を産業廃棄物とし、それ以外を一般廃棄物としています。産業廃棄物のうち、紙くず、木くず等いくつかの種類については排出業種が決められており、他の業種から排出されたものは、同じ種類であっても一般廃棄物となります。これらは特に事業系一般廃棄物と呼ばれています。
 また、廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性、その他の人の健康または生活環境に係る被害を生じるおそれがある性状を有するものを特別管理産業廃棄物及び特別管理一般廃棄物といいます。
4.「廃棄物処理法」と他の環境法との関係
 環境政策の総合的な枠組みを定める「環境基本法」を中心に、「大気汚染防止法」、「水質汚濁防止法」、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」等と「廃棄物処理法」とは密接な関係があります。それぞれ規制する対象や範囲が異なっており、独立した法体系となっていますが、相補って環境保全に万全を期すようになっています。』