地球白書 2000-01

目次


はじめに iii
第1章 新世紀の課題
繁栄と荒廃
 インターネット好景気
 自然資源の劣化
新世紀の進路を決める環境動向
 人口増加
 気温上昇
 地下水の枯渇
 一人当たり耕地面積の減少 10
 漁場の崩壊 12
 森林減少 12
 動植物種の絶滅 12
経済学から生態学へ 13
 迫られているパラダイム転換 13
 二つの世界認識のギャップ 14
 エネルギー経済と食糧経済の再構築 15
限界に達しはじめた変革の圧力 16
 タバコをめぐる劇的変化 17
 水素に投資する石油会社 18
 米国と中国の森林管理改革 19
 数多くある証拠 20
絶え難い衰退への圧力 21
 一地域の問題は世界の問題 21
 人口増加対策が分ける明暗 23
 複合する問題の現れとしてのエイズの蔓延 24
人類最大の課題 26
 太陽−水素型エネルギー経済の建設 27
 人口の安定化 31
 求められる環境リーダーシップ 32

第2章 予期せぬ環境異変に備える

35
スーパー・プロブレムの可能性 36
 ホンジュラスで何が起こったか 36
 非連続性と相乗効果 38
熱帯雨林−樹冠の下の地獄 41
 広範囲にわたる森林火災 42
 隠れたダメージ 44
 旱魃と酸性雨 45
 森林動物の肉による疾病 46
サンゴ−海水温の上昇による死滅 47
 熱にに弱いサンゴ 47
 栄養塩類汚染と沈殿物 49
 さまざまな病気 51
 サンゴ礁の構造体の危機 52
大気−見えない有害物質の蓄積 54
 酸性雨 54
 窒素循環の変化 57
 気候変動 59
予期せぬ被害に対する政策課題 61
 基本的な自然の法則 61
 現実的な政策の原則 62

第3章 灌漑農業の再構築

65
灌漑と人間の歴史 66
 灌漑が社会を変えた 66
 灌漑の危機 67
涸れゆく地下水 69
 インド・パキスタン・バングラデシュ 69
 中国 71
 米国 71
 北アフリカ・アラビア半島 72
 水赤字の食糧生産 74
新たな水戦争 75
 発展途上国の都市と産業 75
 米国の水不足地帯の都市 77
 自然環境の保全と水使用 78
 高まる国家間の軋轢 79
水生産性を改善する方法 81
 数多くある対策 81
 広まる微量施水法 83
 詳細な気象情報に基づく灌漑 84
 テキサス州の総合的取り組み 85
貧しい農民に灌漑手段を 87
 バングラデシュの足踏みポンプ 89
 サブサハラで活躍する低コスト技術 90
 氾濫原農法の改良 91
 雨水・表流水を集める技術 92
水をめぐる政策の改革 93
 管理権を移転する 94
 価格構造を段階的にする 95
 賢明な水取引のシステムを作る 95
 補助金を廃止する 96
 評価調査・法的規制・使用計画 96
 水需要を根本的に削減する 97

第4章 飢餓と過食に取り組む

99
二つの栄養不良 100
栄養不良の世界 101
 栄養不良とは何か 101
 飢え 103
 過食 104
 微量栄養素の欠乏 105
 食生活の崩壊と栄養不良 106
飢餓の根本的な原因 107
 貧困 108
 土地の不公平な分配と対外債務の不適切な管理 109
 紛争 110
過食を生む環境 110
 脂肪と糖分を求める人間の生得的欲求 111
 都市化による新しいライフスタイル 112
 食品会社の強大化と大量広告 112
 付加価値を求める食品会社 113
 さまざまな販売促進戦略 114
 芽生えつつあるよりよい食習慣への関心 115
食生活と健康 116
 栄養不足と栄養過多の健康リスク 117
 胎児と幼児の栄養不良 118
 微量栄養素欠乏の影響 119
 心臓病、脳卒中、糖尿病、ガン 120
 生活習慣病の若年化と途上国への蔓延 121
不健康な食生活の社会的コスト 122
 阻害される子どもの学習能力 122
 奪われる成人の労働生産性 122
 医療システムへの負担 123
 途上国の深刻な問題 124
栄養を政策優先課題に 125
 飢餓と微量栄養素欠乏の人々を救う 126
 貧困の軽減と社会サービスの改善 127
 ライフスタイル改善のための教育 128
 栄養キャンペーン 129
 ジャンクフードの広告規制 130
 豊かな食文化を取り戻そう 131

第5章 残留性有機汚染物質と闘う

133
化学革命の負の遺産 134
 POPsが共有する四つの特性 135
 現れはじめた影響 135
残留性有機汚染物質の世界 136
 塩素というやっかいな元素 137
 DDT 138
 PCB 141
 ダイオキシンとフラン 141
汚染は地球のすみずみまで 143
 動物の体内に入り込むPOPs 144
 極地にまで侵入するPOPs 145
 国際取引されるPOPs 146
ヒトの健康への影響 148
 『沈黙の春』とアザラシの死 148
 内分泌攪乱物質 149
 さまざまな健康障害 150
 激減する精子の数との関係 151
 日常の食品にとどまる脅威 152
国際条約への取り組み 153
 国境なき汚染問題 153
 国際戦略の進展 154
 本格的取り組みへの呼びかけ 155
 条約交渉のプロセスに横たわる困難 157
脱POPsのための取り組み 160
 有害化学物質排出目録(TRI)と環境汚染物質排出移動登録(PRTR) 160
 知る権利と一般市民の権限強化 161
 需要削減に有効な経済的手段 162
 根本的な脱POPsへの挑戦 163
 DDTを使わないマラリア対策 165
 有機農業の大きな可能性 167

第6章 紙経済の改革 169
毎日の暮らしに欠かせない紙 170
紙をめぐる風景 171
 多彩な用途 171
 電子情報時代の紙消費 172
 紙生産の世界地図 174
紙のコストを明らかにする 175
 森林に与える圧力 175
 進むプランテーション投資 177
 プランテーションのプラスとマイナス 178
 エネルギーと水を消費する紙 180
 製紙工場から出る化学汚染物質 181
紙生産の負荷を小さくする方法 183
 古紙の再利用を増やす 183
 再生紙市場を整備する 185
 非木材繊維を活用する 187
 プランテーション管理を改善する 188
 製紙プロセスを改善する 190
紙の消費量を減らす方法 192
 企業の姿勢が大きな違いを生む 193
 原材料を削減するための再設計 195
 オフィス用紙の再利用とリサイクル 196
持続可能な紙経済をめざして 197
 紙消費と経済成長を切り離す 198
 税と補助金の再構築 199
 さまざまな創造的施策 201

第7章 環境のために情報技術を活かす

203
環境と情報技術が重なる三つの領域 204
拡大するグローバル・ネットワーク 206
 高度化し拡大する情報技術 206
 コミュニケーション技術の三つの波 207
 情報技術の普及度の地域的格差 209
 情報ギャップを埋める技術変化 210
 広がる通信衛星利用 211
 自由競争市場の後押し 212
資源の浪費か節約か 213
 製造と廃棄にともなう汚染 214
 さまざまな取り組み 215
 宇宙の廃棄物になる衛星 217
 紙消費と情報技術 217
 電力消費と情報技術 218
 交通輸送と情報技術 219
 消費行動とインターネット 220
モニタリングとモデリング 221
 環境モニタリングに活躍する衛星 221
 衛星ビジネスに参入する民間企業 224
 GISにできるさまざまな仕事 226
 広がるパソコン・レベルでのGIS利用 227
 いくつかの制約要因 228
持続可能な開発のためのネットワーキング 230
 教育と情報提供 230
 草の根運動のツール 231
 途上国の問題に世界が取り組む 232
 知ることで得られる力 234
 ヘルスケアに活躍するネットワーク 235
 アクセスを助ける取り組み 236
健やかな地球のための情報ツール 237
 インターネットをすべての人の手に 238
 生身の人間関係と自然との接触の重要性 239

第8章 マイクロ発電とエネルギーの未来

241
より安く、よりクリーンに、より信頼性高く 242
 新しい発電システム 242
 21世紀のアイデア 244
小型発電の挑戦 244
 小型化の波 245
 発電セット 246
 マイクロタービン 248
 スターリングエンジン 249
温暖化を引き起こさない発電技術 250
 研究が進む燃料電池 250
 商業化に向かう燃料電池 251
 急増する風力発電 252
 コスト激減が期待される太陽電池 254
大規模集中型から小規模分散型へ 255
 明らかになった送配電網の脆弱性 255
 高まる安定供給ニーズ 257
 環境への影響が少ない小型分散型 258
 生物に似たインテリジェント・システム 260
 蓄電システムで高まる信頼性 262
市場のルールを作り直す 263
 電気料金体系の改革 263
 系統連繋の条件整備 265
 独占電力会社の意識改革 266
マイクロ発電 267
 根拠なき疑いからの訣別 268
 10の市場加速要因 269
 発展途上国で果たす大きな役割 270
 インターネット情報サービス 271
 融資のための政策 272
 国際協力とマイクロ発電 273
 攪乱的な技術が拓く未来 274

第9章 環境保全が雇用を創出する

277
社会変化と雇用 278
 経済の変化と雇用不安 279
 持続可能な経済は雇用機会を生む 280
世界の労働と雇用 281
 世界の失業人口 281
 情報化・グローバル化で変化する労働 282
 労働市場の二極分化 283
 増加傾向にある先進国の失業率 284
 先進国以外の失業状況 285
 途上国におけるインフォーマル・セクターの雇用 285
 懸念される若年失業者の多さ 286
資源生産性向上の取り組みと雇用 287
 労働生産性重視と資源生産性の軽視 287
 すでに雇用が減少している汚染産業 289
 サービス産業の雇用と環境への影響 290
環境政策が雇用に与える影響 292
 直接的効果と間接的効果 292
 雇用を失う人々に対する対策 294
エネルギー経済の再構築と雇用 295
 石炭鉱業と雇用 295
 風力発電と雇用 296
 ソーラーエネルギー利用と雇用 297
 エネルギー効率サービスと雇用 298
使い捨て経済からの脱却と雇用 300
 耐久性があり修理できる製品と雇用 301
 再製造できる製品と雇用 302
 小売業と雇用 303
雇用と環境のための税改革 305
 環境税を上げて賃金税を下げる 305
 税シフトで雇用と環境はどうなる 306
仕事と雇用を再考する 307
 仕事−消費−環境劣化の連鎖を断つ労働観 307
 適正な労働時間と就労形態 308
 基本収入の保証という考え方 310
 経済の移行にともなう痛みに配慮する 310
 雇用を維持するための諸施策 311

第10章 環境グローバリゼーションにどう対処するか

313
グローバル化する世界 314
 グローバル化のなかの環境問題 314
 環境グローバリゼーションの難関 315
国際取引される自然 316
 林産物 316
 鉱業とエネルギー 317
 食糧 318
 海産物 319
 野生生物 320
 生物侵入と伝染病の脅威 321
環境と衝突する世界貿易機関 322
 環境と貿易の軋轢 322
 メキシコ産マグロをめぐる対立 323
 エビ・トロール漁をめぐる対立 325
 成長ホルモン牛肉をめぐる対立 326
 遺伝子組み換え食品をめぐる対立 328
 林産物の貿易自由化をめぐる対立 329
 WTO改革の方向 330
国際金融システムの改革 331
 国際金融危機と環境 331
 IMFと世界銀行の過ち 333
 構造調整プログラムの成果 335
 環境に有益な財政改革の可能性 335
 環境への配慮が欠落しているIMFと世界銀行 336
 国際金融公社と国際投資保証機関 337
 二国間輸出信用機関 338
 民間資本市場 338
 株式市場 339
地球環境ガバナンスの改革 340
 環境保護条約の徹底 340
 世界環境機関の創設 342
 民間機関への期待 342
 躍進する国際NGO 343
原注 404
人名さくいん 406
国名・地名さくいん 409
事項さくいん 416
監訳者あとがき 417
各年度版『地球白書』テーマ一覧 421