IPCC[気候変動に関する政府間パネル](編)(1996)による〔『IPCC地球温暖化第二次レポート』(1-3p)から〕
『T 総合報告書
気候変動枠組条約第2条の解釈に関する科学的・技術的情報のIPCC第二次総合評価
1 IPCCの第11回全体会合の概要
- 開催月日 平成7年12月11日(月)から15日(金)
- 開催場所 イタリア・ローマ サロンデフォンテーヌ会議場
- 出席者 ボーリンIPCC議長、各作業部会議長、代表執筆者、116か国、8国連機関、5国際機関、25NGOの代表者など総計約300人の出席。日本からは、浜中環境庁地球環境部長、塚本通商産業省参与、伊藤気象庁気候変動対策室長ほか11名が出席した。
2 第二次評価報告書の概要
第二次評価報告書は@温暖化の観測事実と予測、A温暖化の影響・適応策・対応策、B温暖化の社会経済的側面に関する各作業部会報告書、及びこれらを踏まえた「気候変動枠組条約第2条の解釈に関する科学的・技術的情報のIPCC第二次総合評価」と題する報告書から構成されている。
特に注目される点は以下のとおり。
- 19世紀以降の気候を解析し、人為的影響による地球温暖化が既に起こりつつあることを確認。今後2100年には中位の予測として、約2℃の平均気温の上昇、約50cmの海面の上昇、極端な高温等の気候変化を予測した。
- 植生、水資源、食糧生産、疾病、海面上昇等への広範な影響を及ぼすとの評価を行った。
- 温室効果ガスの様々な排出シナリオを検討した上、大気中の温室効果ガス濃度を安定化し、地球温暖化の進行を止めるためには、将来的に二酸化炭素等の排出量を1990年を下回るレベルまで削減する必要性を強調。
- 対策技術、対策費用の幅広い知見を集約し、需要側及び供給側での適切な対策により低コストの排出削減が可能との見通しを示すと共に、不確実性は残るものの、気候変動による損害のリスクの回避及び予防的アプローチを考慮し、現在の知見のもとでも、一連の「いずれにしろ後悔しない」対策を超えた対策を開始する根拠があるとした。
(注:気候変動枠組条約第2条
この条約及び締約国会議が採択する関連する法的文書は、この条約の関連規定に従い、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極的な目的とする。そのような水準は、生態系が気候変動に自然に適応し、食糧の生産が脅かされず、かつ、経済開発が持続可能な態様で進行することができるような期間内に達成されるべきである。)』