教育情報ナショナルセンター(NICER)による〔『学習指導要領/評価規準』から〕


地学T

1 目 標   
 地学的な事物・現象についての観察,実験などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ,科学的な自然観を育成する。
 
2 内 容
 
(1) 地球の構成
惑星としての地球の特徴及び地球表層や内部に見られる地学的事象を観察,実験などを通して探究し,地球表層や内部を相互に関連させ,地球の歴史の経過の中でとらえることができるようにする。
ア 地球の概観
(ア) 太陽系の中の地球
(イ) 地球の形状と活動
イ 地球の内部
(ア) 地球の内部構造と構成物質
(イ) 火山と地震
ウ 地球の歴史
(ア) 野外観察と地形・地質
(イ) 地層の形成と地殻変動
(ウ) 化石と地質時代
エ 地球の構成に関する探究活動
(2) 大気・海洋と宇宙の構成
地球の大気圏及び水圏での現象を観察,実験などを通して探究し,それらが太陽放射エネルギーを原動力としていることを理解させる。また,太陽や恒星の活動を観察,実験などを通して探究し,宇宙の構造や広がりを理解させる。
ア 大気と海洋
(ア) 大気の熱収支と大気の運動
(イ) 海水の運動
イ 宇宙の構成
(ア) 太陽の形状と活動
(イ) 恒星の性質と進化
(ウ) 銀河系と宇宙
ウ 大気・海洋と宇宙の構成に関する探究活動
 
3 内容の取扱い
 
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 中学校理科との関連を考慮しながら,地学の基本的な概念の形成を図るとともに,地学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 「探究活動」においては,各項目の学習活動と関連させながら観察,実験を行い,創意ある報告書の作成や発表を行わせること。また,それらを通して,仮説の設定,実験の計画,情報の収集,野外観察,調査,データの解釈,推論など探究の方法を習得させること。その際,適宜コンピュータなどの活用を図ること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアについては,重力及び地磁気についての詳細な扱いはしないこと。(ア)については,地球の誕生及び地球,惑星,月の表面の様子や大きさなどの特徴を扱うこと。また,地球における生物の生存要因にも触れること。太陽系の構造に関連してケプラーの法則も扱うこと。(イ)については,地球表層の形成と活動を中心に平易に扱うこと。イの(ア)については,プレートの概念も扱い,マントル内部の運動にも簡単に触れること。構成物質については,岩石を中心に扱い,鉱物については主要なものにとどめること。結晶系は扱わないこと。(イ)については,地震及び火山活動をプレートの運動と関連させて扱うこと。地球内部のエネルギー源については深入りしないこと。ウの(ア)については,地形と露頭の観察を中心に扱い,地質図については初歩的な事項にとどめること。(イ)については,岩石の相互関係や変形,現在及び地質時代の地殻の変動を中心に扱うこと。(ウ)については,地質時代が生物界の変遷に基づいて区分されることを中心に扱い,ヒトの進化にも触れるが,古生物の羅列的な扱いはしないこと。放射年代にも触れるが,詳細な扱いはしないこと。
イ 内容の(2)のアについては,大気及び海洋の運動が太陽放射エネルギーを原動力として起きていることを地球規模で扱うこと。(ア)については,緯度による受熱量の違いによって大気の大循環が生じていることを中心に扱い,日本の四季の気象も扱うこと。また,オゾン層の破壊などの地球環境問題にも触れること。偏西風波動については深入りしないこと。大気圏の層構造,大気中の水,風の吹き方も扱うが,転向力については定量的な扱いはしないこと。(イ)については,海洋の層構造と大循環及び海流を扱うこと。また,エルニーニョ現象など大気と海洋の相互作用を平易に扱うこと。潮汐は扱わないこと。イの(ア)については,エネルギー源としての核融合を扱うが,概略にとどめること。(イ)については恒星のHR図を中心に扱い,恒星の性質や進化については定性的な扱いにとどめること。(ウ)については,銀河系の構造を中心に扱い,宇宙の膨張については定量的な扱いはしないこと。


地学U

1 目 標   
 地学的な事物・現象についての観察,実験や課題研究などを行い,自然に対する関心や探究心を高め,地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め,科学的な自然観を育成する。

2 内 容
 
(1) 地球の探究
プレートの動きや地殻の変化を観察,実験などを通して探究し,現在の地球の変動の様子,地球の進化や日本列島の変遷を理解させ,地球を動的にとらえることができるようにする。
ア プレートの動きと地殻の変化
(ア) プレートの動き
(イ) 大地形の形成
イ 日本列島の変遷
(ア) 島弧としての日本列島
(イ) 島弧としての日本列島
(2) 地球表層の探究
地球の重力や地磁気及び大気と海洋の現象を観察,実験などを通して探究し,大気と海洋の運動の基本的原理や観測方法を理解させ,地球表層の環境についての見方や考え方を身に付けさせる。
ア 地球の観測
(ア) 重力と地磁気
(イ) 気象と海洋の観測
イ 大気と海洋の現象
(ア) 気象と気候
(イ) 海洋の現象
(3) 宇宙の探究
天体の放射や宇宙に関する現象を観察,実験などを通して探究し,宇宙の広がりや観測方法を理解させ,宇宙の構造と進化についての見方や考え方を身に付けさせる。
ア 天体の観測
(ア) 天体の放射
(イ) 天体の様々な観測
イ 宇宙の広がり
(ア) 天体の距離と質量
(イ) 宇宙の構造
(4) 課題研究
地学についての発展的,継続的な課題を設定し,観察,実験などを通して研究を行い,地学的に探究する方法や問題解決の能力を身に付けさせる。
ア 特定の地学的事象に関する研究
イ 自然環境についての調査
 
3 内容の取扱い
 
(1) 内容の構成及びその取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
ア 「地学I」との関連を考慮しながら,地学の基本的な概念の形成を図るとともに,地学的に探究する方法の習得を通して,科学的な思考力,判断力及び表現力を育成すること。
イ 内容の(1)から(4)までのうち,(4)についてはすべての生徒に履修させること。(1),(2)及び(3)については生徒の興味・関心等に応じていずれか二つを選択することができること。
ウ 内容の(4)については,ア及びイの中から一つ以上の適当な課題を設けて適切な時期に研究を行うものとし,創意ある研究報告書の作成や研究発表を行わせること。研究を行うに当たっては,課題や仮説の設定,実験の計画,情報の収集,野外観察,調査,数的処理,分類,データの解釈,推論など探究の方法を習得させること。その際,解決すべき課題についての情報の収集・検索,結果の集計・処理などに,適宜コンピュータなどを活用させること。
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のアの(ア)については,海洋プレートの生成・移動・消滅を中心に扱うこと。(イ)については,プレート境界の種類と大地形の関係,大陸地殻の成長を中心に扱うこと。イの(ア)については,日本列島の地質構造や火山・地震に見られる特徴を,日本付近のプレート境界と関連させて扱うこと。その際,地殻熱流量にも触れること。(イ)については,古環境の変遷も扱うこと。
イ 内容の(2)のアの(ア)については,ジオイド,重力異常,地磁気の成因にも触れるが,詳細な扱いはしないこと。(イ)については,人工衛星などから得られる情報の活用も図ること。また,高層天気図も扱い,高層大気の流れと地上の天気変化との関連にも触れること。イの(ア)については,偏西風帯の気象を中心に,気候の形成を地球規模で扱い,気候の形成に対する海洋の働きにも触れること。水の循環に関連して陸水にも触れること。(イ)については,津波も扱うこと。海洋の現象の羅列的な扱いはしないこと。
ウ 内容の(3)のアの(ア)については,恒星の放射を中心に扱うこと。(イ)については,電磁波に対する大気の影響を扱うこと。また,各波長における観測法を扱い,それにより得られる情報の活用も図ること。イの(ア)については,近距離の測定から遠距離の測定までを扱うが,羅列的な扱いはしないこと。また,銀河系の回転運動と質量との関連に簡単に触れること。(イ)については,銀河の分類と宇宙の膨張を扱い,ハッブルの法則にも触れること。
エ 内容の(4)については,内容の(1)から(3)まで及び「地学I」と関連させて扱うこと。イについては,自然環境に関する地学的調査を行うこと。
 


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