【@将来時点における制約条件を仮定】 〔世界の資源制約〕 ●石油生産量のピーク(2050年と仮定) ●天然ガス生産量のピーク(2100年と仮定) 〔世界の環境制約〕 ●GDP当たりのCO2排出原単位(CO2排出量/GDP)を、1/3(2050年)、1/10以下(2100年)に改善 〔我が国の検討条件〕 ●生産量ピークの想定時期までに、他のエネルギーと互換可能な状態とする。 ●同等の改善率でCO2排出原単位を改善。(将来に亘って世界をリード) |
【A極端なエネルギー構成によるケーススタディ】 〔ケースA〕石炭等の化石資源と二酸化炭素回収・隔離の最大利用ケース 〔ケースB〕原子力の最大利用ケース 〔ケースC〕再生可能エネルギーの最大利用と究極の省エネルギー実施ケース |
【B分野毎に求められる技術スペックの洗い出し】 例)効用が増大する中、民生、運輸、産業の各分野では、 ●転換分野からの供給が必要なエネルギー(単位当たり)を、70〜80%削減。 (※必要エネルギー量がGDPに比例して増大した場合を基準)等 |
【C技術スペックの実現に必要となる主な技術メニューを分野別ロードマップに時間軸展開】 |
1.今般のエネルギー分野の技術戦略マップは、2100年までの長期的視野から、地球的規模で将来顕在化することが懸念される資源制約、環境制約を乗り越えるために求められる技術の姿を逆算(バックキャスト)することによって描き出した。これは、長期を見据えた研究開発の重点化や、ポスト京都議定書の国際枠組み等の長期的地球的視野からの議論への貢献を目的としたものである。(副題「超長期エネルギー技術ビジョン」)
2.本検討では、将来の制約条件を仮定し、エネルギー構成のケーススタディを通じて、民生、運輸、産業、転換の各分野が満たすべき最も厳しい技術スペックを洗い出した。
【制約条件の仮定】
〔世界の資源制約〕 |
石油が生産量のピークを迎える(2050年と仮定) 天然ガスが生産量のぴオークを迎える(2100年と仮定)) |
〔世界の環境制約〕 |
GDP当たりのCO2排出原単位(CO2排出量/GDP)を、 2050年に1/3、 2100年に1/10以下 |
〔我が国の検討条件〕 | 各資源の生産量のピーク想定時期までに、他のエネルギーと交換可能な状態とするとともに、将来に亘って世界をリードし続けるとの考えから、同等の原単位改善率を条件として検討を行った。 |
(民生分野) |
○「効用」がGDP比例で増大する中、転換分野からの必要エネルギー量を80%削減(世帯、床面積当たり) ○電化・水素化率を100% |
(運輸分野) |
○「効用(≒人・km、トン・km)」がGDP比例で増大する中、必要エネルギー量の70%削減相当(※自動車では80%削減相当)の燃費改善 ○電化・水素化率を100%(飛行機等を除く) ○資源制約解消に必要なタイミングでの燃料転換 |
(産業分野) |
○「効用(≒製造量×製品の価値)」がGDP比例で増大する中、必要エネルギー量を70%削減(効用当たり) ○資源制約解消に必要なタイミングでの原燃料転換 |
(転換分野) | ○需要分野の必要エネルギー量を各ケースにて不足なく供給 |
投入したエネルギー | 化学プロセス | @物質中に保存 | →物質エネルギーとして再利用(物質エネルギー再生) |
Aエクセルギー損失 | →電力・水素として回収(コプロダクション) | ||
B廃熱 | →プロセス廃熱を少なくする(省エネ) |
目 次................................................................................................................
1
1.はじめに.....................................................................................................
2
2.技術戦略マップ策定に係る基本的考え方と検討の枠組み.......................... 3
(1) 基本的考え方............................................................................................
3
@エネルギー分野における基本的認識
A検討の特徴
●エネルギー分野における基本的認識
●逆算(バックキャスト)による技術戦略の検討
(2) バックキャストによる検討の枠組み........................................................
6
@ 将来展望に基づく制約条件の仮定.........................................................
6
1)資源制約
2)環境制約
●将来展望の概観
1)世界の人口・経済の将来展望
2)世界のエネルギー消費の将来展望
3)世界の化石燃料生産の将来展望
4)CO2排出量のシナリオ
●我が国における効率の現状とこれまでの推移
A 将来のエネルギー構成に係る想定.......................................................
10
ケースA:石炭等の化石資源と二酸化炭素回収・隔離の最大利用ケース
ケースB:原子力の最大利用ケース
ケースC:再生可能エネルギーの最大利用と究極の省エネルギー実施ケース
●技術シナリオとしての3つのケースの設定
●ケースごとの特徴とエネルギー構成のイメージ
【ケースA(石炭等の化石資源と二酸化炭素回収・隔離の最大利用ケース)】
【ケースB(原子力の最大利用ケース)】
【ケースC(再生可能エネルギーの最大利用と究極の省エネルギー実施ケース)】
B需要側から見た分野による検討............................................................
15
●分野毎の特徴
【民生(業務・家庭)分野の特徴】
【運輸(自動車)分野の特徴】
【産業分野の特徴】
【転換(発電・水素製造)分野の特徴】
3.分野別ロードマップ..................................................................................
17
(1) 制約条件から分野毎に求められる技術スペックの概観(2100 年)...... 17
〔2100年において求められる主要な技術スペック〕
●極端なケースによって各分野に求められる技術スペックの概観
【ケースA:石炭等の化石資源と二酸化炭素回収・隔離の最大利用ケース】
【ケースB:原子力の最大利用ケース】
【ケースC:再生可能エネルギーの最大利用と究極の省エネルギー実施ケース】
●2050年、2030年に求められる技術スペックの考え方
(2) 分野別ロードマップ...............................................................................
22
(資料1)分野別ロードマップ概要(民生、運輸、産業、転換)
(資料2)分野別ロードマップ(民生、運輸、産業、転換)
(3) 分野別ロードマップにおける主要なポイント........................................
22
【民生分野】
(省エネ)
(創エネ)
(エネルギーマネジメント)
【運輸分野】
(機器単体の省エネルギー)
(燃料転換)
〔自動車〕
〔船舶、航空機、鉄道〕
〔交通システム〕
【産業分野】
(製造プロセスにおけるエネルギー利用の高度化『うまくつくる』)
(物質エネルギーの再生『上手につかう』)
(少ない資源での製品製造によるエネルギー削減『良いものをつくる』)
〔製鉄〕
〔化学〕
〔セメント〕
〔紙パ〕
〔産業分野共通技術〕
【転換分野】
(化石資源の効率的利用)
(原子力利用技術)
(再生可能エネルギー利用技術)
【分野横断的な事項】
(省エネ技術)
(エネルギー貯蔵技術)
(パワーエレクトロニクス技術)
(ガス化技術)
(エネルギーマネジメント技術)
●その他
●3つのケースの技術が融合した社会イメージ(起こり得る可能性が高い社会像)
〔補足〕技術スペック達成による実現イメージ
4.今後の課題................................................................................................
30
(1) 短・中期的な視点からの検討の実施......................................................
30
(2) 重要技術等の検討の深化........................................................................
30
5.おわりに...................................................................................................
31
分野別ロードマップ概要(資料1)
1.はじめに
経済産業省は、平成17年3月に産学官の協力の下、研究開発投資の戦略的企画・実施のナビゲーターとも言うべき、「技術戦略マップ」を策定した。「技術戦略マップ」は、製品・サービスの需要創造のための方策を示した「導入シナリオ」、ニーズの実現に必要な技術を示した「技術マップ」、技術目標を時間軸に沿って示した「ロードマップ」から構成されており、情報通信、ライフサイエンス、環境、製造産業における20分野で策定した。
今般、技術マップとロードマップから構成されるエネルギー分野の技術戦略マップのとりまとめを行った。
今般のエネルギー分野の技術戦略マップは、2100年までの長期的視野から、地球的規模で将来顕在化することが懸念される資源制約、環境制約を乗り越えるために求められる技術の姿を逆算(バックキャスト)することによって描き出した。これは、長期を見据えた研究開発の重点化や、ポスト京都議定書の国際枠組み等の長期的地球的視野からの議論への貢献を目的としたものである。(副題「超長期エネルギー技術ビジョン」)
本マップの策定にあたっては、エネルギー総合工学研究所に設置された超長期エネルギー技術研究会において原案が作成された。本研究会には、産学官の知見を結集し、大学、民間企業(製品、部品、材料、装置メーカー等)、経済産業省(資源エネルギー庁、原局原課及び産技局)、NEDO、(独)産業技術総合研究所等が参画した。また、産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会(委員長:西尾茂文東大副学長)にて審議願った。
5.おわりに
本技術戦略マップは、官民における研究開発の戦略、内容等を検討するための参考として、経済産業省のホームページに掲載する等して幅広く情報提供を行う。
また、今回の長期的な視点からの逆算(バックキャスト)による手法でとりまとめを行った超長期エネルギー技術ビジョンについて、今後の長期的、地球的規模の問題に対する国際枠組みの議論等に活用していく。さらに、今後、現状からの延長(フォアキャスト)による検討を行うなど、完成度を高めていくことによって、我が国の研究開発マネジメントのインフラとして存分に活用していくこととしたい。