永田 俊・宮島利宏(編)(2008):流域環境評価と安定同位体−水循環から生態系まで.京都大学学術出版会、476p.〔ISBN978-4-87698-739-9〕


目次

口絵 i
はじめに ix
序論 次世代の環境科学と安定同位体精密測定法(和田英太郎) 1
1 生態系・生物資源の視座としての安定同位体比 2
2 同位体比(δ13Cとδ15N)の分布に関する知見と経験則 5
3 これから 8
第T部 安定同位体と流域環境 11
第1章 なぜ安定同位体比なのか−同位体比の基礎知識とその読み方−(宮島利宏) 13
1 安定同位体とは 13
2 安定同位体比の基礎知識 15
3 安定同位体比指標の利用とその注意点 25
第2章 水の同位体比を利用した水循環の評価(大手信人) 33
1 流域の水循環 33
2 流域の水循環診断への水の安定同位体比利用−降水の同位体比変動− 37
3 流域でさまざまな水の起源推定をおこなう 43
4 地下水の滞留時間の推定手法 46
第U部 環境負荷と除去プロセス 57
第3章 窒素負荷 59
1 大気降下物としての窒素が水源域に与える負荷(大手信人) 59

1

 降下物としての窒素負荷 59

2

 NO3-の窒素・酸素安定同位体比の同時測定 62

3

 測定の時空間分解能の向上 64

4

 河川流程におけるNO3-安定同位体比の変動 67
2 人為起源窒素の面源負荷−窒素同位体指標の利用−(高津文人) 70

1

 河川や湖沼への窒素負荷とその評価方法の問題点 70

2

 窒素安定同位体比による人為的窒素負荷の診断 71

3

 窒素安定同位体比と土地利用、人口密度との関係 73

4

 窒素安定同位体比と水質との関係 73

5

 河川における窒素安定同位体比の変動パターンのモデル化 75

6

 窒素同位体比による水域への窒素負荷のより良い評価方法の開発 80
3 湖沼の富栄養化の史的復元−長期保存生物標本の利用−(小川奈々子・大河内直彦) 83
4 陸域由来窒素が沿岸海域に与える負荷−大型藻類の窒素同位体比から−(梅澤 有) 94

1

 陸域からの窒素負荷と沿岸海域汚染 94

2

 大形藻類とは 95

3

 藻類の採取と前処理 99

4

 海藻の窒素成分を用いた窒素負荷の評価 100
第4章 有機物負荷 111

1
化学風化と河川内炭素循環プロセス−溶存無機炭素安定同位体比の利用−(宮島利宏)

111

1

 河川水中の溶存無機炭素とその起源 111

2

 流下過程での同位体比の変動 115

3

 河川水中δ13CDICの測定方法 117

4

 実際の河川におけるδ13CDICの変動パターン 119

5

 δ13CDICは何の指標になるのか? 131
2 有機物の生産と分解(T)−溶存無機炭素安定同位体比による評価−(金 赴縺E宮島利宏・永田 俊) 133

1

 湖沼における有機物の生産と分解 133

2

 湖沼水中の溶存無機炭素の炭素安定同位体比の決定要因 135

3

 湖沼内・湖沼間のδ13CDICのの分布パターン 144

4

 湖沼内で代謝される陸起源有機物と湖内生産有機物との相対的寄与率の評価 148
3 有機物の生産と分解(U)−溶存酸素安定同位体比による評価−(陀安一郎) 153

1

 溶存酸素の動態と環境診断 153

2

 溶存酸素の安定同位体比とは 153

3

 溶存酸素の安定同位体比の分析方法 154

4

 δ18Oを用いた解析 155

5

 Δ17Oを用いた解析 161

6

 まとめと応用について 161
4 河口域における懸濁態有機炭素負荷の起源推定(宮島利宏) 163

1

 河口域生態系における懸濁態有機物の重要性 163

2

 POMの採集法と同位体比分析 165

3

 河口域生態系に関する一般的な注意点 166

4

 塩分勾配に沿ったδ13CPOMの変化と端成分モデル 168

5

 保存的混合モデルと河口域のδ13CPOC 173

6

 現地性POMのδ13Cの変動性 175

7

 変動端成分モデル 179

8

 ほかの化学指標との併用による展開 182

9

 分離分画法との併用による展開 185
5 湖沼における溶存態有機物の起源と動態(槙 洸・永田 俊) 187

1

 湖水中の有機物 187

2

 混合モデルによる起源の推定方法 190

3

 細菌の炭素安定同位体比を用いた易分解性溶存態有機物の起源の推定 192

4

 溶存態有機炭素の安定同位体比を用いた準易分解性および難分解性溶存態有機物の起源の推定 196

5

 まとめ 197
第5章 酸化還元プロセス 199
1 土壌と河川における微生物学的窒素除去プロセスの評価(木庭啓介) 199

1

 窒素循環概説 199

2

 窒素循環における同位体分別について 204

3

 土壌・河川における脱窒過程について 207

4

 窒素安定同位体比(δ15N)を用いた脱窒過程に関する研究 209

5

 酸素同位体比(δ18O)を用いた脱窒過程に関する研究 214
2 淡水性堆積物における嫌気的微生物生態系の解析(宮島利宏) 217
1  嫌気的微生物生態系の構造 217
2  酸化還元プロセスに伴う硫黄同位体分別 219
3  硫酸還元が湖沼の硫黄同位体比分布に及ぼす影響 223
4  河川水中の硫酸イオンの硫黄・酸素安定同位体比 226
5  メタンの炭素・水素安定同位体比を利用したメタン生成経路の判別 233

3
流域環境におけるメタン酸化とメタン食物連鎖の評価(木庭啓介・高津文人) 240
1  メタンの生成と消費 240
2  メタン酸化とは 240
3  メタン食物連鎖の評価 242
4  炭素安定同位体比によるメタン食物連鎖の評価例 245
5  メタン食物連鎖の指標性について 246
第V部 流域生態系 249
第6章 生態系の健全性の評価 251

1
一次生産者の安定同位体比の特徴とその変動要因(高津文人・梅澤 有・田中義幸) 251
1  水生植物の炭素安定同位体比の決定機構 252
2  各種水生植物に見られる安定同位体比の決定機構 261
3  流域診断に資する水生植物の炭素安定同位体比 278

2
安定同位体比による生態系構造解析(陀安一郎) 284
1  動物の体の安定同位体比が意味するもの 284
2  炭素安定同位体比に関する詳細 288
3  窒素安定同位体比に関する詳細 291
4  イオウ、ストロンチウムなどその他の元素について 293
5  複雑な生態系構造解析について 294

3
バイオマーカーを利用した微生物生態系構造解析(大河内直彦・高津文人) 298

4
食物網解析にもとづく沿岸生態系の健全性評価(奥田 昇) 309
1  生態系の健全性とは 309
2  食物網とは何か? 309
3  安定同位体を用いた食物網解析 311
4  沿岸生態系における基礎生産構造の推定 312
5  人為攪乱による基礎生産構造の変化 315
6  沿岸生態系における高次消費者の役割 317
7  高次消費者によるトップダウン効果 319
8  食物網の安定化装置としての高次消費者 320
9  食物連鎖長の決定要因 324
10  食物連鎖長と人為攪乱 327
11  高次消費者から見た生態系の健全性 328
12  おわりに 330

5
生態系間を移動する動物による物質輸送(亀田佳代子) 331
1  はじめに 331
2  動物による水域から陸域への物質輸送の意義 331
3  生態系間を移動する動物とその物質輸送の特性 333
4  物質輸送研究における安定同位体比分析の有効性 336
5  安定同位体比分析を用いた鳥類による物質輸送研究例 338
6  おわりに 347

6
貯水ダムの下流域生態系への影響と伝播距離推定(竹門康弘) 348
1  はじめに 348
2  流域環境の健全性評価指標 348
3  貯水ダムの下流域生態系への影響 351
4  貯水ダムの立地条件による影響の違い 356
5  貯水ダム下流域における環境指標の課題 357
6  貯水ダム下流域の安定同位体比構造 359
7  伝播距離推定における安定同位体比の意義 362
8  洪水律動説における安定同位体比の意義 363
9  河川生態系の健全化ベクトルと公共事業 364
第W部 安定同位体の可能性 367
第7章 安定同位体比測定のフロンティア 369

1
水の第三のマーカーΔ17Oの可能性(伊藤雅史・大河内直彦) 369

2
分析の自動化・高速化−硝酸イオン分析を例に−(由水千景・大手信人) 376
1  はじめに 376
2  硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比測定の歴史 376
3  硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比測定の自動化・高速化 383

3
アイソトポマー・分子内同位体分布(木庭啓介) 388
1  一酸化二窒素のアイソトポマー比 388
2  硝化と脱窒過程における一酸化二窒素の発生 389
第8章 流域環境評価と安定同位体指標(永田 俊) 395

1
流域管理と環境指標 395

2
各種の安定同位体比を体系的に利用して環境指標を構築する試みの必然性 397
3 安定同位体指標の限界と課題 401
4 本書が提案した主な安定同位体指標のまとめ 402
5 安定同位体指標の総合化にむけて 409
引用文献 413
索引 461


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