下田(1985)による〔『粘土鉱物研究法』(40-44p)から〕


表3.6 日本に産する主な粘土鉱物の化学分析値
  1
カオリナイト
2
ディッカイト
3
ナクライト
4
ハロイサイト
5
クリソタイル
6
アンチゴライト
7
パイロフィライト
8
タルク
9
雲母鉱物
10
雲母鉱物
11
セラドナイト
12
グロコナイト
SiO2 45.80 45.42 45.17 38.97 46.91 43.84 63.57 63.28 47.65 47.14 55.99 52.78
TiO2   0.02 0.04   0.61   0.04 0.02 0.10 0.34 0.49 0.46
Al2O3 39.55 38.78 40.24 34.43   2.23 29.25 0.24 37.03 37.09 11.13 9.34
Fe2O3 0.57 0.88 0.02 2.06 1.72 3.72 0.10 0.72 0.01 0.49 4.65 14.23
FeO 0.18 0.04         0.12 2.80 tr.   7.34 2.63
MnO     tr.     0.07 tr. 0.03 tr.   0.20  
MgO 0.14 0.86 0.30   34.50 38.16 0.37 25.93 0.04 0.83 2.27 3.90
CaO 0.41 0.12 0.40     tr. 0.38 0.03 tr. 0.57 0.22 1.74
Na2O   tr. 0.06   0.04 0.11 0.02 0.12 0.76 0.35 1.30 0.24
K2O 0.03 tr. 0.12   0.02 0.08 tr. 0.02 9.02 7.10 8.00 3.89
H2O(+) 13.92 13.42 14.13

24.66
13.76 12.28 5.66 6.63 4.97 5.18 4.22 7.99
H2O(-) 0.17 0.54 0.10 2.45 0.36 0.66 0.14 0.73 0.99 3.68 1.47
P2O5             tr. 0.01 0.02 0.01    
SO3                        

合計(%)
100.77 100.08 100.58 100.12 100.01 100.85 100.17 99.96 100.33 100.09 99.49 98.69
  13
緑泥石鉱物
14
緑泥石鉱物
15
須藤石
16
須藤石
17
バーミキュライト
18
バーミキュライト
19
モンモリロナイト
20
ノントロナイト
21
鉄サポナイト
22
サポナイト
23
スチーブンサイト
24
モンモリロナイト
SiO2 29.07 22.24 34.36 36.63 33.42 33.19 51.62 41.56 38.09 48.29 52.76 50.08
TiO2 0.32        tr. 0.96 0.07 0.17   0.10   0.47
Al2O3 21.82 17.05 38.84 34.87 10.44 29.86 24.31 11.35 7.63 7.50 tr. 15.78
Fe2O3 0.83 13.38 0.49 5.01 3.66 10.92 0.88 22.45 11.45 1.46 0.38 5.34
FeO 3.67 26.26   0.43 2.34   0.41 0.62 2.18 6.60   0.01
MnO   5.42   0.05 tr. non.   0.01     1.57 0.14
MgO 29.90 4.10 10.21 8.63 25.18 2.76 1.36 1.02 17.27 19.88 23.67 3.51
CaO 0.19 tr. 0.07 1.13 4.00 0.46 1.52 2.23 2.61 1.31 2.19 0.90
Na2O tr.   0.66 0.24 0.02 0.15 1.06 0.35 0.39   0.37 0.29
K2O tr.   0.12 0.46 tr. 0.70 0.16 0.33 0.25   none. 0.44
H2O(+) 10.76 10.05 13.98 12.24 14.60 14.09 6.46

20.45
4.78 9.40 6.52 8.53
H2O(-) 2.76 0.98 0.84 1.91 6.12 6.90 12.68 15.92 5.58 12.38 14.46
P2O5               0.03        
SO3         tr.   tr.          

合計(%)
99.32 99.48 99.57 100.60 99.78 99.99 100.53 99.62 100.57 100.12 99.84 99.95
  25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36

雲母とモンモリロナイトの混合層鉱物

緑泥石とサポナイトの混合層鉱物

Al質緑泥石とモンモリロナイトの混合層鉱物

カオリンとモンモリロナイトの混合層鉱物

雲母とAl質緑泥石の混合層鉱物
SiO2 44.80 43.17 49.15 50.27 33.95 41.16 36.7 39.94 41.60 41.94 47.68 39.3
TiO2   0.51 0.00 0.29 tr. 0.16 0.1 0.74   0.40 1.92 0.8
Al2O3 33.83 33.54 28.79 29.89 19.20 12.55 9.1 33.17 36.40 30.12 20.03 37.7
Fe2O3   0.26 0.92 0.42 0.71 1.03 10.6 1.34 1.82 2.42 5.45  
FeO 0.39 0.13     0.69 6.05 2.3 0.18   0.21 0.48 0.0
MnO           0.05   tr.       0.0
MgO 1.27 0.65 1.52 3.42 26.31 25.67 21.7 6.44 0.29 1.52 2.48 7.7
CaO 0.97 0.52 1.22 0.26 0.70 1.85 2.2 1.30 0.38 0.32 0.24 0.1
Na2O 1.88 0.38 0.77 0.19 0.74 0.26 0.4 0.52 0.14   0.38 0.0
K2O 1.13 2.48 2.88 5.92 0.05 0.03 0.2 0.24 0.38   0.24 4.0
H2O(+) 6.91 10.84 7.43 6.04 11.26 7.95 8.1 11.64 11.12 11.10 7.96 9.4
H2O(-) 8.13 7.75 6.60 2.85 6.55 3.17 9.5 4.39 6.87 12.88 13.52 1.0
P2O5           0.08   0.08        
SO3                        

合計(%)
99.33 100.23 99.28 99.55 100.16 100.01 100.9 100.41 100.04* 99.91 100.38 100.00*
               

S≒0.69
Li2O=1.04      

* 不純物を除いた後のもの。

  • 1 カオリナイト 三川鉱山、新潟県産(長沢、1953)。
  • 2 ディッカイト 加藤鉱山、三石、岡山県産パイロフィライト−ダイアスポア鉱床のダイアスポアの空隙をうめて産する(杉浦・中野、1960)。
  • 3 ナクライト 金ヶ峠鉱山、山口県産(Minato、1976)。
  • 4 ハロイサイト 上信、群馬県産、安山岩の上部をおおう凝灰岩が温泉作用で変質したもの(Sudo and Ossaka、1952)。
  • 5 クリソタイル 三波川、群馬県産(Shimoda、1967)。
  • 6 アンチゴライト 河森鉱山、京都府産(Shimoda、1967)。
  • 7 パイロフィライト 穂波鉱山、長野県産(Kodama、1958)。
  • 8 タルク 北海道、松前地方の蛇紋岩に伴なって産するタルク(番場・矢島、1974)。
  • 9 雲母鉱物 いわゆる絹雲母と呼ばれる鉱物、余地峠、群馬県産(Kodama、1957)。
  • 10 雲母鉱物 釈迦内鉱山、秋田県産、黒鉱鉱床の変質帯に産する。2M2型と考えられる(Shimoda、1970)。
  • 11 セラドナイト 大谷、栃木県産、大谷石中の火山ガラスを交代している(Kohyama et al.、1971)。
  • 12 グロコナイト 夕張市紅葉山付近、北海道の新第三紀川端層中に産する15〜20%の膨潤層を含む混合層鉱物(小島・下田、1976)。
  • 13 シェリダナイト、またはロイフィテンバージャイト 鰐淵鉱山、島根県産、黒鉱型石膏鉱床の変質帯に産する(Sakamoto and Sudo、1956)。
  • 14 マンガン、チューリンジャイト 一の越、富山県産、せん緑岩中に取り込まれた石灰岩の接触変質部に産する(Sudo、1943)。
  • 15 須藤石 奥ノ沢鉱床、上北鉱山、青森県産(本多、1975)。
  • 16 須藤石 本坑鉱体上北鉱山、青森県産、本坑鉱体の変質帯の黄鉄鉱脈中に産する(Hayashi and Oinuma、1964)。
  • 17 バーミキュライト(Mg-型) 雲津峯、福島県産(島根、未発表、須藤(1974)より引用)。
  • 18 バーミキュライト(Al-型) 住友セメント岐阜鉱山、岐阜県の石灰岩をおおう赤色土壌中に産する(Negishi、1975)。
  • 19 モンモリロナイト 月布、左沢、山形県産(Hayashi、1963)。
  • 20 ノントロナイト 山城、佐賀県産、玄武岩の風化物(Muchi、1975)。
  • 21 鉄サポナイト 諏訪山、本荘市の玄武岩中のアミグダルを充填して産する(吉村ら、1975)。
  • 22 鉄の多いサポナイト 山城、佐賀県の玄武岩の空隙あるいはアミグルダルの内壁に付着して産する、深緑色(Muchi and Higashiyama、1972、Takeshi、1978より引用)。
  • 23 スチーブンサイト 大堀鉱山、山形県産、層間水の脱水の途中で混合層構造を示す(Shimoda、1971)。
  • 24 モンモリロナイト 鶴岡、山形県産、いわゆる酸性白土といわれているもので、風化が進むとカオリンとモンモリロナイトの混合層鉱物に変ることもある(Takeshi、1978)。
  • 25 雲母とその加水層からできている混合層鉱物 レクトライト(アレバルダイト)といわれているものに近い鉱物学的性質を持つ。五島鉱山、長崎県産(Sudo et al.、1962)。
  • 26 雲母とその加水層からできている混合層鉱物 米子鉱山、長野県産、日本に産する熱水性起源の雲母とその加水層からできている混合層鉱物の一般的な化学組成。25のものがNa2O>K2Oであるのに対し、この試料はK2O>Na2Oである(Shimoda and Sudo、1960)。
  • 27 雲母とモンモリロナイトの混合層鉱物 上砂川、北海道産、炭層に伴なう凝灰岩が変質したもの。堆積性起源の一般的なもの(下田ら、1969)。
  • 28 雲母とモンモリロナイトの混合層鉱物 雲母成分 0.87、モンモリロナイト成分 0.13の不規則混合層鉱物 石見鉱山、島根県産、石見黒鉱鉱床の変質帯に産するものである(下田ら、1969)。
  • 29 緑泥石とサポナイトの混合層鉱物 能登鉱山、石川県産、能登石膏型黒鉱鉱床の変質部に黄鉄鉱と産する(杉浦、1962)。
  • 30 緑泥石とサポナイトの混合層鉱物 春日村、岐阜県産、ドロマイト化作用を受けた石灰岩中の石英脈中に産する(鈴木ら、1974)。
  • 31 緑泥石成分 0.45、サポナイト成分 0.55の不規則混合層鉱物 仁別、秋田県産、大平山西麓の第三紀の砂小淵層中の枕状溶岩中に産する(金原・下田、1972)。
  • 32 トスダイト 上北鉱山、青森県産、黒鉱鉱床の変質帯の粘土中に産する。Al 質緑泥石(須藤石)の存在を記載した最初の論文(Sudo and Kodama、1957)。但し、不純物を含むが、Al質緑泥石の存在を示すものにSudo et al.(1954)がある。
  • 33 トスダイト 東鳳鉱山、愛知県産、東鳳パイロフィライト鉱床を横切る幅数cmの粘土質脈中に雲母とモンモリロナイトの混合層鉱物と一緒に産する。Liを含むトスダイトの日本での最初の論文(Nishiyama et al.、1975)。
  • 34 カオリンとモンモリロナイトの混合層鉱物 栗津、石川県、いわゆる酸性白土中に産するもので、モンモリロナイトが変質してカオリン鉱物に変る途中のものと考えられている。カオリンとモンモリロナイトの混合層鉱物の最初の記載(Sudo and Hayashi、1956)。
  • 35 カオリンとモンモリロナイトの混合層鉱物 水沢、新潟県産、水沢酸性白土鉱床に産するもの(Takeshi and Uno、1974)。
  • 36 雲母とAl質緑泥石の混合層鉱物 花岡鉱山、秋田県産(Shirozu et al.、1971)。


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